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NY金がトランプトレードに直面、銀価格とともに下落相場を警戒、それぞれの見通し

アメリカ大統領選挙で共和党のトランプ氏が圧勝した。議会選挙では上下両院ともに共和党が制する可能性が高まっている。米連邦準備制度理事会(FRB)は11月の会合で連続利下げを決定したが、「トランプトレード」が再燃する可能性を考えるならば、目先のスポット金価格は短期の下落を警戒したい。銀価格は下落幅が拡大する可能性がある。

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トランプトレードに直面する金銀価格

・2024年のアメリカ大統領選挙で共和党のトランプ氏が圧勝した。

・議会選挙では共和党が上院を制した。ロイター通信によれば、下院選でも共和党が過半数に達する可能性があるという。

・「トリプルレッド」となれば、 「トランプトレード」が再燃し、米債市場では金利の高止まり、または上昇基調が続く可能性が高まろう。外為市場では米ドル高優勢の展開が予想される。

・また、米国株が大統領選挙直後から「株高のスタートダッシュ」に成功していることを考えるならば、年末高の可能性も出てきた。

・「トランプトレード」の再燃は、スポットの金価格と銀価格の下落圧力を高める要因となろう。

金価格の見通しとチャート分析

下落局面での注目のテクニカルライン

米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げを受け、7日の金価格は反発した。しかし今日は、再び売り優勢の状況にある。

筆者は金価格について今でも強気の見通しにある。しかし予想外にトランプ陣営が圧勝し、6日のレポートで取り上げたサポート水準を金価格がことごとく下方ブレイクしたこと、そして米利下げの影響が筆者の想定より小さいことも考えるならば、目先はトランプトレードの再燃による下落リスクの方を警戒する必要が出てきた。

日足のモメンタムはゼロラインを下回り、弱気相場に勢いが出始めていることを示唆している(下の日足チャート、赤矢印を参照)。デッドクロスへ転じたMACDも同じくゼロラインを下回れば、金価格は下で取り上げるテクニカルラインを視野に短期売りを想定しておきたい。

特に注目したいのが50日線である。この移動平均線は、7月の下落相場を止めた経緯がある(下の日足チャート、青ラインを参照)。サポート転換の可能性がある2,675レベルの下方ブレイクは、50日線をトライするシグナルと想定しておきたい。

サポート転換が確認された2,600ドルをも金価格が難なく下方ブレイクする場合は、75日線までの下落を想定しておきたい(下の日足チャート、紫のラインを参照)。

金価格のサポートポイント

・2,675:サポート転換の可能性がある水準
・2,643:11月7日安値、50日線(11/8時点)
・2,600:サポート転換した水準
・2,583:75日線(11/8時点)

戻り売りを警戒すべき水準は?

金価格が上昇しても、少なくとも年内はレジスタンスラインでの戻り売り(反落)を常に警戒したい。

今日以降、注目しておきたいレジスタンスラインが2,730レベルである。2,734は直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。今月に入りレジスタンスラインとして相場の反発を止めている10日線が61.8%戻しと交錯している。レジスタンス転換の可能性があることも考えるならば、重要な上値の水準として注目しておきたい。半値戻しの水準2,716の突破は、2,730レベル(10日線)をトライするサインと捉えたい。

金価格が10日線を突破しても、次はレジスタンスラインへ転換する可能性のある2,750レベルが控えている。すぐ上の水準2,755は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準にあたる。

金価格のレジスタンスポイント

・2,755:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・2,734:フィボナッチ・リトレースメント61.8%、10日線(11/8時点)
・2,716:半値戻し

金価格のチャート:日足 2024年7月下旬以降

金価格のチャート:日足 2024年7月下旬以降

出所:TradingView

上で取り上げたサポートライン、または他の下値の水準で何度も相場が反発する局面が見らる時は、金価格の底打ちを意識したい。実際に底打ちした後、今回のレポートで取り上げたレジスタンスラインを突破し、6日のレポートで指摘した2,760ドル以上の攻防へシフトすれば、10月31日に付けた最高値2,790ドルのトライが見えてこよう。


銀価格の見通しとチャート分析

ボラティリティが拡大の傾向に

2つのビッグイベントーアメリカ大統領選挙と米連邦公開市場委員会(FOMC)で金価格以上に変動幅が拡大したのがスポットの銀価格だった。

ロイター通信の報道では、下院選で共和党が211議席を確保し、過半数まであと7議席に迫っているという。「トリプルレッド」となれば、トランプトレードの再燃(金利上昇、ドル高、米株高)で、金価格以上に銀価格の下落幅が拡大する展開を警戒したい。

金と銀価格の変動率:11月4日~8日

金と銀価格の変動率:11月4日~8日

ブルームバーグのデータで筆者が作成

銀価格、下落の局面では30ドルの維持が焦点に

銀価格の下落局面で注目したいのが、節目のラインであり、かつサポートラインへの転換も確認された30ドルの維持である。

銀価格が30ドルをトライするサインとして3つのサポート水準-6日の安値、50日線そして短期サポートラインの攻防に注目したい。

日足のMACDはゼロラインに向かって低下トレンドにある(下の日足チャート、黒矢印を参照)。イベントの感応度が金価格以上に高まっていることも考えるならば、今は30ドル割れの可能性を意識しておきたい。

銀価格のサポートポイント

・31.37:50日線(11/8時点)
・30.84:11月6日安値
・30.30:短期サポートライン(11/8時点)
・30.00:節目かつサポート転換の水準

上昇の局面では金と同じく戻り売りを警戒

トランプトレードが再燃する可能性を考えるならば、銀価格の上昇局面では金と同じく、レジスタンスラインでの反落を常に警戒したい。

目先、レジスタンスラインの候補として注目したいのが、10月23日の高値と11月6日の安値から算出される各フィボナッチ・リトレースメントの水準である。

38.2%戻しと61.8%戻しはレジスタンスラインへ転換する可能性がある。半値戻しと76.4%の水準は相場の反発を止めた経緯がある。10日線が38.2%戻し32.37に向かって低下している。最初のレジスタンスライン(38.2%戻し)すら突破できない状況が続けば、銀価格の地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。

銀価格のレジスタンスポイント

・33.91:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・33.32:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・32.85:半値戻し
・32.37:フィボナッチ・リトレースメント38.2%

銀価格のチャート:日足 2024年8月以降

銀価格のチャート:日足 2024年8月以降

出所:TradingView


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