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インフレ懸念の後退と米ドル安トレンドの加速 / ドル円と豪ドル米ドルの注目ポイント

6日の米経済指標を受けてインフレと金融引き締めに対する懸念が後退している。今週の外為市場は米ドル安優勢の展開を予想する。注目の通貨ペアは豪ドル/米ドル(AUDUSD)とドル円(USDJPY)。それぞれの注目ポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

インフレ懸念の後退と米ドル安トレンドの加速


【サマリー】
・6日の米経済指標を受けインフレと金融引き締めに対する懸念が後退している
・今週の外為市場は米ドル安優勢の展開を想定しておきたい
・12月消費者物価指数でインフレ懸念がさらに後退すれば米ドル安が加速するだろう
・ドル円と豪ドル/米ドルの展望について


重要経済指標でインフレ懸念が後退

先週6日に米労働省が発表した12月雇用統計によれば、非農業部門の就業者数は前月から22万3000人増加した。一方、失業率は3.7%から3.5%へ低下した。

市場参加者が注視していたのが、賃金(インフレ)の動向である。12月の平均時給は前年比で4.6%と、前月の4.8%から低下した。前月比も0.4%から0.3%へ低下した。

また、同日に発表された12月ISM非製造業景気指数は49.6と予想の55.0を大きく下回った。

米国の平均時給とISM非製造業景気指数の動向

米国の平均時給とISM非製造業景気指数の動向 データとチャート:Bloomberg / 月次(2021年7月~)

「今年は米国のインフレが低下していく」-各市場の参加者が描くこのシナリオを崩す要因として、市場では「賃金インフレ」と「サービス業」の動向を注視していた。それゆえ、6日の経済指標の内容は市場参加者のインフレ懸念を後退させる要因となった。

この日の米債市場では、長期金利(10年債利回り)が約2週間ぶりとなる3.54%台まで低下する局面が見られた。一方、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも約2週間ぶりに4.243%まで低下する局面が見られた。

米金利の低下は外為市場での米ドル売りの圧力を高め、米ドル相場は対主要通貨で全面安の展開となった。

米ドル相場の動向:1月6日

米ドル相場の動向:1月6日 データ:Bloomberg / 基準日:1月5日 / DXY:ドルインデックス

外為市場の展望

オセアニア通貨と資源国通貨の展望

今週の注目材料は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の言動(スウェーデン中銀主催の国際シンポジウム「中央銀行の独立性に関する討論会」に参加、10日)と12日の12月米消費者物価指数(CPI)である。

パウエル氏の言動により米金利の低下圧力が後退しても、12月米CPIがインフレの鈍化傾向を示す内容となれば、米ドル安トレンドが加速する展開が予想される。

インフレ懸念の後退は、米国株の上昇要因である。このレポートでは、米金利の低下と株高が同時に発生する局面では米ドル売りの圧力が高まると同時に、豪ドルや資源と関わりの深い通貨の買い圧力が高まりやすいと指摘してきた。

あらためて上のパフォーマンスチャートを確認するとノルウェークローネ(NOK)、ブラジルレアル(BRL)そしてオセアニア通貨(豪ドル/NZドル)に対して、米ドル安が進行したことがわかる。

よって、12月米CPIを受けて米金利の低下と株高が同時に発生する場合は、6日の相場と同じくオセアニア通貨(豪ドル/NZドル)や資源国通貨が対米ドルで上昇する展開を予想する。

注目の通貨ペアは、豪ドル/米ドル(AUDUSD)である。すでに昨年高安の半値戻し0.6916レベルを突破する局面が見られる。モメンタム(12日)も上昇相場に勢いがあることを示唆している。

上で述べた「米インフレ懸念の後退→米金利の低下と株高の同時発生」の可能性も考えるならば、目先は節目の0.70をブレイクする展開を想定しておきたい。

これを達成後、反落の局面で0.70台を維持する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準0.7092レベル(0.71レベル)を視野に上昇幅の拡大を想定しておきたい。

豪ドル/米ドルのチャート

豪ドル/米ドルのチャート チャート:Tradingview /日足(2022年~)

ドル円の展望

今週のドル円(USDJPY)は、米ドル安トレンドを受け下値を模索する展開が予想される。

上で述べたとおり、インフレリスクと金融引き締めの長期化に対する懸念の後退を受け、米債市場では利回りが低下基調にある。この動きを受け、日米の利回り格差も縮小の傾向にある。

またテクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準134.80レベルで相場の反発が止められた。

日足ローソク足は長い上ヒゲ付きの陰線引けとなり、ドル円の地合いの弱さと反発相場の終わりを示唆するかたちとなった。

ドル円の下落局面では130円台の維持が焦点となろう。今月3日と4日に130.00レベルをトライした時はこの水準付近で相場が反転し、下ヒゲが示現した(日足ローソク足)。同じ展開が繰り返される場合は、130.00レベルを下限に短期的なレンジ相場へシフトする可能性が出てくる。

一方、ドル円が130円台を完全に下方ブレイクする場合は、3日の安値129.51レベルのトライおよびブレイクが焦点となろう。

また、ドル円が130.00ブレイク後に反発する場合、130.00レベルがレジスタンスとなるかどうか?この点も今後のトレンドを考える上で重要なポイントとなろう。

後者の状況が確認される場合は、ドル円の下落幅がさらに拡大するシグナルと想定しておきたい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート チャート:Tradingview / 日足(昨年10月~)

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