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日経平均に拭えぬ懸念 ハイテク株安 S&P500はパウエル講演好感

日経平均はアメリカのハイテク株安が重荷となった。米株式市場はFRB議長講演を好感したが、追加利上げ観測は強まっている。

出所:ブルームバーグ

日経平均株価の先行きへの不安が消えない。日経平均の25日の終値は1週間前比で173.52円高。前週の1000円超安からは持ち直したが、値上がりはわずかにとどまった。株価回復の足を引っ張ったのはアメリカの株式市場への懸念。米国の大手ハイテク株は値上がりの頭打ちが目立ち、投資家の不安が高まっているようだ。一方、米株式市場は連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の25日の講演を好感し、S&P500種株価指数は4週間ぶりの週次プラスを記録した。ただしFRBが年内に追加利上げを行うとの見方も強まっているうえ、今後は重要経済指標の発表が相次ぐため、株価の動向は予断を許さない。

日経平均の週次での上昇率は0.55%にとどまる

日経平均(N225)の25日の終値は3万1624.28円で、前週末から0.55%上昇した。前週の大幅安の流れは食い止めたものの、8月以降の週次データでは、大きく値下がりした後で小さく回復するというパターンが続いている。

日経平均株価の推移と週次の増減幅

投資家の不安を高めたのは米国のハイテク株の不振だ。米国の株高を引っ張ってきた半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)は23日に好決算を発表したものの、翌日の株価はわずか0.10%高。電気自動車大手のテスラ(TSLA)やアップル(AAPL)も株価上昇の頭打ちが目立っている。日経平均の週次での値上がりが小幅だったのは、エヌビディアなどの値動きを受けた25日に前日比662円安となったためだ。21日から24日までは4連騰だっただけに、米国の投資家の不安が日本にも波及した形となった。

FRBパウエル議長「注意深く進める」

一方、米国の株式市場は、注目されていたパウエル氏の講演を前向きに受け止めたようだ。パウエル氏は25日、ワイオミング州ジャクソン・ホールでの講演で、今後の利上げの是非の判断は「注意深く進める」と述べた。25日のニューヨーク債券市場では、長期金利(10年物米国債利回り)が4.239%で取引を終え、前日から0.004ポイントの上昇にとどまった。株価の重荷になっていた長期金利の落ち着きを受けて、S&P500(SPX)は前日比0.67%上昇。1週間前との比較では0.82%高となり、7月下旬以来4週間ぶりの週次プラスとなった。

日経平均とS&P500の週次騰落率の推移

ただしパウエル氏は利上げの可能性を否定したわけではない。物価上昇率の低下が満足のいく程度ではないためだ。パウエル氏は講演で、個人消費支出(PCE)物価指数の食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が6月に前年同月比4.1%となり、ピークの5.4%から下がっていることを歓迎。そのうえで「物価上昇率が持続的に目標(2%)に向けて下がっているという確信を得る過程の始まりに過ぎない」と述べた。さらに米国の2023年4-6月期の実質成長率が速報値で前期比年率換算2.4%増だったことなどを念頭に、「経済は想定していたほど冷えていないのかもしれない」とも話し、物価上昇圧力の強さに警戒感を示した。

米国のPCE物価指数の伸び率の推移

FRBによる年内追加利上げ観測は拡大

このため米国の金融市場ではパウエル氏の講演後、FRBが年内にあと1回利上げを行うとの観測が強まった。CMEグループのデータによると、FRBの政策金利が12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に現在の5.25-5.50%より高くなっていることについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間の26日午前の段階で約54%。25日午前段階での約46%から上昇した。

ただ、次回のFOMCが開かれる9月19-20日までにはまだ時間があり、FRBの思惑や投資家の観測は揺れ動くとみられる。8月28日からの1週間だけでも、4-6月期GDP改定値や7月のPCE物価指数、8月の雇用統計といった重要指標の発表が予定されており、投資家の注目度は高い。米国の金融市場がこれらの経済指標に反応すれば、日経平均にも影響が及ぶことになりそうだ。


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