目前に迫るアメリカPCE価格指数、米ドルにらみのNY金価格、今日の見通し
スポットのNY金価格(XAU)は現在、米ドル相場の動きを意識する状況にある。その米ドル相場は今晩の5月アメリカ個人消費支出(PCE)価格指数で大きく動くことが予想される。よって今日の金価格は、PCE価格指数の後に大きく動く可能性がある。注目のチャート水準は?
この記事のポイント
・現在、NY金価格は米ドル相場にらみの状況にある
・今日の金価格は、米国のPCE価格指数で上下に振れる展開が予想される
・金価格の上昇局面では、50日線の突破が焦点となろう
・金価格の下落局面では、2,300ドルを再び下方ブレイクするだろう
ユーロドルと金価格の動向
こちらのIGコモディティレポートで述べたとおり、NY金価格(XAU、スポット、以下金価格)は現在、米ドル相場の動きを意識する状況にある。
米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)は6月に入り、一転して上昇トレンドへ転じている。米金利の上昇が抑制されているにもかかわらず、外為市場で米ドル高の圧力が再び高まっている最大の要因は、ユーロ売りにある。
こちらのIG為替レポートで述べたとおりユーロ相場は現在、「フランス・リスク」が重しとなっている。
事実、下のチャートを見ると、6月以降ユーロドル(EUR/USD)の下落幅が拡大していることが分かる。
ユーロ売りが米ドル相場の下支え要因となり、ドル指数の上昇を促している。そして米ドル高が、金価格の上値を抑制する状況にある。今と同じ状況は、今年の1月から2月中旬にかけても見られた(下のチャートを参照)。
ユーロドルと金価格のチャート:日足 23年12月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
今日の注目材料はアメリカのPCE価格指数
本日の日本時間21時30分にアメリカの5月個人消費支出(PCE)価格指数(PCEデフレーター)が発表される。
市場予想を確認すると、前月比と前年同月比でともにインフレが鈍化する見通しとなっている(下のチャートを参照)。
予想通りにインフレの鈍化が確認される場合、米ドル安を受けユーロドル(EUR/USD)は反発の展開が予想される。対ユーロで米ドル安が進行すれば金価格をサポートするだろう。
問題は、PCE価格指数がインフレの粘着性を示唆する場合である。
市場の予想がインフレの鈍化に傾いているだけに、このケースでは「9月利下げ期待の後退→米長期金利の反発→米ドル高」を受け、金価格は下値をトライすることが予想される。
アメリカ 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:23年5月以降
TradingView提供のチャートで作成
金価格の見通しとテクニカル分析
上昇局面での焦点:50日線のトライ
PCE価格指数が金価格(XAU)の上昇要因となる場合、最大の焦点は50日線の突破となろう。この移動平均線は今日現在、2,337レベルで推移している(日足チャートを参照)。
金価格が50日線をトライするサインとして、まずは相場の上昇を止めている21日線(今日現在2,327レベル)の上方ブレイクを確認したい(日足チャートを参照)。
金価格が21日線を突破する場合、次の焦点は直近高安の半値戻しの水準「2,331」の突破となろう(1時間足チャートを参照)。後者の水準を上方ブレイクする場合は、50日線のトライ&ブレイクを意識したい。
しかし、金価格が50日線を突破しても、すぐ上には短期レジスタンスラインが推移している(今日現在2,351レベル)。その上には、重要なレジスタンスの水準「2,380」が控えている。
IGコモディティレポートで注目している2,380レベルを完全に突破し、かつこの水準の「サポート転換」が確認されない限り、金価格の下落を意識する状況が続くと予想する。
下落局面での焦点:2,300の下方ブレイク
一方、PCE価格指数が金価格(XAU)の下落要因となる場合は、2,300の下方ブレイクを想定しておきたい。テクニカルの面で2,300は、半値戻しの水準「2,298」にあたる。
金価格がこのテクニカルポイント(半値戻しの水準2,298)を完全に下方ブレイクする場合は、IGコモディティレポートで注目している重要なサポート水準「2,275」を視野に下落幅の拡大を予想する。
6月7日の安値2,286レベルの下方ブレイクは、2,275をトライするサインと想定しておきたい。
5月PCE価格指数の後、1時間足のストキャスティクスとRSIを軸に相場の過熱感を確認し、上で述べたチャート水準をトライする局面では反発と反落のタイミングを見極めたい。
スポットNY金価格のチャート:日足 24年3月以降
TradingView提供のチャートで作成
NY金価格のチャート:1時間足 6月21日以降
TradingView提供のチャートで作成
NY金価格、注目のチャート水準
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