関税引き上げとインフラ投資政策
令和最初のレポートはトランプ関税とインフラ投資政策についてです。なぜこのタイミングでトランプサイドは関税引き上げを表明してきたのか?この点について考えることは、今後の米国政治と経済を考える上で重要です。詳細はレポートにて。
Analysis Highlights
・関税引き上げとインフラ投資政策
トランプ米大統領は5日、2000億ドル分の中国製品に対する現在の関税(10%)を、10日から25%へ引き上げると表明した。この件について最も重要なことは、なぜこのタイミングで関税引き上げの決断をしたのか?である。8日から予定されている米中閣僚級の協議で有利に事を進めたい思惑は当然あろう。しかし筆者は、今回の関税引き上げはインフラ投資政策の合意がキーポイントであると考えている。米民主党指導部は前月30日、総額2兆ドル(約220兆円)規模のインフラ投資政策で合意すると表明した。今年中にも減税政策の効果が薄れていくことが予想される中、新たな景気刺激策の確保はトランプ政権にとって重要課題のひとつだった。そして今回の合意でその課題をクリアした。インフラ投資政策が貿易摩擦の影響を緩和させ且つ米景気をサポートすれば、来年の米大統領選でトランプ氏再選の可能性が高まるという点では、経済面のみならず政治面でも今回の合意は重要な意味を持つ。そしてトランプ政権サイドはこの点をしたたかに計算に入れていると思われる。だからこそ3月1日の交渉期限前ではなく、このタイミングで関税引き上げのカードを切ったと考えられる。
・ドル円とユーロドルの展望
今週の外為市場は、米中通商交渉と米国市場にらみの展開となろう。今日と明日の米ドル相場についてだが、米中貿易摩擦とそれに伴う中国経済の不透明感を意識した「原油価格の抑制→米金利の上昇圧力後退」を背景に米ドル買い圧力が抑制されると想定する。ドル円は米株の動向も考える必要がある。S&P500のボラティリティ(日々の変動幅を年率換算)は6%前後の水準まで低下している。低すぎるボラティリティは次のボラティリティ拡大のシグナルとなり得る。この点を重視するならば、米株の調整を警戒すべきタイミングにある。米金利の抑制と米株の調整を警戒し、今日と明日のドル円については110円台の維持が焦点となろう。110.10から110.00にはビッドが観測されている。一方、上値の焦点は111円台の回復である。110.95の突破は111.00トライのシグナルと想定したい。
ユーロドルは、3月20日高値1.1448を起点とした短期レジスタンスラインの突破が目先の焦点となろう。このラインは今日現在1.1240前後で推移している。このラインの突破に成功する場合、次のターゲットは先月22日以降相場をレジストし続けている1.1260レベルとなろう。一方、下値の焦点はフィボナッチ・プロジェクション61.80%の水準にあたる1.1132レベルの攻防が焦点となろう。すぐ下の1.1130にはビッドが観測されている。1.1100にもビッドの観測あり。
【ドル円】
【ユーロドル】
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