日経平均株価は6週間ぶりの安値だが、銀行株は好調
日経平均株価はFRBの追加利上げへの懸念から、週明け最初の取引で6週間ぶりの安値に下落した。しかし、日銀による事実上の利上げにより、銀行株が高騰した。
日経平均株価は2万7237円64銭で週明けのアジア取引セッションを終えた。これは12月16日の終値から1.05%の下落で、この6週間で最も低い水準となった。この下落は、14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)最新会合の結果を受けたものだ。
この会合で米連邦準備銀行(FRB)が、基準となるFF金利(米国の代表的な短期金利)のレンジを0.5%引き上げ、4.25%~4.5%にすると決定したことは、市場予想と一致した。
しかし、パウエルFRB議長は利上げ後、「まだやるべきことがある。SEP(経済予測の概要)が示すように、来年末のFF金利の適正水準の予測中央値は5.1%であり、9月の予測より0.5%高い」と発言した。
FF金利が5%を超えるのは、2007年以来となる。金利上昇は個人消費と企業成長の足かせとなるため、株式市場にとっては大きなマイナス要因だ。
日本の輸出企業に広がる不安
金利上昇によって欧米の需要が減退しているこの状況は、輸出市場向けの日本企業に重くのしかかっている。この日、自動車メーカーは軒並み大きく値下がりし、アジア取引時間中にマツダの株価は3.13%、日産自動車は2.9%、自動車部品メーカーのデンソンは2.07%、三菱自動車工業は2.02%それぞれ下落した。
その一方で、共同通信社が報じた、2%のインフレ目標の見直しを検討しているという噂により、日経平均株価の銀行株は急騰した。このインフレ目標は、日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を通じて行っている金融緩和政策の基礎となっている。この政策により、日本は他の多くの先進国よりも低い金利を維持している 。
その結果、日本の企業や個人の借入コストは、海外の企業や個人の借入コストよりも低く抑えられている。また、この低金利は円安をもたらし、輸出収入が多い日本企業のビジネスモデルを後押ししている。
銀行セクターでこの噂の恩恵を最も受けたのは、りそなホールディングスで、週明けのアジア市場取引で1.96%上昇した。
日銀の噂でりそなホールディングスが反発
りそなホールディングスは、銀行・金融サービス企業であるりそなグループの持株会社である。同グループは、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらいフィナンシャルグループの3つの主要金融機関で構成され、それぞれに100%出資している。また、関西みらいフィナンシャルグループは、関西アーバン銀行、みなと銀行、近畿大阪銀行の3行を傘下に収めている。
2022年3月31日の時点で、りそなグループは、国内に有人窓口815店舗、個人顧客約1600万人および法人顧客約50万社を抱えている。同日の預金残高は約61兆円(4452億ドル)、貸出残高は39兆円となっており、中国を含むアジア諸国や米国でも幅広く事業を展開している。
日本経済の中心にありながら、国際的に事業展開するりそなホールディングスは、どのような景気変動にも対応できる企業だと言える。同社は2022年第2四半期の株価収益率(PER)を11.6倍と発表したが、この倍率でもまだ割安だといえる。
日経平均の銀行セクターの株価を上昇させた共同通信の報道について尋ねられた松野博一官房長官は、「そのような方針を固めた事実はない」と述べた。さらに、「物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向け、引き続き日銀と連携しながら取り組む」とも付け加えた。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。