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【新興国通貨】円安進行でドル円156円台、トルコリラ円の上昇をけん引、目先の見通し

米ドル高の進行でドル円が156円台へ到達した。この動きに追随し、トルコリラは直近1ヶ月の間に対円で3.8%上昇している。「トリプルレッド」の達成とパウエルFRBの慎重姿勢を考えるならば、ドル円は上昇トレンドを維持する可能性が高い。トルコリラ円も上値トライを意識する状況が続こう。

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記事のポイント

  • 米ドル高の進行でドル円は、156円ミドルの水準を突破してきた
  • トルコリラ円はドル円の上昇に連動し、直近1ヶ月で4%近く上昇している
  • トリプルレッドの達成とパウエルFRBの慎重姿勢は、米ドル高進行の要因となろう
  • 上昇トレンドを維持するドル円が、引き続きトルコリラ円の強気相場をけん引しよう

円安進行、対米ドルで156円台、対トルコリラでも4%近く下落

円安が止まらない。直近1ヶ月の騰落率を確認すると、メキシコペソやスウェーデンクローナを除く主要通貨で円が下落している。対米ドルでは4%超下落している。注目したいのが対トルコリラでも3.8%と、4%近く下落していることである。

リラは対米ドルで相変わらず最安値圏にある。それでも対円で上昇している状況は、それだけ円安の圧力が強いことを示唆している。

日本円の騰落率:10月14日~11月14日

日本円の騰落率:10月14日~11月14日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

トリプルレッド、パウエルFRBの慎重姿勢、年内は米ドル高を想定

アメリカ大統領選挙と議会選挙でトランプ陣営が躍進し「トリプルレッド」を達成した。そして、14日の講演でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、今後の利下げについて慎重な姿勢を示した。年内は米ドル高の進行を意識したい。事実、ドル指数は上昇幅が急速に拡大している。焦点を以下にまとめた。

・「トリプルレッド」は、トランプ陣営が掲げる大型減税や外国製品に対する課税の強化などの主要な政策が米議会で成立する可能性を各段に高めるだろう。そして、これらの政策はいずれもインフレ再燃の可能性を高めるだろう

・米長期金利の高止まりは、市場参加者がインフレ再燃の可能性を強く意識していることを示している

・米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は14日の講演で、経済が堅調さ維持しており、早急な利下げの必要性が高まっている状況にはないと述べた

・パウエル議長の発言を受け、短期金融市場では12月の利下げ確率が40%台へ低下した。議長の講演前は70%前後の確率で追加の利下げを織り込んでいた。トリプルレッドの達成とパウエルFRBの慎重姿勢を考えるならば、年内の外為市場は米ドル高を想定する必要がある。「2016年相場」の再来である

・米ドル相場のトレンドを示すドル指数(DXY)は年初来の高値水準を完全に突破し、半値戻しの水準107.18レベルおよび23年10月の高値107.35を視野に、米ドル高が急速に進行している

ドル指数のチャート:週足 22年9月以降

ドル指数のチャート:週足 22年9月以降

出所:TradingView

ドル円、156円ミドルを突破すれば一気に158円が視野に

米ドル高の影響を最も受けている通貨ペアがドル円(USD/JPY)である(冒頭のパフォーマンスチャートを参照)。目先の見通しと注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

・「トリプルレッド」の達成と12月利下げ期待の後退で米ドル高がさらに進行する可能性が高まってきた

・テクニカルでは、日足のモメンタムとMACDがドル円の強気地合いを示唆している

・本日午前、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準156.52レベルを上方ブレイクし、高値156.60レベルまで上昇する局面にある(下の日足チャート、赤矢印を参照)。このテクニカルラインをも完全に突破する場合は、重要なレジスタンスポイントが見当たらない。あえて挙げるなら158.00前後となろう(下の日足チャート、赤矢印を参照)

ドル円のチャート:日足 24年7月以降

ドル円のチャート:日足 24年7月以降

出所:TradingView


トルコリラ円の見通しとテクニカル分析

ドル円と高い相関関係を維持

トルコリラは対米ドルで最安値圏の攻防にある。しかし、対円ではドル円(USD/JPY)と高い順相関の関係を維持している。トルコリラ円は、ドル円にけん引される展開が続こう。

・年初来からのデータもとにしたトルコリラ円とドル円の相関係数は、0.91とかなり高い(下のチャート、赤枠を参照)

・対照的に米ドル/トルコリラの相関係数は-0.4で逆相関にある(下のチャート、青枠を参照)

トルコリラ円、米ドル/トルコリラ、トルコリラ円の相関関係:年初来

トルコリラ円、米ドル/トルコリラ、トルコリラ円の相関関係:年初来

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 相関係数:対数差分 / データ数:230

・データのバラつき度合いも確認すると、トルコリラ円とドル円ではチャートにプロットしたラインにバラつきが抑制され(密集し)、お互いの相関性の高さを示唆している

・対照的に、米ドル/トルコリラ間ではデータのバラつきが広がる傾向にある。逆相関の関係にはあるが、その関係が必ずしも高いわけではない状況を示唆している

相関分析の観点から、トルコリラ円はドル円にらみの展開が続くだろう。ドル円が強気相場を維持すれば、トルコリラ円も下で述べるレジスタンスラインをトライそしてブレイクする展開を想定しておきたい。

トルコリラ円、米ドル/トルコリラ、トルコリラ円のパフォーマンス分布:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ブルームバーグのデータで筆者が作成

トルコリラ円のレジスタンスライン

ドル円(USD/JPY)の上昇にけん引され、トルコリラ円(TRY/JPY)は約4ヶ月ぶりの高値水準まで上昇している。

今日はアメリカの10月小売売上高が発表される。個人消費の底堅さを示す内容となれば、ドル円は157円を視野に上昇幅が拡大する展開が予想される。ドル円の上昇は、トルコリラ円の上値トライをけん引しよう。

トルコリラ円は下で取り上げているレジスタンスラインの攻防に注目したい。

レジスタンスライン
・4.640:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・4.600:レジスタンスライン
・4.561:本日午前の高値

トルコリラ円のチャート:日足 24年7月以降

出所:TradingView

トルコリラ円のサポートライン

一方、今日の10月米小売売上高が予想以下となれば、米ドル高の調整要因となることが予想される。このケースでは「ドル円の反落→トルコリラ円の下値トライ」を想定しておきたい。

トルコリラ円の下落局面では、10日線の維持が焦点となろう(上の日足チャート、緑ラインを参照)。この移動平均線をトライするサインとして、以下のサポートラインの攻防に注目したい。なお、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準は10日線が推移している水準4.460レベルと重なる。

サポートライン
・4.510:サポート転換を意識する水準
・4.490:サポートライン
・4.478:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・4.463:10日線(11/15時点)、リトレースメント76.4%戻し

トルコリラ円のチャート:1時間足 11月8日以降

トルコリラ円のチャート:1時間足 11月8日以降

出所:IGチャート


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