原油価格下落続くか レバノン停戦 OPECプラス増産は延期見通し
WTI(中心限月)は日本時間27日に68ドル台前半まで下落。イスラエルとヒズボラの停戦合意が材料視された。原油需要の弱さも下落要因となっている。
原油価格に下落圧力がかかった。原油先物市場の指標価格であるWTI(中心限月)は日本時間27日の取引で1バレル=68ドル台で推移。前日につけた70ドル台から値下がりしている。イスラエルとレバノンの停戦合意が発表されたことが影響した。一方、原油価格をめぐっては、サウジアラビアやロシアで作るOPECプラスの増産延期見通しが値上がり要因となっている。ただ、原油市場では増産延期が既定路線となっている可能性があり、実際に発表があった場合でも影響が限定的になることも考えらえる。また、原油市場では引き続き、需要の弱さが価格下落要因として意識されており、中東情勢の緊張緩和とあいまって、原油価格の今後の見通しがさらに下振れする可能性もありそうだ。
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WTIは一時、68.05ドルまで下落 イスラエルとヒズボラの停戦合意で
WTI(WTI原油)は日本時間27日未明に一時、1バレル=68.05ドルをつけた。ブルームバーグによると、26日深夜には70.20ドルをつける場面もあったが、3時間ほどで2ドル超の値下がりを記録したことになる。
値下がりの背景となったのはイスラエルとイスラム教シーア派組織ヒズボラの間の停戦合意だ。アメリカのジョー・バイデン大統領は日本時間の27日早朝にイスラエル政府と、ヒズボラが政治的な影響力を持つレバノンの政府が米国の停戦案を受け入れたと発表。原油市場では正式発表に先立つ事前報道で、下落圧力がかかった。
ヒズボラとイスラエルの戦闘は、イスラエルとパレスチナ自治区を拠点とするイスラム武装組織ハマスの戦闘が始まった2023年10月から続いていた。イスラエルは開戦から約1年たった今年10月1日にレバノン南部に侵攻。ヒズボラを支援するイランとの攻撃の応酬を引き起こすきっかけともなった。それだけに停戦合意は中東情勢の深刻な悪化が原油供給不安を引き起こすとの見通しを弱める材料になったといえる。
OPECプラスは段階的増産を延期の見通し 「数か月」の可能性も
一方、原油市場には上昇圧力もかかっている。OPECプラスが12月1日にオインラインで開く閣僚会合で2025年1月から予定している加盟8か国による段階的な増産を延期するとの見方が強まっているからだ。ブルームバーグは日本時間の26日深夜に、OPECプラス関係者の話として、段階的増産の延期についての協議が始まっていると報道。実施が「数か月」先送りされる可能性があるとしている。増産は当初10月開始の予定だったが、2度にわたって延期されてきた。
ただ、OPECプラスの増産延期見通しはすでに原油価格を上昇させているともいえ、実際に発表されたとしても原油価格への影響が限定的になる可能性もある。また原油市場では需要の弱さが材料視されていることも、原油価格が下がりやすい状態を生んでいる。
米国の原油在庫は予想を上振れる状況が継続 原油需要が低迷か
米国のエネルギー情報局(EIA)が20日に発表した15日段階の原油在庫量(戦略備蓄除く)は1週間前よりも54.5万バレル多く、ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値(8.5万バレルの減少)よりも上振れた。発表される在庫量の水準が市場見通しを超えるのは3週連続で、需要の弱さが在庫の上積みにつながっている構図が感じられる。EIAが27日午前10時30分(日本時間28日午前0時30分)に発表する22日段階の在庫量は、100万バレルの減少が予想されているが、在庫量が上振れた場合には原油価格の値下がり要因として意識されそうだ。
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