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再び強気のムードが漂うNY金銀価格 上昇維持の鍵は米ドル安に 焦点は米雇用統計

スポットのNY金価格(XAU)と銀価格(XAG)は重要なテクニカルラインを突破してきた。米ドル安の進行が金銀価格を下支えしている。6月の雇用統計が米ドル安の要因となれば、金銀価格はさらなる上値のトライが予想される。注目の上値水準は?

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この記事のポイント

・NY金価格と銀価格が強気相場へ転じるムードにある
・米ドル安の進行が金銀価格の下支え要因となっている
・今日の注目イベントは、6月の米雇用統計となろう
・金銀価格、目先注目のチャートの水準は?


NY金価格、再び輝きを取り戻すムードに

テクニカルラインの突破に成功

スポットのNY金価格(XAU、以下金価格)の反発ムードが高まっている。日足チャートで直近のトレンドを確認すると、直近高安の半値戻しの水準2,298レベルが相場をサポートし続けた。

そしてレジスタンスのラインとして相場の反発を止めていた50日線だけでなく、昨日は短期レジスタンスラインをも陽線で一気に上方ブレイクした。日足のMACDはゴールデンクロスへ転じると同時に、ゼロラインも上回ってきた。

2,380の攻防

今日以降、金価格(XAU)が今の反発トレンドを維持する場合、焦点はIGコモディティレポートで注目している重要な上値の水準「2,380」レベルの攻防となろう(下の日足チャート、赤ラインを参照)。

金価格がこの水準(2,380レベル)をも完全に突破すれば、強気相場が加速するシグナルと想定したい。次の焦点は、2,400レベルのトライ&ブレイクとなろう。

金価格が2,380レベルを突破した後、反落の局面でこの水準での「サポート転換」が確認される場合は、2,400トライの可能性がさらに高まるだろう。

50日線の “サポート転換”に注目

金価格(XAU)の反落局面では、これまで相場の上昇を止めてきた50日線がサポートラインへ転換するかどうか?この点を確認したい。50日線の「サポート転換」は金価格に地合いの強さが戻っているシグナルとなろう。

一方、金価格が50日線を完全に下方ブレイクする場合は、6月28日から7月2日にかけて相場をサポートした2,320レベルの維持が焦点として浮上しよう。

NY金価格のチャート:日足 24年3月以降

NY金価格のチャート:日足 24年3月以降

出所:TradingView


NY銀価格も再び輝きを取り戻すムードに

テクニカルラインの突破に成功

輝きを取り戻し始めているのは金価格だけではない。スポットのNY銀価格(XAG、以下銀価格)も同じ状況にある。

日足チャートで直近のトレンドを確認すると、金価格と同じく50日線を完全に突破しただけでなく、昨日は短期レジスタンスラインを大陽線で上方ブレイクした。重要なテクニカルラインを大陽線で突破する状況は、銀価格が強気相場へ転じるシグナルの一つである。

また、日足のMACDはゴールデンクロスへ転じ、ゼロラインを上回ってきた。地合いの強さが戻りつつある兆候を示唆している。

3つの上値水準

今日以降、銀価格(XAG)がさらに上値をトライする場合は、3つの水準に注目したい。最初の水準は、6月21日の高値水準30.85レベルの攻防である。

30.85レベルの上方ブレイクは、31ドル台へ上昇するシグナルとなろう。31.00レベルは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(下の日足チャートを参照)。テクニカルの面でも31ドル前後は、重要なレジスタンスの水準として意識しておきたい。

銀価格が31ドル台へ上昇する場合は、6月7日の高値水準31.54レベルの攻防となるか?この点に注目したい。先月7日はこの水準がレジスタンスとなり大陰線が示現した。それだけに、重要な上値の水準として意識される可能性がある。

NY銀価格のチャート日足 24年5月以降

NY銀価格のチャート日足 24年5月以降

出所:TradingView


ドル安の進行と米雇用統計

銀とドル指数の逆相関

金銀価格の上昇ムードが高まったのが、昨年の10月からである。現時点までのデータで米長期金利と米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)との相関関係を確認すると、金銀価格はともにドル指数と高い逆相関の関係にあることが分かる。

特に銀価格とドル指数との間でその傾向が高い(下のチャートを参照)。

各市場の相関関係

各市場の相関関係 ブルームバーグのデータで筆者が作成

米ドル安が金銀価格のサポート要因に

相関係数では因果関係までは分からない。しかし、金価格(XAU)と銀価格(XAG)がともに反発ムードを強めている主因は、米ドル安にあると考えられる。

月初来の米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、対主要通貨で米ドル安が進行している(下のチャートを参照)。この背景にあるのは、さえない経済指標を受けて米長期金利の上昇が抑制されていることにある。

そして米長期金利の低下と同時に、日米欧の株高が進行していることも米ドル安の圧力を高めている。この動きに呼応し、金銀価格は反発基調へ転じている。

米ドル相場の動向:月初来

米ドル相場の動向:月初来 ブルームバーグの為替データで筆者が作成

今日の注目材料は米雇用統計

本日、米ドル相場のトレンドを左右するのが6月の米雇用統計となろう。こちらのIG為替レポートで指摘したとおり、雇用統計の数字が示すほどアメリカの労働市場は必ずしも堅調とは言えない側面がある。

しかし、非農業部門雇用者数をはじめとした見た目の数字が予想以上ならば、素直に米ドル買いの要因となることが予想される。米ドル高は、金銀価格の重しとなろう。

直近の物価指数では、アメリカのインフレが抑制の傾向にあることが確認された。このタイミングで6月の雇用統計が労働市場の軟化を示す場合は、米ドル安の要因となろう。このケースでの金銀価格は、上で述べた各レジスタンスポイントのトライを予想する。

アメリカ雇用統計 各項目の動向:23年6月以降

アメリカ雇用統計 各項目の動向:23年6月以降 ブルームバーグで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:6月の市場予想

金よりも強気ムードにある銀

6月の雇用統計が米ドル安の要因となる場合は、金銀価格の上昇が予想される。より注目したいのが、銀価格(XAG)の動向である。金価格(XAU)よりも上昇幅が拡大する可能性があるからだ。

上で述べた銀とドル指数(DXY)の関係(逆相関の関係)もそう考える理由の一つだが、今の銀価格の地合いの強さにも注目したい。

この点について、金価格を銀価格で割って算出する「金銀比価」のトレンドで確認すると、現在は77倍付近まで再び低下している(下のチャートを参照)。

直近の金銀価格がともに反発基調にあることを考えるならば、金銀比価の低下は銀価格が金のそれよりも急速に上昇していることを示唆している。事実、月初来の上昇率は金価格が1.23%である一方、銀価格のそれは4.26%である(ブルームバーグのデータより)。

金価格よりも銀価格の方が米ドル相場の動きに反応しやすい状況にあることも考えるならば、6月の雇用統計が発表された後に米ドル安がさらに進行する場合は、銀価格が31ドル台の攻防へシフトする展開を予想する。

一方、6月の雇用統計が米ドルの買戻し要因となれば、金価格よりも銀価格の下落幅が拡大することが予想される。このケースでは、30ドル(5日線)の下方ブレイクを想定しておきたい(上の銀価格 日足ローソク足チャート、緑ラインを参照)。

金銀比価の動向:24年5月以降

金銀比価の動向:24年5月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

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