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【ユーロドル】目先は調整の反落を警戒、1.09ブレイクは新たな上昇局面のサインに

現在、1.08-1.09のレンジで売り買いが交錯するユーロドル(EUR/USD)。今週は米国の経済指標とECBイベントで上下に大きく振れるだろう。注目しておきたい上下のチャートポイントは?


サマリー

・今週のユーロドルは、米経済指標とECBイベント後の動きに注目したい
・ECB理事会の焦点は、7月利下げの可能性を見極めることにある
・ユーロドルの下落局面では、21日線と50日線の攻防に注目したい
・ユーロドルが1.09を完全に突破すれば、新たな上昇局面のサインとなろう


連続利下げの見極めがECB理事会の焦点に

今週6日に欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。短期金融市場では0.25%(25ベーシスポイント)の利下げがすでに織り込まれている。ゆえに今回の焦点は、7月の理事会でも利下げに踏み切るのかどうか?この可能性を見極めることにある。

ECB内では、連続の利下げについて見解が分かれている。フランス中銀のビルロワドガロー総裁は、6月と7月の会合で利下げを行う可能性を排除するべきではないとの考えを示している。

一方、ドイツ連邦銀行のナーゲル総裁は、利下げの道筋が「自動操縦であってはならない」と述べ、連続の利下げには慎重な姿勢を見せている。

また、オランダ中銀のクノット総裁は今後の利下げについて、新たな四半期の経済予測が発表される理事会で決定される可能性があると述べている。

ラガルドECB総裁は利下げについて、「事前に確約はしない」姿勢を維持している。2回目以降の利下げについて「データ次第」のスタンスを強調する場合は、6月の理事会で利下げが決定されても、外為市場はユーロ買いで反応する可能性がある(6月の利下げはすでに織り込まれているため)。

なお、現在のところ短期金融市場は、7月18日の理事会ではなく9月12日の理事会での利下げを意識する状況にある。また、24年に想定される利下げの回数は2回と、年初の6回から大幅に修正されている。

欧州中央銀行(ECB) 政策金利の予想推移

欧州中央銀行(ECB) 政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

今週のユーロドルは下値のトライを警戒、21日線と50日線の維持が焦点に

今週のユーロドル(EUR/USD)は、米国の経済指標と欧州中央銀行(ECB)理事会の動向で上下に大きく振れる展開が予想される。

通貨オプションのリスクリバーサルを確認すると、じわりとユーロプットへ傾く状況にある。一方、予想変動率は1週間のそれがじりじりと上昇している(下のチャート、赤矢印を参照)。

ユーロドルのリスクリバーサルと予想変動率の動向:23年11月以降

ユーロドルのリスクリバーサルと予想変動率の動向:23年11月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成


ユーロドルのトレンドを日足チャートで確認すると、4月中旬の反発トレンドから1.08-1.09のレンジ相場へシフトしている。

直近の日足ローソク足のかたちを確認すると、1.09手前で長い上ヒゲが現れ、相場の上昇が止められる状況にある。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準が意識されている(いずれも下のチャート、赤矢印を参照)。

また、MACDも上昇相場の勢いに陰りが見え始めていることを示唆している。リスクリバーサルと予想変動率(1週間)の動向も考えるならば、今週のユーロドルは下値トライを警戒したい。

今週、ユーロドルが下値をトライするきっかけとして注目したいのが、こちらのIG為替レポートで取り上げた米雇用関連の経済指標である。これらがアメリカ労働市場の堅調さを示せば、米ドル買いによるユーロドルの下落を予想する。

また、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の定例会見で連続利下げの可能性が外為市場で意識される場合は、ユーロ売りによる下落を想定しておきたい。

ユーロドルが下値をトライする場合、最初の焦点はサポート転換の可能性がある21日線の攻防となろう。この移動平均線は今日現在、1.0823レベルで推移している(下のチャート、緑ラインを参照)。

21日線の下方ブレイクは、1.08トライのシグナルとなろう。このチャートポイントもまた、サポート転換を意識する水準である。

ユーロドルが1.07台の攻防へシフトする場合は、50日線(今日現在1.0772レベル)の維持が焦点として浮上する。今年に入りこの移動平均線は、レジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が散見されている(下のチャート、青ラインを参照)。今の局面では、サポートラインとして注目しておきたい。

ユーロドルのチャート:日足 年初来

ユーロドルのチャート:日足 年初来 TradingView提供のチャートで作成

1.09の上方ブレイクは新たな上昇局面のサインに

一方、今週の米経済指標が米ドル安の要因となり、ECBイベントがユーロ買いの要因となれば、ユーロドル(EUR/USD)の1.09ブレイクを予想する。

1.09のブレイクは、レンジの上限を突破する意味を持つ。レンジの上限突破は、往々にしてさらなる上昇のサインとなる。

ユーロドルがしっかりと1.09台へ上昇する場合は、1.10を視野に上昇幅の拡大を想定したい。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.1012レベルの攻防が焦点となろう。

3月8の高値1.0980レベルの上方ブレイクは、1.10および76.4%戻しをトライするシグナルと想定しておきたい。

ユーロドルのチャート:日足 昨年12月以降

ユーロドルのチャート:日足 昨年12月以降 TradingView提供のチャートで作成

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