NY金はビットコインから米ドル高にらみへ、米株高も相場の重石に、今日の見通し
米利下げペースの鈍化が意識され、FOMCの後は米ドル高が進行している。ビットコインは下落しているが、今のNY金相場は米ドル高にらみの相場となっている。金価格、今日の見通しは?
NY金、ビットコインから米ドルにらみへシフト
23日のNY金相場は反落して終えた。金価格は、ビットコインから米ドルにらみの状況へシフトしている。注目ポイントをまとめた。
・金価格のトレンドに影響を与えていたビットコインは先週18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、下落へ転じている。現在は50日線の攻防にあるが、サポートラインへ転換した92,000ドルを下方ブレイクすれば、下落幅の拡大を警戒する局面にある
ビッドコイン:日足 11月以降
出所:TradingView
・一方、外為市場では米ドル高優勢の状況にある。インフレ再燃の可能性と25年の利下げペース鈍化の観測を受け、米債市場では長期金利(10年債利回り)が4.6%付近まで上昇している。米金利の上昇が米ドルを支えている
・米FOMCが“タカ派”の内容となったことで、18日の外為市場では米ドル高が進行した。金価格は急落した。20日の市場では11月の米PCEデフレーターが予想以下となったことで、米ドル安の展開となった。金価格は上昇した。そして23日の外為市場では再び米ドル高優勢の展開となった。金価格は反落した(棒グラフを参照)。この間、ビットコインが下落相場にあることを考えるならば、今の金相場は、米ドルにらみの状況へシフトしていることが分かる
ドル指数と金価格の動向:12月16日~23日
ブルームバーグのデータで筆者が作成
金利上昇の影響を跳ね除け、年末高の期待をつなぐ米国株
11月のPCEデフレーターが予想を下回ったことが好感され、米国株が息を吹き返している。直近の動向と金相場に与える影響をまとめた。
・週明け23日の米国株は、先週20日の株高の流れが続き上昇した。注目すべきは、米長期金利(10年債利回り)が4.6%を視野に上昇している局面でも、マグニフィセントセブンの代表格であるエヌビディア(NVDA)や大手ハイテク株が株高を主導したことである
・長期金利の上昇に追随し、実質金利(10年)も上昇基調にある。本来であれば(実質)金利の上昇は米国株、特に高PERのハイテク株の割高感を意識させる。それでもマグニフィセントセブンが株高をけん引している今の状況は、米国株がFOMCショックをこなし、年末にむけて株高が進行する可能性を示唆している
・米金利の上昇、米ドル高そして米株高が同時に発生している今の状況は、金価格にとって重石となろう
米長期金利と実質金利:日足 24年4月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
NY金、今日の見通しとテクニカルライン
金価格のサポートライン
米金利の上昇と米ドル高が進行する状況なか、米国株も強気相場を維持している。今の相場環境は、金相場にとって重石となろう。今日は、以下にまとめたサポートラインの攻防が焦点となろう。
・金価格の下落局面では、2,600ドルの維持が焦点となろう。このサポートラインは、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。サポートラインへ転換する兆しのある2,608ドルの下方ブレイクは、2,600ドルをトライするサインと捉えたい
・金価格が2,600ドルを下方ブレイクすれば、次は2,596ドルの維持が焦点に浮上しよう。この水準もサポートラインへ転換する兆しがある。2,600ドルとサポートゾーンを形成すれば、今日は2,600ドル前後での小動きが予想される
・金価格が2,596ドルをも下方ブレイクする場合は、全戻しの2,589ドルそして12月19日の安値2,583ドルまでの下落を警戒したい。しかし今日は、米国の株式と債券の市場が短縮取引となる。金価格は小動きが予想されるため、2,580ドル台を一気に下方ブレイクする可能性は低いと考えられる
サポートラインのまとめ
・2,608:サポート転換の水準(15分足)
・2,600:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(15分足)
・2,596:サポート転換の水準(15分足)
・2,589:全戻し(15分足)
・2,583:12月19日の安値(日足)
金価格のレジスタンスライン
日足のMACDとモメンタムは金価格が弱気地合いにあることを示唆している。金相場を取り巻く今の状況も考えるならば、反発局面では戻り売りを意識したい。今日は米国市場が短縮取引となる。金価格は小動きが予想される。以下で取り上げているレジスタンスラインでの反落を想定しておきたい。
・最初の焦点は、レジスタンスラインへ転換する兆しが見られる2,620ドルの攻防となろう
・金価格が2,620ドル台へ上昇する場合は、89日線のトライが焦点に浮上しよう。この移動平均線もレジスタンスラインへ転換する兆しが見られる
・89日線を突破しても、すぐ上には10日線が控えている。この移動平均線は今日現在、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準2,637ドルにある。89日線以上に、レジスタンスラインとして意識される可能性があろう
レジスタンスラインのまとめ
・2,637:10日線、38.2%戻し(日足)
・2,633:12月23日の高値
・2,629:89日線(日足)
・2,620:レジスタンス転換の可能性あり(15分足)
金価格のチャート
日足:24年10月以降
出所:TradingView
15分足:12月19日以降
出所:TradingView
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