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NY金、米経済指標にらみの一週間、米ドルの買い戻しと米株高の進行を警戒

11月のNY金(ゴールド)は今年を通して軟調地合いの1ヶ月だった。12月も下落スタートとなった。今週は米経済指標にらみの展開が予想される。米経済の堅調さを示す内容が続けば、米株高が金相場の重石となろう。金価格、今週の見通しと注目のテクニカルラインは?

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NY金 11月は軟調地合いの1ヶ月、12月も下落スタート

11月のNY金は上下に大きく振れながらも軟調地合いの1ヶ月となった。この点をスポット価格(以下では金価格)の週間騰落率で確認すると、11月18日~22日の週に欧州の地政学リスクで急反発した以外は、総じて下落した。24年を通して見ても、11月のNY金は軟調地合いだったことが分かる。12月も下落スタートとなった。

金価格の週間騰落率:年初来

金価格の週間騰落率:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成

トランプ次期米大統領BRICSに警告、脱米ドル推進なら関税を100%に

トランプ次期米大統領は30日、中国、ロシア、インドなど主要な新興国で構成する「BRICS」に対し、米ドルに代わる新たな通貨を創設すれば100%の関税を課す考えを示した。基軸通貨としての米ドルを死守しようとするトランプ氏の姿勢は、トランプ政策と同じく米ドル高の要因となろう。事実、昨日の外為市場は米ドル高優勢となった。

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が、データ次第としながらも12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに傾いていると発言した。タカ派のウォラー理事によるハト派寄りの発言で米ドル売りが見られたが、その動きは一過性の動きで終わった。

トランプ次期政権の動向を意識した米ドル高は今後も続くことが予想される。ゆえに今月の金(ゴールド)相場も売り、または上昇局面での反落を意識したい。

今週のNY金は経済指標にらみの1週間、米ドル買いと米株高を警戒

今週の金(ゴールド)は、アメリカの経済指標で上下に大きく振れる展開が予想される。注目の指標と金価格への影響を以下にまとめた。

・11月のISM製造業景気指数は48.4と、市場予想の47.6を上回った。同指数の発表以降、金価格は売り優勢の展開となった

・今日は10月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数、明日は11月のISM非製造業景気指数が発表される。雇用やサービス業の拡大が示される場合は、米FRBの利下げ期待の後退要因になり得る。利下げ期待の後退は米ドルを買い戻す材料となろう。米ドル高の進行は金価格の重石となろう

・また強い米経済指標は、米株高の要因にもなる。事実、昨日は強いISM製造業景気指数が好感され、S&P500とナスダック総合指数が最高値を更新した。米ドルの買い戻しだけでなく、米株高(リスク選好)の進行も金(ゴールド)相場の重石となろう

・今週、市場参加者が最も注目している経済指標が、6日の11月雇用統計である。ブルームバーグがまとめた市場予想では、非農業部門雇用者数変化が21.8万人増、失業率が4.1%と、アメリカの労働市場が引き続き堅調さを維持する状況が見込まれている(12月3日時点)。雇用統計を含め今週の米経済指標で強い内容が続く場合、金価格は下で述べる2,600ドルを下方ブレイクする展開を想定しておきたい

米国の雇用統計 各項目の動向:月次 23年11月以降

米国の雇用統計 各項目の動向:月次 23年11月以降

弱気見通しは後退気味も米大統領選挙後の弱気見通しは変わらず

市場見通し(カーブ分析)の推移を確認すると、1週間前と比べ、わずかではあるが上方に修正されている(強気に傾いている)。しかし、アメリカ大統領選挙直前(5日)の見通しと比べると未だ弱気に傾いている。

「トリプルレッド」でトランプ政策がアメリカ議会を通る可能性が各段に高まったこと、その影響が米金利の高止まりと米ドル高の要因となる可能性を市場参加者が意識していることがうかがえる。

金価格の見通し

金価格の見通し

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 12月3日午前7時時点


金価格、注目のテクニカルライン

今週の焦点はレンジのブレイク

NY金のスポット価格(以下では金価格)は現在、上限を50日線、下限を75日線としたレンジ相場にある。今週は、米経済指標がレンジブレイクのきっかけになり得る。強い米経済指標が続けば、下で述べるサポートラインの攻防に注目したい。

・今日以降の米経済指標が労働市場の堅調さとサービス業の拡大を示す場合は、金価格の売り要因となろう。このケースでは、75日線の下方ブレイクを想定しておきたい

・特に警戒すべきは、11月の米雇用統計で労働市場の底堅さが示される場合である。12月会合での利下げはすでに織り込まれている。ゆえに焦点は今後の利下げペースにある。現在、来年1月の利下げ確率は20%を切っている(OISに基づく予想確率、本日10時30分時点)。強い雇用統計は、米FRBがいった利下げを停止する観測を高めるだろう。利下げパスの不透明感は「米ドル買い→ゴールド売り」の要因となろう

・金価格が75日線を完全に下方ブレイクすれば、次の焦点は2,600ドルの維持となろう。11月19日以降、相場をサポートする局面が何度か見られた2,620ドルのすぐ上に75日線が上昇している(2,625ドル)。2,620ドルの下方ブレイクは、2,600ドルをトライするサインと捉えたい

・2,600ドルはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる(2,607ドル)。11月の下落相場を止めた経緯がある。2,620ドル(75日線)とサポートゾーンを形成する可能性を意識したい。

・今週、金価格が2,600ドルの維持に失敗すれば、レジスタンスからサポートのラインへ転換したフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準2,580ドルまでの下落を想定しておきたい

サポートライン

・2,625ドル:75日線(日足)
・2,620ドル:サポートライン(日足)
・2,600ドル:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(1時間足)
・2,580ドル:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(1時間足)


さえない米経済指標が続けば2,700ドルの再トライが焦点に

今週の米経済指標でアメリカの景気不安と米FRBの利下げ期待が高まる場合は、金価格の押し上げ要因となろう。注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。

・金価格が上昇する場合は、レンジの上限である50日線の突破、およびこの移動平均線がサポートラインへ転換するかどうか?を確認したい

・金価格が50日線を完全にブレイクアウトすれば、次の焦点は10月31日の最高値2,790ドルを基点とした短期レジスタンスラインの攻防となろう。このラインは今週、2,690ドルを挟んで推移する

・金価格が短期レジスタンスラインをも突破すれば、11月25日の高値水準でありレジスタンスラインへの転換が確認された2,720ドルのトライが焦点に浮上しよう。このラインで再び上昇相場が止められる場合は、ダブルトップの形成を意識した反落を警戒したい

レジスタンスライン

・2,720ドル:レジスタンスライン、11月25日の高値(日足)
・2,690ドル:短期レジスタンスライン(日足)
・2,669ドル:50日線(日足)


金価格のチャート

日足:24年7月以降

日足:24年7月以降

出所:TradingView

1時間足:11月12日以降

1時間足:11月12日以降

出所:TradingView


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