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日経平均、週次1000円安 米金利は危機前水準 S&P500不安

日米の株価が勢いを失った。金融危機前の水準にあるアメリカの長期金利が重石で、パウエルFRB議長の講演に注目が集まる。

出所:ブルームバーグ

日経平均株価の勢いが戻らない。18日の終値は1週間前比で1000円超の下落。週次の値下がり幅としては8か月ぶりの大きさとなった。また、アメリカでもS&P500種株価指数が週次で大幅安となっている。米国の株安は8月初めの米国債格下げで火が付いた長期金利上昇が要因。長期金利は一時、金融危機を招いたリーマン・ショックの前夜にあたる2007年以来の高さとなり、投資家の不安をかきたてているようだ。今後は米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が25日に毎夏恒例のジャクソン・ホール会合でどのようなメッセージを打ち出すかが注目される。

日経平均は年初来高値から6.8%下落

日経平均(N225)の18日の終値は3万1450.76円。1週間前との比較では1022.90円安となった。週次での下落は2週間ぶりで、一進一退が続いている状況。また、下げ幅が1000円を超えるのは2022年12月19-23日週(1291.90円安)以来だ。2023年の下半期早々につけた年初来高値の3万3753.33円からの下落率は6.8%まで拡大しており、27%超の上昇率をみせた上半期の勢いは見る影もない。

日経平均株価の週次の増減額の推移

日本株の不安要因となっているのは米国株式市場の動向だ。S&P500(SPX)は18日に4369.71で取引を終え、週次の下落率は2.1%。2月下旬以来、6か月ぶりに3週連続のマイナスとなった。S&P500も上半期は15.9%という高い上昇率をみせていたが、7月末につけた年初来高値からは4.8%下落している。

日経平均とS&P500の週次騰落率の推移

米国の長期金利上昇が株価を下押し

S&P500が8月に入って下落基調に転じたのは、フィッチ・レーティングスが1日に米国債を格下げし、長期金利(10年物米国債利回り)が上昇したことがきっかけ。金利水準が上がったことで、株式の投資先としての魅力が相対的に薄れ、株価に下落圧力がかかったようだ。その後、7月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇率の低下が足踏みしたことなどで、米国の経済活動の強さが認識されると、FRBが政策金利を高止まりさせるとの見方が強まり、長期金利はさらに上昇。金融情報会社リフィニティブのデータによると、18日のニューヨーク債券市場では長期金利が4.251%で取引を終え、1週間前よりも0.083ポイント上がっている。

こうした米国の金利高は日米の金利差拡大を意識させ、ドル円相場(USD/JPY)では円が売られ、ドルが買われている。18日のニューヨーク市場の終値は1ドル=145.37ドル円で取引を終え、1週間で0.4円の円安ドル高が進んだ。上半期までは円安ドル高は輸出企業に有利に働くうえ、海外投資家からみた日本株の割安感を強めるとして、日経平均を押し上げる材料となってきた。しかし上半期とは異なり米国で株安が進む状況の中で、円安が投資家心理を改善する力は小さくなっているようだ。

米FRBパウエル議長のジャクソン・ホール講演が焦点

株式市場の先行きのカギを握るのはFRBの動向だ。パウエル議長は米国東部時間25日午前10時5分(日本時間午後11時5分)から、ワイオミング州ジャクソン・ホールに主要中央銀行幹部らが集まる毎夏恒例のイベントで講演する予定。7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表された、物価関連の経済指標や雇用統計などの結果を踏まえ、今後の金融政策についてどのようなメッセージを出すかが焦点になる。

足元の米国の長期金利は2007年11月以来の水準だ。当時の長期金利は、7月につけていた5%台から急落する過程。金融機関が保有する住宅ローン関連債権の価値が下がり、安定資産としての米国債が買われ、利回りが低下する流れが背景にあった。FRBは9月からの利下げで経済の安定化を図ったが、当時の史上最高値水準だった株価は下落を始め、2008年9月のリーマン・ショックに至っている。

アメリカの長期金利とS&P500の推移(長期・2003年以降)

FRBは現在、3月以降の地銀破綻が経済に悪影響を与える懸念は薄らぎ、景気後退は回避できるとの立場をとっている。ただ、高い株価と高い長期金利が重なる状況は不安材料といえ、パウエル氏がジャクソン・ホールで物価上昇と闘う姿勢を強調すれば株式市場が混乱する可能性もありそうだ。


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