エヌビディア効果不発 ハイテク大手下半期不調 S&P500浮上せず
アメリカの7大ハイテク株が不調。エヌビディアの好決算でもS&P500は値下がりし、パウエル氏の講演が次の焦点となる。
米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の好決算は市場の起爆剤にはならなかった。エヌビディアの決算を受けた24日のS&P500種株価指数は前日終値比1.35%安。エヌビディア自体の終値はなんとか前日比プラスを維持したものの、2023年上半期の株価上昇を引っ張ってきたその他の大手ハイテク株は軒並み値下がりした。下半期の株価の動向をみると、テスラやアップルなどの値下がりが目立つ。長期金利の高止まりを受けた先行き不透明感が株式市場で強まる中、日本時間25日夜に予定されている連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の講演への注目が高まる。
アメリカ株式市場でS&P500の下落が続く
S&P500(SPX)が前日比で下落するのは8月に入って24日で13営業日目。上昇は5営業日しかなく、上半期までの急上昇から様相が一変している。事前予想を超える好決算を発表し、市場のムードを変えるかと期待されたエヌビディアの株価(NVDA)も、24日は前日比0.10%高に留まった。取引開始直後は5%高の水準だったが、次第に値を下げていった結果だ。エヌビディアの株価は2022年末比で3.2倍になっているが、6月末比でみれば11.5%上昇まで失速している。
エヌビディアとともに7大銘柄と位置付けられ、上半期の株価上昇の原動力となってきた大手ハイテク株も勢いを失っている。24日は電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)が2.9%安となるなど、6社の株価がそろって下落した。
また、6月末との比較では、テスラの株価が12.1%安となっているほか、アップル(AAPL)が9.1%安、マイクロソフトが6.0%安となるなど、不振が目立つ。6月末比でプラス圏を維持しているのは、エヌビディア以外では、アルファベット(GOOGL)とアマゾン・コム(AMZN)だが、やはり8月以降の頭打ち感は否めない。7社の時価総額は合計10兆ドルを超え、S&P500全体の4分の1以上を占めるだけに、不振の影響は大きい。
FRBパウエル議長のジャクソン・ホール講演に注目
株価上昇の足を引っ張っている米国の金利上昇は治まっていない。24日のニューヨーク債券市場では長期金利(10年物米国債利回り)が4.235%で取引を終えた。2007年11月以来の水準だった21日の終値(4.342%)からは低下しているが、米国債の格下げがあった8月1日以降、4%超の水準が定着している。金利水準が上がれば、株式の投資先としての魅力は相対的に下がり、株価の値上がりは抑えられるとされる。
こうした中、金融市場では日本時間25日午後11時5分からのパウエル氏の講演への関心が高まる。舞台は世界の中央銀行関係者がワイオミング州ジャクソン・ホールに集まる毎夏恒例のイベントで、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁も26日午前4時からスピーチ。日本銀行の植田和男総裁は27日午前1時25分からのパネルディスカッションに登壇する。世界が注目するイベントでパウエル氏が物価上昇と闘う姿勢を強調すれば、米国の金利の先高観が高まり、株価の下押し材料となる可能性も考えられそうだ。
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