原油価格が2日で4.7%下落 FRB議長のタカ派発言で 値上がり材料も消えず
原油価格に下落圧力がかかっている。FRB議長のタカ派発言がきっかけだが、中国経済やウクライナ情勢などの値上がり材料も消えていない。
原油価格に下落圧力がかかっている。8日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)では原油価格の指標となるWTI (ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物価格が2日続落。終値は約77ドルで、2日間の下げ幅は4.7%に達した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が7日に利上げ加速を示唆したことがきっかけだ。原油価格はこのところ80ドル程度で上値が抑えられる展開が続いており、パウエル発言は値上がりへ新たなハードルになった。一方、中国経済の復調やロシア産原油の動向などの値上がり材料も消えていない。
米国利上げ加速でエネルギー需要減との見方
WTIの4月物の取引価格は8日、前日比0.92ドル(1.2%)安の1バレル=76.66ドルで取引を終えた。パウエル氏の利上げ加速発言があった前日も3.6%安となっており、発言前の6日の終値(80.46ドル)からの下げ幅は4.7%となった。
パウエル氏は7日の議会証言で、「利上げペースを上げる用意がある」と言及。FRBが2022年3月から利上げを続けてきたにも関わらず、物価上昇率は高水準で、雇用関連指標の強さも続いていることから、一時は落とした利上げペースを再び加速させる意向を示した形だ。市場では米国の経済活動が落ち込み、エネルギー需要も減少するとの見方が広がった。
原油価格を動かす要因はさまざま
原油価格はロシアによるウクライナ侵攻後、価格上昇圧力が強まり、2022年6月には120ドルを突破。しかし6月にFRBが利上げ幅をこれまでの0.25%から0.5%に引き上げるなど、各中央銀行による利上げに注目が集まると原油価格は下落基調に入り、9月下旬にはピークと比べて4割近く安い76ドルまで値を下げた。その後、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど産油国が大幅減産で合意した10月上旬には原油価格は90ドル前半まで値を伸ばしたが、11月中旬以降は中国経済の先行きへの不安もあり80-70ドル程度を行き来している。
原油価格が落ち着きを見せている理由には欧米が暖冬だったため、エネルギー需要が想定よりも伸びなかったという季節的な事情もある。一方、ウクライナ戦争を背景にしてロシアが3月から原油生産を減らすと表明したことや、ゼロコロナ政策を解除した中国経済の本格回復が見通されていることなどは原油価格の押し上げ要因だ。今後の米国の利上げ動向や産油国の生産状況などに注目が集まりそうだ。
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