根強い投資家のリスク選好スタンス
昨日の外為市場では、対円およびユーロで米ドル買い優勢となりました。しかし、主要な新興国通貨は米ドルに対して上昇しました。株式の各ボラティリティ指数の低下も考えるならば、投資家のリスク選好スタンスは根強いと言えます。詳細は本日のマーケットレポートをご参照ください。
Analysis Highlights
・根強い投資家のリスク選好スタンス
5日の米指標データは総じて市場予想を上回り、対円/ユーロで米ドル買い圧力が高まった。ドル円は112.12、ユーロドルは1.1288まで米ドル高が進行した。しかし、すべての主要国通貨に対して米ドル高とはならなかった。昨日の海外外為市場で筆者が注したのがこの点である。対米ドルで堅調に推移したのは主要な新興国通貨であり、この主因は米長期金利の動向にあると考えられる。リスク選好(=株高/米金利上昇)の局面では、外為市場で米ドル買い圧力が高まる。しかし、株高のみのリスク選好では米金利の低下の方が強く意識され、よりリスク性の高い通貨へマネーがシフトしやすい状況となっていることを昨日の動向は示唆している。リスク性の高い通貨へ資金がシフトするということは、投資家のリスク選好スタンスが根強いことを意味する。この点は、各ボラティリティ指数が低水準で安定した動きとなっていることと整合的である。本日も米指標データが投資家のリスクセンチメントに影響を与えよう。目先のリスク要因は米中通商協議に関するネガティブな報道である。しかし、米中首脳会談が3月下旬の開催で調整されている状況を考えるならば、この問題でリスク回避圧力が高まる可能性は低い。米株は調整の反落を挟みながら上昇基調を維持すると想定している。一方、米長期金利のトレンドは指標データ次第となろう。
尚、本日はカナダ中銀イベントがある。政策金利は1.75%で据え置き予想となっており、焦点は声明文にあろう。Q4GDPの落ち込みやポロズ総裁が金融政策の引き締めに消極的なスタンスを表明していることを考えるならば、ハト派の声明文によるカナダ売りを警戒したい。
・ドル円は堅調地合いを想定 ユーロドルは米独利回り格差の動向が焦点
今日のドル円は111円後半での堅調地合いを想定している。株式市場が堅調さを保つケースでは、111円後半でサポートされよう。一方、調整の株安局面ではドル円の下落幅が拡大しよう。しかし、投資家のリスク選好スタンスは根強い。200日MA(111.37)がサポートラインとして意識されるかどうか、この点を確認したい。112.20にはオファー、111.60から111.40にかけては断続的にビッドが観測されている。
一方、ユーロドルは金利動向でトレンドが決定されよう。良好な米指標データが確認される場合、米独利回り格差の拡大を想定し、昨日安値1.1288を下方ブレイクする展開を警戒したい。このケースでは、ビッドが観測されている1.1250を次の下値ターゲットと想定する。一方、米指標データが市場予想を下回る場合は、独金利の動向が焦点となろう。米金利以上に独金利が低下する(=利回り格差が拡大する)場合、昨日同様ユーロドルは下値トライの展開となろう。逆に米独利回り格差が縮小する場合は調整の反発より、昨日の高値レベルでありオファーが観測されている1.1350トライとなるかどうか、この点を確認したい。尚、リトレースメント61.80%の水準が重要レジスタンスポイントである点に変更はない。
【ドル円チャート】
【ユーロドルチャート】
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