ユーロ売りの背景
ユーロ売り圧力が高まっています。要因は経済の悪化とそれに上手く対応できない政治の停滞にあります。このような状況を受け、南欧利回りがじわじわと上昇しています。ユーロ相場との関係は?ユーロドルのポイントは?マーケットレポートをご参照ください。
急速に悪化するユーロ圏経済と政治の停滞
昨日の米ドル相場と円相場は売り買いが交錯し、明確なトレンドは見られなかった。対照的にユーロ相場は対先進国通貨で売り優勢の展開となった。ユーロドルは安値1.0754まで下落。1.0750にはビッドが観測されているが、この水準を完全に下方ブレイクする展開となれば、3月安値1.0635を視野に下落幅の拡大を予想する。
ユーロ売りが対米ドルだけの現象ではない状況を考えるならば、ユーロ相場特有の売り要因が市場で意識されているということである。その要因は新型コロナウイルスによる経済情勢の悪化とそれに迅速に対応できない政策当局者の言動にある。昨日発表された4月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は13.5と、3月の29.7からさらに低下した。特にサービス業の低下は深刻で、11.7と前月の26.4から大きく低下。また、製造業も44.50から33.60と、世界金融危機が発生した2009年前半以来の水準まで急速に低下した。
急速な経済情勢の悪化はユーロ売り要因だが、この状況に政治が迅速に対応できなこともユーロ売り圧力を高めている。欧州連合(EU)の加盟国首脳は23日、テレビ会議を開催した。復興基金の創設で合意には至ったが、その規模や財源そして用途といった各論になると足並みの乱れが露呈した。この状況が続く限り、ユーロは対ドルで上値の重い展開が続くことが予想される。
ユーロドルのチャート
拡大傾向の南欧利回りとユーロドルとの関係
上述した経済情勢と政治の停滞を受け、新型コロナウイルスの影響が最もひどいイタリアとスペインの長期金利は、3月以降拡大傾向にある。対照的にドイツのそれは3月下旬以降、マイナス0.3%-マイナス0.5%でレンジを形成中。結果、南欧とドイツの利回りスプレッドが徐々に拡大している。EU域内でもより警戒すべきは南欧の経済状況にあることをスプレッドの拡大は示唆している。南欧利回りとユーロドルの関係を確認すると、逆相関の関係にあることがわかる。つまり、現在のユーロ売りは南欧利回りの上昇に敏感に反応しやすい地合いにあると言えよう(特にスペインの利回りとの逆相関が強い)。よって、ユーロドルのトレンドを見極める上で重要なことは経済対策の新たな報道内容とそれを受けた南欧利回りの動向、ということになろう。
ユーロドルとイタリア10年債利回り
ユーロドルとスペイン10年債利回り
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