OPECプラス結束ならず 削減幅90万バレルどまり 原油価格下落
OPECプラス閣僚会合後に発表された、自主的な供給量削減幅は日量90万バレルどまり。原油価格は下落で反応した。
原油価格上昇を目指す産油国の足並みが乱れた。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で作るOPECプラスは11月30日の閣僚会合後、加盟国の一部が日量220万バレルの追加的な自主削減を行うと発表。しかしこのうち130万バレルはすでに実施済みの内容で、実質的な削減幅は90万バレルに留まった。30日の原油市場は発表内容に下落で反応し、米国産原油の指標価格は前日比2.4%安で取引を終えた。OPECプラスの閣僚会合は当初の開催予定日を延期して原油価格下支えを目指したが、目論見は失敗に終わったようだ。
OPECプラスの一部が3か月間の供給量削減を実施
OPECの発表文によると、サウジアラビア、イラク、アラブ首長国連邦(UAE)、クエート、カザフスタン、アルジェリア、オマーンの7か国が、6月に合意した2024年の生産計画から合計日量169.6万バレルを追加削減する。期間は1月から3月までとしている。またロシアは同じ期間、50万バレルの輸出量削減を実施するため、合計での削減量は約220万バレルとなる計算だ。
しかしこのうちサウジの減産量としてカウントされている100万バレルはすでに7月から実施済みの内容。またロシアの輸出量削減も現在30万バレル規模で行われている。このため原油供給量の追加削減幅は実質的に90万バレルといえる内容だ。
30日のWTIは3日ぶりに下落
しかも今回の発表内容はOPECプラスとしての正式な合意ではなく、期間も3か月間と短い。こうした発表内容の弱さを受けて、原油市場では産油国の減産に向けた協調が崩れたとの見方が広がった。LSEGによると、30日のWTI(WTI)の先物価格(翌月渡し)の終値は1バレル=75.96ドルで、3日ぶりの下落。9月27日につけた直近の高値(93.68ドル)からの下落率は約19%に達した。
今回の閣僚会合はもともと26日の予定だったが、直前になって30日まで開催が延期された。アフリカからの加盟国として1位と2位の生産量があるナイジェリアとアンゴラが合意内容に反対したためと報じられており、両国は今回の発表での減産実施国から外れた。OPECプラスの盟主であるサウジは原油価格の引き上げを狙って減産への協調を呼びかけているが、思うに任せない状況とみられ、今後、原油価格に下落圧力がかかることも想定されそうだ。
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