高まる中東の緊張、増す金の投資需要、最高値を視野にNY金は再び上昇ムードに
イランがイスラエルに向けて180発以上の弾道ミサイルを発射した。イスラエルは報復を示唆している。イランとイスラエルの対立がさらに激化する可能性が高まってきたことで安全資産への逃避需要が増し、1日のNY金は反発した。スポット金価格は最高値を視野に強気相場を維持している。
記事のポイント
・イランがイスラエルに弾道ミサイルを発射、イスラエルは報復を示唆
・中東の緊張は安全資産としての金投資の需要を拡大させる要因となろう
・スポットの金価格は最高値2,685ドルの突破が焦点に
・金価格の反落の局面では、引き続き押し目買いを考えたい
スポット金価格、注目のチャート水準
レジスタンスポイント
・2,752:エクステンション100%
・2,700:レジスタンスの水準
・2,685:9月26日高値(IGレート)
サポートポイント
・2,640:短期サポートライン
・2,624:9月30日安値(IGレート)
・2,615:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・2,600:サポートポイント、半値戻し
イランがイスラエルにミサイル攻撃
10月1日、イランがイスラエルに向けて弾道ミサイルを発射したという衝撃的なニュースが飛び込んできた。
米国政府はイスラエルに対するイランのミサイル攻撃について、「攻撃は失敗し効果はなかったと」の見方を示した。しかし、イランによるイスラエルへの直接攻撃は4月以来2回目で、イスラエルのネタニヤフ首相は同日、イランを非難し「代償を払うことになる」と報復を示唆した。
イスラエル軍は1日、隣国レバノンへの侵攻に踏み切った。レバノン南部でイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」に対する限定的な地上作戦が目的と主張している。どのような目的にせよ、隣国への越境攻撃は中東をさらなる混迷に追い込むだろう。そこにイランのミサイル攻撃が重なったことで、中東の地政学リスクのレベルがもう一段階上がったと見るべきだろう。
投資家心理の動きに注目
1日の主要なアメリカの株価指数は下落し、長期金利は先月20日以来となる3.7%割れの局面が見られた。そして、外為市場では米ドル買いと円買いが同時に発生した。1日の市場は典型的なリスク回避相場となった。
中東情勢のさらなる混迷はグローバル市場のかく乱要因になり得る。よって今後注視すべきは、中東の緊張に対する投資家心理の動きである。
「恐怖指数」として知られているVXN指数(VIX)は昨日、20ポイント台へ上昇する局面が見られた。しかし、8月上旬の時のようなヒステリックな反応は見られない。
今後、中東のさらなる緊張を伝える報道にVIX指数が上昇で反応し、9月上旬の23ポイントを突破する場合は、中東情勢を主因としたリスク回避相場が進行するサインになり得る。
VIX指数のチャート:日足 2024年7月以降
出所:TradingView
増す金の投資需要
1日の市場でNY金価格が上昇した。スポットの金価格は2,660ドル台へ急反発した。
9月30日のIGコモディティレポート「調整ムードのNY金、焦点は米経済指標と投機筋の動き、短期の見通し」で指摘したとおり、パウエルFRBの緩和サイクル入りと投機筋の持続的な金買いが続いている。この状況でイランとイスラエルの対立がさらに激化の一途を辿る可能性が高まってきた状況も考えるならば、安全資産としての金の投資需要がさらに増すことが予想される。
今日も金価格が上昇する場合、焦点は9月26日につけた最高値2,685ドルの突破となろう。(下のチャート、赤ラインを参照)。
金価格がこの水準を完全にブレイクアウトすれば、2,700ドル台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。このケースでは、9月30日のIGコモディティレポートで取り上げたフィボナッチ・エクステンション100%の水準2,752のトライを想定しておきたい。
金の買い需要の高まりを考える際は、上で取り上げたVIX指数の動きに注目したい。
スポット金価格のチャート:週足 年初来
出所:TradingView
一方、金価格の反落局面では、引き続き押し目買いのタイミングを考えたい。
押し目買いを狙う水準として目先は短期のサポートライン、9月30日の安値2,624、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準2,615、そしてサポートラインへ転換する可能性がある2,600が候補に挙がる。
4時間足のMACDは、かろうじてゼロラインより上の水準で推移している。しかし、RSIは再びデッドクロスを形成するムードにある(下の4時間足チャート、紫の矢印を参照)。RSIとMACDでデッドクロスが確認される場合は、上で取り上げた4つのサポート水準のトライを想定しておきたい。いずれかの水準で金価格の反発が確認される場合は、押し目買いを考えたい。
スポット金価格のチャート:4時間足 9月以降
出所:TradingView
再掲 スポット金価格のチャート水準
レジスタンスポイント
・2,752:エクステンション100%
・2,700:レジスタンスの水準
・2,685:9月26日高値(IGレート)
サポートポイント
・2,640:短期サポートライン
・2,624:9月30日安値(IGレート)
・2,615:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・2,600:サポートポイント、半値戻し
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