原油価格に再び勢い WTIが1年1か月ぶり高値 米国の在庫減少
WTIが93ドル台まで上昇した。米国の原油在庫減少が材料視されたためだ。OPECプラスの減産の影響が出ている。
原油価格の上昇が再び勢いづいている。27日のニューヨーク商品取引所(NYMEX)では指標価格のWTIの先物価格(翌月渡し)が1バレル=93ドル台をつけ、1年1か月ぶりの高値を記録。前日比での上昇率は3.6%で、約5か月ぶりの高さとなった。上昇加速のきっかけは、米国の原油在庫が年初来の最低水準を更新したこと。WTIはサウジアラビアが5日に発表した自主減産延長を受けて、90ドル前後での値動きが続いていたが、上抜ける可能性を感じさせている。
WTIは1バレル=93ドル台まで上昇
27日のNYMEXでは、原油の指標価格となるWTIの先物価格(WTI 原油)が1バレル=93.68ドルで取引を終えた。93ドル台に乗せるのは、2022年8月29日につけた97.01ドル以来。前日比での伸び率は2023年5月5日(4.1%)以来の大きさとなった。
WTIを押し上げたのは米国の原油在庫の減少が想定以上に進んだことだ。米エネルギー情報局(EIA)が27日に公表した週次データによると、米国の原油在庫は22日時点で4億1629万バレル。前週から約220万バレル減少し、9月1日に記録したこれまでの年初来最低水準(4億1664万バレル)を更新した。ロイター通信のエコノミスト調査では、減少幅は32万バレルに留まるとみられていただけに、原油市場ではサプライズとしてとらえられた。
WTIは夏までは、80ドル前半で上値が抑えられる状況が続いてきた。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国で作るOPECプラスは原油価格上昇を狙って減産を続けてきたが、中国を含む世界経済の先行き不透明感が原油需要を落とすとの見方が価格の足を引っ張った。しかしOPECの盟主であるサウジアラビアが9月5日に7月から始めた日量100万バレルの自主減産の3か月延長を発表すると、WTIは90ドル台まで上昇。その後は90ドルを挟んだ値動きとなったが、今回の原油在庫の減少を受けて改めて上昇が加速した形だ。
世界経済の先行きには不安も
ただ、世界経済の先行き不透明感はまだ晴れていない。ユーロ圏やイギリスは成長率の低下が鮮明になっており、新型コロナウイルス禍からの復活が期待される中国経済も不動産部門を中心とした経済の混乱がみられる。一方、堅調さを保っているアメリカ経済も物価上昇に手を焼いている状況で、米連邦準備制度理事会(FRB)が続けてきた利上げが景気後退につながるリスクがくすぶる。
原油市場でこうした懸念が材料視されれば、原油価格が下落するシナリオも浮上してきそうだ。米国の原油在庫の水準が継続的に上がってきた場合は、米国経済の悪化や原油需要減少を示す動きとしてとらえられる可能性もある。
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