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NY金、売り一服も市場の見通しは弱気に傾いている 今日の見通し

金(ゴールド)の売りが一服している。しかし、市場の見通しが強気に傾いているわけではない。今日は短縮取引のレンジ相場が予想されるが、来週の米経済指標次第でゴールド売りが再燃する可能性がある。

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NY金の下げ一服、欧州の地政学リスクと米利下げ期待が下支え

NY金が下げ止まっている。危機レベルが一段上昇したロシアーウクライナの地政学リスクに加えて、米連邦準備制度理事会(FRB)の12月利下げ確率が上昇していることが金(ゴールド)の下支え要因となっている。以下に要点をまとめた。

・ロシアのプーチン大統領は28日、ロシア軍が同日の朝、ウクライナ各地に対して大規模な攻撃を仕掛けたと述べた。この攻撃についてプーチン大統領は、ウクライナ軍によるアメリカ製のミサイル「ATACMS(エイタクムス)」によるロシア領への攻撃が続いていることに対抗した報復であることを示唆した。欧州の地政学リスクはゴールドの下支え要因となっている

・米連邦準備制度理事会(FRB)が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%の追加利下げに踏み切る可能性が再び高まっている。CMEのFedWatch ツールによれば、27日時点の利下げ確率は66%台で、直近は62%前後で推移している(29日午前10時時点)。一方、米債市場では一時4.5%近くまで上昇していた長期金利(10年債利回り)が4.2%台まで低下している。外為市場では調整の米ドル安が続いている。利下げ期待が一因となり上昇が抑制されている米長期金利と米ドル高の調整もゴールドの下支え要因となろう

米国 12月の利下げ確率の推移

米国 12月の利下げ確率の推移

出所:CMEのFedWatch ツール / 27日時点の予想確率

市場は依然弱気の見通し、来週の米経済指標次第でゴールド売り再燃も

しかし、金(ゴールド)が強気相場へ転じたと判断するのは早い。金価格のカーブ(市場の見通し)は、5日のアメリカ大統領選挙や先週末(22日)と比べて低下している。欧州の地政学リスクや米利下げ期待の高まりは、ゴールドの下支え要因である。しかし、来週以降に発表される米国の経済指標-11月のISM指数や同月の雇用統計で景気や労働市場の堅調さが確認される場合は米長期金利の反発、米ドルの買い戻し、そしてゴールド売りが再燃する要因になり得る。

金価格の見通し

市場参加者の見通し

ブルームバーグのデータで筆者が作成


金価格の見通し、移動平均線の攻防に注目

今日の米国市場は感謝祭の翌日で株式、債券そして商品市場が短縮取引となる。金価格(NY金のスポット価格)はレンジ相場が予想される。

29日の東京時間では米ドル売りが続いている。ゴールドの買い戻しが続く場合は、21日線の攻防が最初の焦点となろう。上昇の局面でこの移動平均線すら突破できなければ、来週以降は下落相場を警戒したい。21日線と50日線はデッドクロスへ転じている。

レジスタンスライン

・2,669:50日線(日足)
・2,660:レジスタンス転換の可能性がある水準(1時間足)
・2,649:21日線(日足)


一方、金価格の下落局面では、今週に入りサポートラインとして意識されている75日線の維持が焦点となろう。この移動平均線は今日現在、2,620前後で推移している。この水準はレジスタンスからサポートのラインへ転換している(下の1時間足チャートを参照)。

金価格が75日線を下方ブレイクしても、短縮取引と材料難で2,600ドル台は維持することが予想される。フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準での反発を想定しておきたい。

サポートライン

・2,621:75日線(日足)
・2,607:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・2,600:サポートライン


スポット金価格のチャート

日足:24年7月以降

日足:24年7月以降

出所:TradingView

1時間足:11月13日以降

1時間足:11月13日以降

出所:TradingView


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