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金価格、米大統領選挙後も強気相場を想定、FRB連続利下げならば金価格の下支え要因に

トランプ陣営の優位が後退しているとの思惑で「トランプトレード」の巻き戻しが起こっている。スポットの金価格は様子見のムードだが、米大統領選の結果で下落する場合は押し目買いを狙いたい。FOMCとパウエル会見で連続利下げの期待が高まれば、金価格の押し上げ要因となろう。

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記事のポイント

・強い米経済指標でもトランプトレードの巻き戻し、金価格をサポート
・米大統領選挙後に金価格が下落しても、押し目買いを狙いたい
・FOMCで連続利下げの期待高まれば、金価格をサポートしよう
・金価格、目先注目のテクニカルラインについて


スポット金価格のチャート水準

レジスタンスポイント

・2,790:最高値の水準
・2,770:レジスタンス転換の可能性あり
・2,760:レジスタンス
・2,748:10日線

サポートポイント

・2,715:サポート、すぐ下の水準に21日線
・2,700:サポート、半値戻し
・2,670:サポート転換の水準、61.8%戻し


トランプトレードの巻き戻し

米供給管理協会(ISM)が5日に発表した10月の非製造業総合指数は56.0と、前月の54.9から上昇した。雇用指数は48.1から53.0に上昇。10月雇用統計での低調な就業者数が特殊要因であることを示唆した。

強い経済指標は米長期金利の押し上げ要因だが、この日は低下した。外為市場では米ドル安優勢の展開となった。これらの動きは、「トランプトレード」の巻き戻しが続いている。

トランプトレード巻き戻しの要因は、トランプ陣営の勢いが後退しているとの思惑にある。2日の世論調査で、直近2回のアメリカ大統領選挙で共和党が優勢だったアイオワ州で、民主党ハリス候補の支持率がトランプ候補のそれを上回ったと報じられた。週明けの米長期金利は上昇が抑制され、外為市場は米ドル安で反応した。昨日も同じ展開となった。

トランプトレード巻き戻しは、スポットの金価格(以下では金価格)の下支え要因となっている。

米長期金利、ドル指数、金価格の動向:2024年9月以降

米長期金利、ドル指数、金価格の動向:2024年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

米大統領選挙後も金価格の強気相場を想定

最後まで大接戦となった2024年のアメリカ大統領選挙。結果が判明するまで時間を要するとの見方がある。

昨日まではトランプトレードの巻き戻しで、米長期金利と米ドルの上昇が抑制された。しかし、本日東京時間では米長期金利が急反発している。この動きに連動し、米ドルも買い戻されている。トランプ候補の勝利と議会選挙で上下両院とも共和党が制する「トリプルレッド」となれば、トランプトレードが復活するだろう。このケースでは、金価格には売りの圧力が高まろう。

IGコモディティレポート「アメリカ大統領選挙レポート 金価格の展望 最高値更新のNY金、米大統領選挙後も強気相場を維持できるのか?」で述べたとおり、筆者は金価格の先行きについて強気の見通しにある。ゆえに金価格の下落局面では、常に押し目買いのタイミングを考えたい。

今週、その候補として注目したいのが2,715レベルである。先月21日以降、この水準がサポートラインとして意識されている。また現在は、21日線が2,712レベルまで上昇している。金価格が21日線を下方ブレイクしても、短期サポートラインが控えている。このラインは本日、2,700レベルに上昇している。

スポット金価格のチャート:日足 2024年7月以降

スポット金価格のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

フィボナッチ・リトレースメントの観点でも、2,715ドルと2,700ドルは重要なサポートラインである。10月10日の安値と同月31日高値の38.2%水準は2,718レベルにあたる。2,695レベルは半値戻しの水準にあたる。

アメリカ大統領選挙の結果を受け、金価格が2,700ドルを下方ブレイクしても、サポート転換が確認された2,670レベルが相場をサポートする展開を想定しておきたい。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。

トランプ陣営が大統領選と議会選で大勝し金価格が下落しても、上で取り上げたサポートラインで反発する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。

金価格のチャート:4時間足 10月8日以降

スポット金価格のチャート:4時間足 10月8日以降

出所:TradingView

FOMC、高まる連続利下げの期待は金価格のサポート要因に

今日から明日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。11月の会合では0.25%の利下げが完全に織り込まれている。ゆえに焦点は、5日のIG米国株レポート「軟調地合いの米半導体株、ナスダック100は米議会選挙とFOMCにらみ、再び上昇ムード高まるか」で述べたとおり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースにあろう。

短期金融市場は、12月のFOMCでもパウエルFRBが追加の利下げを行うことを織り込み始めている。しかしその確率は、60%台で推移している。

米政策金利の予想推移

米政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 6日午前10時時点 OISに基づく予想推移

アメリカ大統領選挙後の景気動向、特に労働市場について、パウエルFRBがどのような見解を示すのか?この点が、12月利下げの可能性を大きく左右するだろう。労働市場の軟化リスクに言及する場合は、パウエルFRBがプロアクティブに動くとの見方が強まり、連続利下げの期待が高まるだろう。この期待は、金価格の押し上げ要因となろう。

上昇局面でのレジスタンスポイント

金価格の上昇局面では、10日線の突破とサポート転換を確認したい(上の日足チャート、緑ラインを参照)。今日現在、2,748レベルで推移している10日線がサポートラインへ転換すれば、11月1日の高値2,760ドルの突破が次の焦点となろう。

金価格が2,760ドル台で底固めとなれば、レジスタンスラインへ転換する可能性のある2,770の攻防が次の焦点に浮上しよう。後者のレジスタンスポイントをも突破する場合は、最高値2,790ドルを視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。

スポット金価格のチャート:4時間足 10月8日以降

スポット金価格のチャート:4時間足 10月8日以降

出所:TradingView


再掲 スポット金価格のチャート水準

レジスタンスポイント

・2,790:最高値の水準
・2,770:レジスタンス転換の可能性あり
・2,760:レジスタンス
・2,748:10日線

サポートポイント

・2,715:サポート、すぐ下の水準に21日線
・2,700:サポート、半値戻し
・2,670:サポート転換の水準、61.8%戻し



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