ゼネラル・エレクトリック(GE)、産業セグメントは2019/12通期FCFの黒字化見通しへ、中長期では産業向けデジタル事業に期待
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- 2019/12期3Q(7-9月)は売上高が前年同期比0.1%減の233.60億USD、継続企業からのEPSが前年同期の▲2.64USDから▲0.15USDへ赤字幅縮小。Non-GAAPの調整後EPSが同36.4%増の0.15USD。
- 産業セグメントに係る事業別の売上高は、電力事業が同13.9%減、再生可能エネルギー事業が同12.9%増、航空事業が同8.4%増、ヘルスケア事業が同4.6%増。
- 2019/12通期の産業セグメントのFCF黒字化達成が見込まれる。中長期では金属3D印刷技術を活かした産業向けデジタル事業に期待。
What is the news?
2019/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比0.1%減の233.60億USD、継続企業からのEPSが前年同期の▲2.64USDから▲0.15USDへ赤字幅縮小。ベーカー・ヒューズ(BKR)の持分売却損失、GEキャピタルの年間生命保険料に係る不足引当金、および水力発電に係るのれん償却費(7.40億USD)などの非現金支出を除いたNon-GAAPの調整後EPSは同36.4%増の0.15USD。GEキャピタルを除く産業セグメントでは、Non-GAAPのオーガニック売上高が同7.1%増の215.10億USD、調整後営業利益が同19.2%増の21.47億USD。財務改善に向け、ワブテック(WAB)とベーカー・ヒューズの持分を売却し、産業セグメントの負債返済に充当。更に2021年以降の企業年金を凍結。GEキャピタルに関し、債務削減のための資産売却実施のほかPKエアファイナンスの売却を発表した。
セグメント別の売上高は次のとおり。産業セグメントは、電力事業が同13.9%減の39.26億USD、再生可能エネルギー事業が同12.9%増の44.25億USD、航空事業が同8.4%増の81.09億USD、ヘルスケア事業が同4.6%増の49.23億USD。GEキャピタルセグメントは、継続事業からの資本変動額が前年同期の1,900万USDから▲6.45億USDへ赤字転落。
How do we view this?
2019/12通期の産業セグメントに係る会社計画は、フリーキャッシュフロー(FCF)が前回発表時の▲10-10億USDから0-20億USDへ上方修正された。構造改革費用を同17-20億USDから11-14億USDへ、現金支出費用(下限)を同15億USDから13億USDへ低減。ラリー・カルプCEOの下、FCFの黒字化が見えてきた。デジタル事業が分社化され、短期的には手堅い製造業に経営資源を集中する方針を継続すると見られるが、GEデジタルが独立した会社となった点については、早期の収益化に向けて機動性が高まるという見方もできよう。また、レーザーや電子ビームで金属粉から緻密な部品を積層成形する金属3D印刷技術に強みを有することから、産業向けデジタル事業は中長期的には期待されよう。2019/12通期の市場予想は、売上高が前期比11.6%減の1,074.81億USD、当期利益が前期の▲223.55億USDから黒字転換の3.65億USD。
終値(USD)11.53 2019/11/21
会社概要
1878年のトーマス・エジソンによる創業を経て1892年に設立。電気照明事業をルーツとする多国籍ハイテク・コングロマリット企業。仏アルストムの大型買収などに伴う電力事業関連のれん償却費約230億USDを2018/12期に計上。経営再建のため、米医療機器大手ダナハー(DHR)のCEOとして実績を上げたラリー・カルプ氏をCEOとして招へい。鉄道事業をワブテック(WAB)と統合、バイオ医薬の検査機器事業をダナハーへ売却、石油・ガス事業のベーカー・ヒューズ(BKR)への出資持ち分の減少、および祖業である照明事業の投資会社への売却など事業の選択と集中を断続的に進めている。
現在の同社を構成する事業セグメントは、発電機などの電力事業、風力タービンや水力発電に係る再生可能エネルギー事業、ジェットエンジンなどの航空事業、医療画像処理などのヘルスケア事業の4事業から構成される産業セグメント、およびリースや保険などの金融事業に係るGEキャピタルセグメントである。GEキャピタルについても、産業セグメントを支援する部門を除いて縮小する方針が示されている。
企業データ(2019/11/22)
ベータ値 1.03
時価総額(百万USD) 100,698
企業価値=EV(百万USD) 129,869
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 530.6
1.VANGUARD GROUP 7.48
2.FMR 7.08
3.ブラックロック 5.98
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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