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金価格の上昇ムードを変えた米雇用統計、アメリカCPIとFOMC次第ではさらなる下落も

5月末の外貨準備で中国人民銀行が19カ月ぶりに金を積み増ししなかったことが判明した。一方、5月の米雇用統計は労働市場の堅調さを示した。受難が続いたNY金(金価格)は先週7日の市場で急落した。今週の金価格は、5月の米CPIとFOMCで上下に振れるだろう。今は調整の反落相場を警戒したい。


この記事のポイント

・金価格は現在、調整の反落相場を意識する状況にある
・中国人民銀行の動きよりも重要なのは、米国の経済と政策動向である
・目先の金価格は、21日線と75日線の攻防に注目したい
・75日線をも下抜ける場合、次に注目しておきたいサポートの水準は?


調整相場の進行を警戒、焦点は75日線の攻防

スポットのNY金価格(XAU、以下金価格)は7日、3.4%急落する展開となった。21日線だけでなく、新たなサポート水準として浮上していた2,325レベルをも難なく下方ブレイクしたことで、金価格は調整の反落ムードが高まっている。

今週、金価格がさらに下値を試す場合、目先注目したいのが75日線の攻防である。この移動平均線は今日現在、2,280前後で推移している(下のチャート、青ラインを参照)。そしてすぐ下の水準には、サポート転換が確認されている2,275レベルが控えている。

金価格がこれらの2つの重要な水準をも下方ブレイクする場合は、調整の反落相場がさらに進行する展開を想定する必要があろう。

日足のストキャスティクスは売られ過ぎの水準まで急低下している(下のチャート、赤矢印を参照)。ゴールデンクロスが確認される場合は、金価格の反発が予想される。

しかし、21日線(今日現在2,355レベル、下のチャートの緑ラインを参照)で相場の戻りが止められる場合は、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。この状況が確認される場合は、やはり調整相場の進行を警戒したい。

金価格のチャート:日足 今年2月以降

金価格のチャート:日足 今年2月以降 TradingView提供のチャートで作成


中国人民銀行、5月は金の積み増しをせず

IGコモディティレポートでは、中国人民銀行の継続的な金積み増しが上昇トレンドの要因となっている点について指摘した。

その中国人民銀行(中央銀行)は先週7日、5月末の外貨準備を公表した。内訳によれば、金の保有量は約2264トンとなり、19カ月ぶりに積み増ししなかったことが判明した。

BRICS圏の拡大、そしてロシアと協力しブロックチェーンに基づく独自の決済システムの構築に乗り出している中国の動きを考えるならば、通貨覇権を巡る米中の攻防は今後も続くことが予想される。ゆえに中国人民銀行は、今後も金の保有量を積み増していくことが予想される。

よって、5月に金の積み増しが停止したことによる金価格(XAU)への影響は、上昇圧力を後退させる一時的な要因と捉えたい。


ムードを変えた5月の米雇用統計

中期的に金価格(XAU)のトレンドを左右する要因として注視したいのが、米国経済と金融政策の動向である。

5月の米雇用統計は、米債市場と米ドル相場のムードを変えた(下のチャート、グレーゾーンを参照)。注目すべきは、非農業部門雇用者数が27.2万人と市場予想の18.0万人を大きく上回ると同時に、賃金が前月比と前年同月比でともに上昇したことである(詳細はこちらのIG為替レポートを参照)。

NY金価格、米国10年債利回り、ドル指数のチャート:30分足 5月29日以降

NY金価格、米国10年債利回り、ドル指数のチャート:5月29日以降 TradingView提供のチャートで作成

次の焦点は5月の消費者物価指数(CPI)

賃金インフレは物価の鈍化を阻む要因である。このタイミングで今週12日に5月の消費者物価指数(CPI)が発表される。

市場予想を確認すると、インフレが抑制される見通しである(下のチャートを参照)。しかし、こちらのIG為替レポートで指摘したとおり、インフレ低下の鍵を握るサービス価格はまだら模様の状況にある。

5月の雇用統計で労働市場の堅調さが確認された状況で、5月CPIでインフレの粘着性までが示される場合は、9月利下げの可能性が著しく後退しよう。米債市場では金利が上昇し、外為市場では米ドル高の進行が予想される。

このケースでの金価格は、75日線以下の攻防へシフトする展開を想定したい。

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年5月以降

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

“タカ派”のFOMCを警戒

5月CPIでインフレの抑制傾向が確認される場合は、金価格(XAU)の下支え要因となろう。しかし、5月CPIの後には、連邦公開市場委員会(FOMC)が控えている。

市場の関心は、最新の政策金利の見通し(ドットプロット)に集中している。現状、FOMCに参加しているメンバーは、中央値で今年3回の利下げを想定している。6月に示される最新の予想では1~2回に減る見方が出ている。

また、インフレ再燃のリスクと5月雇用統計の内容を考えるならば、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は定例会見で早期の利下げについて慎重な姿勢を貫く可能性が高い。ゆえに、今回のFOMCイベントが総じて“タカ派”となる可能性がある。

さえない5月CPIで金価格が反発しても“タカ派”のFOMCとなれば、反発のトレンドが挫かれる展開を想定しておきたい。


75日線のブレイクと次のサポート水準

5月の米CPIとFOMCが金価格(XAU)の下落要因となる場合は、75日線以下の攻防を想定したい。

このケースでは、2,200ドル台の維持が焦点として浮上しよう。昨年10月の安値1,810レベルと直近の高値2,450レベルのフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しの水準が2,205レベルにあたる。

また、すぐ上の水準2,217レベルは、2月の安値1,984レベルと直近の高値2,450レベルの半値戻しにあたる。2,205~2,220レベルがサポートゾーンとなり、金価格の下落を止める展開が予想される。

なお、2,272レベルは2月の安値1,984レベルと直近の高値2,450レベルの38.2%水準にあたる(下のチャート、青ラインを参照)。フィボナッチ・リトレースメントの観点からも、2,270台の攻防(75日線の攻防)は、金価格のトレンドを左右する可能性があろう。

金価格のチャート:週足 23年9月以降

金価格のチャート:週足 23年9月以降 TradingView提供のチャートで作成

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