株安でも米ドル高トレンドが一服 その要因は? / 米ドル高の調整を示唆するリスクリバーサル
株安の局面で米金利が低下する場合は米ドル安優勢の展開を想定しておきたい。国際商品市況の上昇と米金利低下の局面では資源国通貨を買い戻す動きが見られよう。目先は米ドル高の調整地合いを想定しておきたい。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
株安でも米ドル高トレンドが一服 その要因は?
【サマリー】
・米債市場では景気の先行きリスクがメインテーマとなっている
・米実質金利の動きと連動する米ドル相場
・国際商品市況と米金利の動きにも注目
・リスクリバーサルには短期的な米ドル高の調整相場を示唆する動きが見られる
・リスク回避相場でも米ドル高が一服している要因は?
19日の主要なアメリカの株価指数は続落した。ダウ平均(DJI)とS&P500指数(SPX)は連日で年初来安値を更新した。
セクター別のパフォーマンスを確認すると、連日でConsumer Defensive(生活必需品)セクターの下げ幅が拡大した。アメリカを代表する2大小売企業のウォルマート(WMT)とターゲット(TGT)の減益決算は、アメリカ経済のけん引役である消費の不透明感とそれに伴う景気の先行きリスクを意識させている。
一方、19日の外為市場は米ドル安優勢の展開となった。米株安(リスク回避)でも米ドル安となった要因は、米長期金利の動きにあると考えられる。
昨日の米債市場では、米株安に連動し長期金利が一時2.8%を割り込んだ。直近の米長期金利の低下は、実質金利(10年)の上昇を抑制する要因となっている。この実質金利の動きに連動し、ドルインデックス(DXY)の上昇も一服している(チャートを参照)。
下のラインチャートから読み取れることは、今年の3月以降、実質金利の動きによって米ドル相場のトレンドが左右されている、ということである。米債市場では現在、景気の先行きがメインテーマとして意識されている。よって、来週以降も重要経済指標の結果で米(実質)金利は上下に振れる展開が予想される。米ドル相場は米金利のトレンドに左右される状況が続こう。
米実質金利とドルインデックスのチャート
・国際商品市況と米金利の関係にも注目
19日の原油先物価格は上海市ロックダウンの解除による中国需要の回復期待と欧州連合(EU)による対ロシア制裁が意識され反発した。国際商品市況のトレンドを示すCRB指数(ロイター/ジェフリーズCRB指数)も上昇した。
昨日の米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、資源国通貨を中心に米ドル安が進行した。米株安となっても資源高が続けば、その動きは資源国通貨のサポート要因になることを昨日の米ドル相場が示唆している。
しかし、それには条件がある。それは、上で述べた米金利がリスク回避相場(株安)に連動し低下することである。まさに昨日の外為市場がそうだった。
来週以降も資源高とリスク回避相場が同時に発生する局面で米金利が低下する場合は、短期的な資源国通貨の買いを想定しておきたい。資源国通貨で米ドル安となれば、短期間で売られ過ぎた欧州通貨も対米ドルで調整の反発地合い(欧州通貨の買戻し)となることが予想される。
米ドル相場のパフォーマンチャート
米ドル高の調整を示唆するリスクリバーサル
・リスクリバーサルは短期的な米ドル高の調整を示唆
米金利の上昇が抑制され、実質金利も同じ状況に陥っていることを考えるならば、目先の外為市場は米ドル高の調整地合いを想定する局面にある。
この点は、通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間)も示唆している。ドル円(USDJPY)のそれは再びドル・プットへ傾いている。一方、ユーロドル(EURUSD)、ポンドドル(GBPUSD)そして豪ドル/米ドル(AUDUSD)のそれらはドル・プットのトレンドが一服している。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に躍起になっている状況を考えるならば、米ドル相場の先高観は根強い。しかし、今の米ドル相場が金利にらみの状況にあり、その金利は株式にらみとなっている。そして株式市場が不安定化している今の状況を考えるならば、目先は「株安→米金利の低下」による短期的な米ドル高の調整(米ドル安)が入る展開を想定しておきたい。
ドル円(USDJPY)は19日のレポートでも指摘したとおり、127.00レベルの維持が焦点となろう。一方、ユーロドル(EURUSD)は、短期レジスタンスライン(今日現在1.0590レベル)の上方ブレイクが焦点である(18日のレポートを参照)。
ドル円
ユーロドル / ポンドドル / 豪ドル米ドル
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