原油価格の下落継続 4か月半ぶり安値 OPECプラスの動向は?
原油在庫の増加でWTIが4か月半ぶりの安値をつけた。26日のOPECプラス閣僚会合に向けた動きが次の焦点になる。
原油価格の下落が続いている。16日のニューヨーク商品取引所(NYMEX)では指標価格のWTIの先物価格(翌月渡し)が約4か月半ぶりの安値となる1バレル=72.90ドルを記録。アメリカの原油在庫が大幅に増えたことが需要減少を連想させたことが要因となった。原油価格は9月下旬には93ドル台に達する勢いをみせていたが、経済活動の減速が材料視される状態に入っているようだ。今後は、サウジアラビアを盟主とする石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で作るOPECプラスが26日に開く閣僚会合に向け、参加国の動きに相場が左右されることが想定される。
アメリカの原油在庫は8月以来の高さに
16日のWTIの終値(WTI)は前日比3.76ドル(4.9%)安で、2日続落。72.90ドルは7月6日(71.80ドル)以来の安値水準だ。原油価格下落の材料となったのは15日に発表された原油在庫の増加。米エネルギー情報局(EIA)が公表した10日時点の原油在庫は4億3935万バレルで、8月11日以来の高さだった。2週間前と比べて1746万バレル増という高い伸びになったことが原油市場でサプライズとなった。
原油価格は9月下旬までは急上昇が続いていた。27日にはWTIの終値が93.68ドルとなり、2022年8月29日(97.01ドル)以来の高値をつけている。OPECプラス参加国が原油価格上昇を狙って減産を続けている中でも、米国経済は堅調な成長が続き、供給の減少と需要の増加が原油価格を押し上げるとの見方が強まったためだ。
米国経済冷え込みの経済指標が原油安の要因に
しかし10月4日にOPECプラスが合同閣僚監視委員会(JMMC)で減産規模の維持を決めると、原油市場では「減産が拡大しなかった」とみなされ、原油価格を押し下げる要因のひとつになった。7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃後は原油価格が上がったものの、次第に原油供給が制限されるとの懸念は後退。11月に入ってからは、米国の労働市場の過熱感の緩和や物価上昇減速といった経済の冷え込みを感じさせる経済指標が発表され、原油需要減少が原油価格を下げるという筋書きが意識されやすくなっている。
こうした中、原油相場の焦点となっているのは産油国の動向だ。OPECプラスは26日に6月4日以来の閣僚会合を開く予定。前回はOPECプラスとして生産量を維持しつつも、サウジが日量100万バレルの自主減産を表明し、原油価格上昇の下地を作った。原油価格が再び下落基調となる中、OPECプラスとしての足並みをそろえた対応や、サウジが産油国の盟主として改めて自主減産拡大に踏み切るなどの動きが出れば、原油価格が上向く可能性がある。一方、減産対応がとられなかったり、小規模だったりした場合には、原油需要の減少が材料視される流れが続くことも考えられそうだ。
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