焦点は米雇用統計と米金利の動向
ユーロは対米ドルで反発基調を維持しています。また、6月に入り新興国や資源国といった通貨も米ドルに対して堅調地合いとなっています。これらは米利下げ観測の影響の大きさを示しています。この影響を相殺する要因として、今日は米雇用統計に注目が集まるでしょう。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・焦点は米雇用統計と米金利の動向
注目されたECBスタッフによる経済/物価予測はまちまち(2019年の予測を上方修正した一方、2020年と2021年の予測は下方修正)の内容となったが、大方の予想通り大きな政策の変更がなかったことでECBイベントは無難に通過。また、米長期金利が2.13%前後でキャップされたこともあり、ユーロドルは連日1.13トライの展開となった。5月30日のクラリダFRB副議長による利下げの可能性を示唆する発言以降、ユーロドルは続伸基調を維持している。また、6月以降の対米ドルにおける新興国通貨と資源国通貨の騰落率を確認すると、南アランドとメキシコペソ以外は総じて上昇している。これらの動向は、米利下げ観測のインパクトがいかに大きいかを示唆している。このインパクトを相殺する要因として注視すべき材料が良好な米指標データであることは、6日のレポート「焦点は米指標データとECBイベント」で指摘済み。今晩の5月米雇用統計の内容は米金利と米ドル相場のトレンドを左右する重要イベントとなろう。非農業部門雇用者数変化の予想値は18.5万人。平均時給(前年同期比)のそれは3.2%となっている。経済の先行き不透明感が意識される中でも米国の個人消費は拡大傾向を維持している。この土台となっているのが、堅調な雇用者数の増加と賃金の伸びである。5月以降、米中対立が激化しているが、この状況を受けてなお予想以上に労働市場の堅調な状況が確認できれば、米国市場はリスク選好「株高/金利上昇」で反応しよう。米金利の上昇は米ドル安圧力の相殺要因となろう。このケースでのドル円は上値トライ、ユーロドルは下値トライを予想する。一方、総じて市場予想を下振れる場合は、米利下げ観測が強く意識されることで「米金利の低下→米ドル安」の展開を予想する。このケースでのドル円は株式動向次第でトレンドが決定されよう。冴えない雇用統計が米利下げ観測をさらに高めるならば「米株高/金利低下」を背景にドル円は108円台を中心とした売り買い交錯を予想する。一方、「株安/金利低下」となれば108円割れを警戒したい。ユーロドルは上値トライを予想する。焦点は1.13台の攻防シフトである。
・ドル円とユーロドルの展望
上記のとおり、今日のドル円は米雇用統計後の動向を注視したい。上値トライの焦点は、108.60―85ゾーンの攻防である。108.60レベルはフィボナッチ・リトレースメント38.20%の水準であり、オファーも観測されている。108.75ではオプションバリアの攻防が想定される。そして108.86にはフィボナッチ・リトレースメント50.00%が位置している。株高のみのリスク選好相場ならば108.60レベルで上値がレジストされる展開を予想する。「米株高/金利上昇」ならば108.85トライを予想する。一方、下値の焦点は107.80の維持となろう。このレベルにはビッドが観測されている他、オプションバリアの攻防も想定される。また、下には売りストップの観測あり。
ユーロドルも米雇用統計後の動向が焦点だが、リスクリバーサルの上昇基調を考えるならば、1.13台への上昇が焦点となろう。1.1290から1.1330にかけてはオファーが並んでいる。一方、下値の焦点は1.12台の維持となろう。1.1210と1.1200にはビッドの観測あり。
【ドル円】
【ユーロドル】
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