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NY金に強気見通し 買いに転じる投機筋、米金利の低下と米国株の割高感が下支え 金価格の見通し

NY金相場の上昇ムードが強まっている。16日の市場で先物価格(2月物)は3日続伸した。スポット価格は重要なレジスタンスライン2,726ドルの攻防にある。金価格、今日の見通しと注目のテクニカルラインについて。

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記事の概要

NY金の先物価格(2月物)は16日、3日続伸で終えた。一時2,757.9ドルとおよそ1カ月ぶりの高値を付けた。スポット価格も2,700ドル台へ上昇し、再び2,720ドル台の攻防が焦点にとなっている。
2025年に入りNY金相場は強気の見通しに傾いている。直近では投機筋も金買いに転じた。昨年12月の米コアCPIでインフレ懸念がひとまず後退したことをきっかけに、米金利には低下の圧力が強まっている。米国株の割高感も意識されやすい状況にある。今のNY金相場は上値の水準を見極める状況にある。本日のスポット価格の予想レンジは2,690-2,745ドル。


目次


強気見通しに傾くNY金相場

2025年に入り、NY金相場に対する市場の見通しが強気に傾いている。この点を先物のカーブ分析で確認すると、現在のラインは1月2日時点の水準と比べて大幅に上昇していることが分かる(下のチャート、赤ラインを参照)。

この強気見通しに沿って先物価格(2月物)は3日続伸し、昨日は一時2,757.9ドルとおよそ1カ月ぶりの高値水準まで上昇した。スポット価格も重要レジスタンスラインの2,726ドルを再びトライする状況にある。

金価格の見通し

金価格の見通し

ブルームバーグのデータで筆者が作成

ゴールド買いに転じる投機筋

米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、(ロング)ポジションを減らしていた投機筋が買いに転じている。ネット(買いポジションー売りポジション)もわずかだが増加している。上で述べた強気の見通しに沿うように投機筋が金買いへ転じている状況も、相場の下支え要因となろう。

非商業部門のポジション動向:週次 2024年7月以降

非商業部門のポジション動向:週次 2024年7月以降

CFTCとブルームバーグのデータで筆者が作成 / 1月7日時点

米金利の低下と米国株の割高感はゴールドの下支え要因

2024年12月の米消費者物価指数(CPI)前月比の伸び率は0.2%、前年同月比のそれは3.2%と、昨年11月の同比0.3%および3.3%から鈍化した。

米CPIコアでインフレ懸念がひとまず後退したことで、米債市場では長期ゾーン利回りに低下の圧力が高まっている。昨日は米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事がインフレの動向次第で今年前半の利下げの可能性に言及したことで、米ドル相場のトレンドに影響を与える10年債利回り(長期金利)は4.6%を下抜ける局面が見られた。

米長期金利の低下に加えて、米国株の不安定な状況もNY金相場の下支え要因となろう。米10年債利回り(長期金利)がS&P500の株式益回りを上回り、イールドスプレッド(長期金利-S&P500の株式益回り)では米国株の割高感が強まっている(米国債の方に投資妙味がある)。トランプ政策が経済に及ぼす影響が読めないこと、特に関税の強化によるインフレ再燃の可能性も考えるならば、目先の金(ゴールド)は新たな上値の水準を見極める状況にある。

米長期金利とS&P500の動向:週足 2021年以降

米長期金利とS&P500の動向:週足 2021年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


金価格、今日の見通しとテクニカルライン

短期の5日線がサポートラインとなり、75日線はサポートラインへ転換している。日足のMACDとモメンタムは金価格が強気相場にあることを示唆している。上で述べた投機筋と米国市場の動向も考えるならば、今日のスポット金(金価格)も上値トライを想定したい。予想レンジは2,690-2,745ドル。上値トライの局面では、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。

・最初の焦点は、重要レジスタンスライン2,726ドルの攻防となろう。このラインは昨年12月12日の高値水準であり、昨日の上昇を止めた経緯がある。ゆえに、2,726ドルの突破はさらなる上昇のサインとなろう

・金価格が2,726ドルを突破する場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準2,730ドルのトライが焦点となろう

・金価格が2,730ドル台を維持する場合は、2,740ドルをトライするサインとなろう。2,740ドルの突破は昨年11月上旬の高値であり今日の予想レンジ上限でもある2,745ドルの攻防が焦点に浮上しよう

レジスタンスライン
・2,745:予想レンジの上限、昨年11月上旬の高値(日足)
・2,740:レジスタンスライン
・2,730:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(日足)
・2,726:重要レジスタンスライン(日足)

金価格にとって2,726ドルは、強固なレジスタンスラインである。すぐ上の76.4%戻し2,730とレジスタンスゾーンを形成する可能性もある。本日、これらテクニカルラインで相場の上昇が止められる場合は調整売りを意識したい。このケースでは、2,700ドルの維持が最初の焦点となろう。

・2,700ドルは直近高安の半値戻しの水準にあたり、サポートラインへ転換する可能性がある水準でもある。同じくサポート転換の可能性がある2,710ドル、そしてフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準2,706ドルの下方ブレイクは、2,700ドルをトライするサインと捉えたい

・ゴールドの調整売りが進行し2,700ドルを下方ブレイクする場合は、予想レンジの下限である2,690ドルの維持が焦点に浮上しよう。今日現在、この水準には相場をサポートしている5日線が推移している。またこのラインはサポート転換した経緯もある

サポートライン
・2,710:サポート転換の可能性あり(45分足)
・2,706:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(45分足)
・2,700:サポート転換の可能性あり、半値戻し(45分足)
・2,690:予想レンジの下限(45分足)、5日線(日足)


金価格のチャート

日足:2024年10月以降

日足:2024年10月以降

出所:TradingView

45分足:1月15日以降

45分足:1月15日以降

出所:TradingView


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