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米債市場は経済指標が焦点に 今週はインフレ指標に注目 / ドル円と豪ドル相場の焦点およびチャートポイント

米ドル相場は引き続き金利にらみの展開が続くだろう。その米金利は経済指標によって上下に振れる可能性がある。今週は4月のPCEデフレーターの内容と米金利の反応が焦点に。ドル円と豪ドル米ドルの注目ポイントは?上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

米債市場は経済指標が焦点に 今週はインフレ指標に注目


【サマリー】
・米債市場は経済指標にらみの展開が続く
・今週はPCEデフレーターと米金利の反応に注目
・ドル円の焦点と上下のチャートポイントについて
・豪ドル相場は政治よりもリスク資産にらみの展開が続く


経済指標にらみの状況が続く米債市場

今週の米ドル相場は、引き続き米債市場の動きをにらんだ展開が続くだろう。その米債市場では現在、米国株の下落に連動し利回りが低下基調にある。特に長期金利(10年債利回り)は今月9日に低下基調へ転じて以降、2.65%の水準をトライするムードが出始めている。
これら一連の動きに共通しているのは、アメリカ経済の先行きリスクが意識されているということである。景気がテーマである以上、今週も経済指標が米債市場のトレンドに大きな影響を与えることが予想される。

アメリカ長期金利のチャート

アメリカ長期金利のチャート

・PCEデフレーター

経済指標の中でも今週は、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ指標として重視するPCEデフレーター(4月)の内容と米金利の反応に注目したい。

現在は、高インフレがアメリカ経済のリスク要因として意識されている。よって、PCEデフレーターがインフレのピークアウトを想起させる内容となれば景気の先行き懸念が後退しよう。米国市場では、株式の買戻しとそれに伴って米金利が反発する可能性がある。このケースの外為市場では、米ドル買い優勢の展開を想定しておきたい。

一方、PCEデフレーターが予想以上に上昇する場合は、持続的なインフレリスクを株式市場の参加者に意識させる可能性があろう。
PCEデフレーターが米株安要因となれば、長期金利も株安に追随し低下することが予想される。このケースでの外為市場では、通貨によって米ドル相場のトレンドが左右されると予想する。対円(USDJPY)やユーロ(EURUSD)では米ドル安優勢の展開を想定しておきたい。
一方、対資源国通貨や新興国通貨では米ドル高の展開が予想される。リスク回避の相場(株安/金利の低下)では、安全資産としての米ドル買いの圧力がリスク性の高い通貨(資源国通貨/新興国通貨)に対して高まることが予想されるからだ。

PCEデフレーターの推移

PCEデフレーターの推移

ドル円 目先の焦点は127円の攻防

・127円の攻防

今週のドル円(USDJPY)は、127円台の攻防が焦点となろう。上で述べたとおり、景気の先行きリスクが意識され米金利は低下基調にある。長期金利だけでなく5年債利回りも低下基調にあることで、ドル円はジリジリと水準を下げる局面にある。
今週以降の米経済指標で金利の低下幅がさらに拡大する場合は、127円の下方ブレイクを予想する。このケースでは、121.26(3/31安値)と131.34(5/9高値)の半値戻しの水準126.30レベルのトライ&ブレイクが焦点となろう。

・21日線の突破

一方、ドル円(USDJPY)が反発する場合は、今月の中旬以降レジスタンスラインとして意識されている21日移動平均線(SMA)の突破が焦点となろう。
通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間)の動きを確認すると、一気にドル・コールへ傾いている。現在の米金利のトレンドはドル円の下落要因だが、日米金融政策スタンスの差がメインテーマである状況は続いている。また、実需の面では資源高による経常収支の悪化が常態化する可能性もくすぶる。今週以降の米経済指標で投資家が抱く景気の先行きリスクへの懸念を後退させる内容が続けば、再び130円台を目指す可能性が出てくる。そのシグナルとしてまずは、21日線のトライ&ブレイクに注目したい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート

豪ドル相場は政治よりも経済  豪ドル/米ドルのチャートポイント

・リスク資産にらみの状況が続く豪ドル相場

今月21日に投開票されたオーストラリア(豪州)の総選挙では、最大野党の労働党が勝利し9年ぶりに政権が交代することになった。
週明けの豪ドル相場は対米ドルと円で買い優勢の展開が見られるが、上昇幅は限定的である。労働党は下院(定数151)の過半数の議席を確保できない可能性があり、盤石な政権運営には不安が残る。よって、豪州の政治が豪ドル相場に与える影響については、中長期の視点で考える必要があろう。

目先の豪ドル相場は、引き続き国際商品市場の動きに影響を受ける状況が続くと予想する。現状、株式市場は不安定な状況にあるが、国際商品市場は資源需給のひっ迫観測により堅調地合いを維持している。国際商品市場が今の状況を維持する場合、豪ドル相場は対米ドルと円で反発基調を維持すると予想する。

一方、アメリカをはじめとした主要国の経済指標で景気の後退リスクを示唆する内容が続けば、国際商品市場でも下落の圧力が高まることが予想される。米FRBによる金融引き締めペースの加速が確実されているタイミングで国際商品市場が崩れる場合、一転して豪ドル相場には売りの圧力が高まろう。

・豪ドル/米ドルのチャートポイント

豪ドル/米ドル(AUDUSD)のリスクリバーサル(1週間)の動向を確認すると、ドル・コールの動きが後退している。テクニカルの面では、21日移動平均線(SMA)の上方ブレイクに成功している。これら一連の動きを考えるならば、今週の豪ドル/米ドルは0.71台への上昇が焦点となろう。0.7100レベルは5月高安の61.8%戻しの水準にあたる。
豪ドル/米ドルが0.71台へ上昇する場合、次の焦点は0.72および今月4日と5日に相場の上昇を止めたレジスタンスポイント0.7265前後のトライ&ブレイクである。

一方、景気の後退懸念により国際商品市場が崩れる場合は、豪ドル売りの展開を想定しておきたい。このケースでの焦点は、今月18日と19日に相場をサポートした0.69ミドルの維持が焦点となろう。
このサポートポイントをも下方ブレイクする場合は、0.69の下方ブレイクおよび今月12日の安値0.6827のトライを想定しておきたい。

豪ドル/米ドルのチャート

豪ドル/米ドルのチャート

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