再燃する「米ドルvs円買い」の戦い / ドル円 目先の焦点は127円の攻防
4月の下旬以降、米国株は下落幅が拡大している。それに伴い円相場のトレンドも変化している。株安局面でのドル円は「米ドル買いvs円買い」の戦いと米金利の動きが焦点に。目先は127円台の攻防に注目。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
再燃する「米ドルvs円買い」の戦い
【サマリー】
・円相場のテーマは日銀の金融緩和政策からリスク回避相場へ転換
・「米ドルvs円買い」の戦い 今後の焦点は?
・ドル円は127円の攻防が焦点に
・米株安と円高
18日の米国株式市場では、ダウ平均が今年最大の下げとなり年初来安値を更新した。S&P500指数も同様に年初来安値を更新した。4月21日以降、米国株の下落幅が拡大する局面が見られるが、この動きに連動するように、外為市場では円買いの圧力が高まっていることがわかる。これら一連の動きは、円相場のテーマが日銀の金融緩和政策からリスク回避相場へシフトしていることを示している。
円相場のパフォーマンス
・それでも底堅いドル円
上のパフォーマンスチャートをみると、対米ドル(USDJPY)では円安優勢となっている(-0.27%)。5月以降のドル円のトレンドを確認すると、徐々に上値の水準は切り下がっているが、現状127円台でサポートされる状況が続いている。
クロス円と比べてドル円が底堅さを維持している理由は2つある。ひとつは、米金利の動きである。株安を受け米長期金利の上昇は3%台で抑制されている。しかし、低下のトレンドへ転じているわけではない。ドル円との相関性が高まっている5年債利回りも横ばい推移を維持している。これらの動きは、景気の先行きリスクに対する警戒心と、高インフレおよびFRBの金融引き締めスタンスに対する思惑が交錯している状況を表している。
米金利とドル円の推移
ドル円が底堅さを維持するもうひとつの理由は、リスク回避の米ドル買いである。米国株が不安定な状況に陥って以降、資源と関わりの深い通貨を中心に米ドル高優勢の展開となっている。欧州通貨でも米ドル高優勢で推移していることがわかる。景気の先行きリスクがメインテーマに浮上している状況を考えるならば、今後も米国株を含めた世界の株式市場は上下に振れる不安定な展開が続くことが予想される。よって外為市場では、リスク回避の米ドル買いが多く散見されることが予想される。
米ドル相場のパフォーマンス
ドル円 目先の焦点は127円の攻防
上で述べた一連の動きを簡単に表すならば、株安局面での「米ドル買いvs円買い」の戦いが再燃している、ということである。そして今後、ドル円(USDJPY)のトレンドを考える上で重要なことは、米金利の動きである。株安に連動し米金利が低下トレンドへ転じるならば、ドル円はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準127.50および127.00の下方ブレイクを想定しておきたい。
米金利の低下幅が拡大すればドル円の127円ブレイクを予想する。このケースでは、50.0%の水準126.30および61.8%の水準125.11レベルをトライする展開を想定しておきたい。いずれの水準も相場をサポートした経緯がある。
一方、インフレと米金融引き締めの方が強く意識されることで米金利が上昇トレンドを維持する場合は、ドル円も底堅さを維持しよう。このケースでは下限を127円レベル、上限を131円レベルとしたレンジ相場が続く可能性が高まろう。
ドル円のチャート
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