日銀ショックで日経平均株価が下落するも、バリュー株は好調
日銀が長年にわたる金融緩和政策のサプライズ修正を発表したことで日経平均株価は下落したが、バリュー株は好調だった。
12月21日、日経平均株価は 0.68%下落し、2万6387円72銭で取引を終えた。この下落は、日本銀行がYCC(イールドカーブ・コントロール)政策の緩和措置を決めたことを受けたものである。
日銀は、10年国債金利の誘導目標(ゼロ%程度)の変動幅を拡大し、従来の±0.25%から±0.5%に引き上げた。このYCC変更により、金利が以前より上昇する可能性がある。
YCCの0.25%の変動幅は2021年から適用されており、日銀の金融政策の修正の発表は、市場に大きな衝撃を与えた。
日本が自国の企業や個人の借入コストを海外よりもはるかに低く抑えることができたのは、このような金融緩和政策によるものだと、これまで市場では考えられていた。また、この低金利は円安をもたらし、輸出収入が大きい日本企業のビジネスモデルを支えてきた。
黒田総裁、YCCを放棄せずと発言
YCCの政策修正が発表された後、日銀の黒田東彦総裁は、記者会見で「緩和政策の放棄や出口につながるような見直しではない」と述べた。
金利上昇は、個人消費と企業成長の足かせとなるため、株式市場にとっては大きなマイナス要因であり、YCC修正のニュースは日経平均株価を大きく下落させた。
これによって甚大な損失を出したのは、輸出収入が大きいビジネスモデルの企業であった。トラック・バスメーカーの日野自動車(7205)の株価は5%下落し、不動産会社の東京建物(8804)は4.71%、電気機器メーカーのフジクラ(5803)は4.61%値下がりした。
下落トレンドに逆らうバリュー株
日経平均株価が下落する中、好調だったのはバリュー株だ。バリュー株は経済サイクルの「回復初期」や「後退初期」など、いかなる景気局面でも良いリターンが期待できるような分散された事業を持っているためだ。
例えば、りそなホールディングス(8308)はYCCの修正が行われるとの市場の噂を受け、3.05%上昇した。
同社は、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらいフィナンシャルグループの3つの金融機関で構成され、それぞれに100%出資している。また、関西みらいフィナンシャルグループは、関西アーバン銀行、みなと銀行、近畿大阪銀行の3行を所有している。
2022年3月31日の時点で、りそなグループは、815の有人窓口、約1600万人の個人顧客および約50万社の法人顧客基盤を抱えている。同日の預金残高は約61兆円、貸出残高は39兆円で、中国を含むアジア諸国や米国でも幅広く事業を展開する。
バリュー株のひとつである川崎汽船(9107)の株価は3.01%上昇し、このセッションの大きな勝者となった。川崎汽船は、空路、陸路、海路をカバーする世界最大級の輸送会社だ。ドライバルク、エネルギー資源、製品物流の3つを主な事業内容としている。
同社は2018年、商船三井と日本郵船とともに、定期コンテナ船事業と海外コンテナターミナル事業を統合し、新たに「Ocean Network Express」(ONE)を設立した。現在、この新事業では世界で250隻以上の船舶を運航している。
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