【ユーロドル】今週の見通しとチャートポイント
欧州中央銀行は14日に理事会を開く。短期金融市場での利上げ確率は30%台で推移しているが、クノット・オランダ中銀総裁は6日、市場は利上げの可能性を過小評価していると述べた。ECB理事会とラガルド総裁の会見次第でユーロドルは上下に大きく振れることが予想される。また、米国の経済指標も今週のユーロドルの変動要因となろう。注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週のドル円の見通しについては、こちらのレポートをご覧ください。
サマリー
・今週のユーロドルはECB理事会の動向が焦点となろう
・中長期のトレンドはラガルドECBの政策動向に影響されよう
・米国の重要経済指標もユーロドルの変動要因となろう
・今週、注目しておきたい上下のチャートポイントについて
注目材料は欧州中央銀行(ECB)理事会
今週14日に欧州中央銀行(ECB)が理事会を開く。
昨年の10月を境にして、欧州のインフレ率は鈍化の傾向にある。一方、ラガルドECBが注視するコアインフレ率は前年比で5.3%まで低下し、こちらも鈍化の傾向を辿っている。しかし、物価目標の2%と比べて未だ高い水準にある。
ユーロ圏のインフレ動向:22年8月以降
ラガルドECBがインフレのリスクよりも景気の先行きリスクの方を重視し9月の利上げを見送る場合は、ユーロ売りの要因となろう。
しかし、ECB政策委員会のメンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は先週6日、市場は9月利上げの可能性を過小評価しているかもしれないとの認識を示した(ブルームバーグとのインタビュー)。
現時点で短期金融市場での利上げ確率は30%台で推移している。市場は据え置きの可能性を意識しているが、これに反してラガルドECBが利上げを決定する場合、外為市場はユーロ買いで反応しよう。しかしその持続性は、ラガルドECB総裁が示す今後の政策スタンスに影響されるだろう。
下値のチャートポイント
今週、ECBイベント(理事会とラガルド総裁の会見)以外でユーロドル(EUR/USD)のトレンドに影響を与える可能性のある材料が、こちらのレポートで述べた米国の経済指標-8月の消費者物価指数(CPI)と小売売上高、そして9月のミシガン大学期待インフレ率である。
これら3つの重要指標で米国経済の底堅さを示唆する内容が続けば、米欧の景況感の格差が意識され、ユーロドルは下値をトライすることが予想される。
米国の強い経済指標に加えて、ECB理事会の結果とラガルド総裁の会見内容がユーロ売りの要因となれば、ユーロドルの下落幅が拡大しよう。
ユーロドルの下落局面では、1.07レベルの攻防に注目したい(下の日足チャートの赤ラインを参照)。この水準を下方ブレイクした後に、レジスタンスの水準として相場の反発を止める場合は、ユーロドルがさらに下値をトライするシグナルとなろう。
1.07レベルの ”レジスタンス転換” が確認される場合は、フィボナッチ・エクステンションの各水準の攻防に注目したい(下の日足チャート、青ラインを参照)。
半値戻しの水準1.0690レベルは、先週7日の下落を止めた経緯がある。61.8%の水準1.0630レベルは5月31日の安値水準(1.0635レベル)にあたる。そしてフィボナッチ・エクステンション76.4%の水準は、サポートポイントとして意識される可能性のある1.05ミドルの水準(1.0556レベル)にあたる。
これらフィボナッチ・エクステンションの各水準をユーロドルがことごとく下方ブレイクする場合は、IG為替レポートで注目している3月15日の安値1.0516レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。この水準の攻防は、1.05台を維持する攻防の意味合いを持つ。
ユーロドルのチャート:日足 3月以降
反発の局面で注目しておきたいチャートポイントは?
一方、ラガルドECBが利上げを決定する場合は、ユーロドル(EUR/USD)の反発相場を想定しておきたい。米国の経済指標が米金利の低下要因となる場合も、米独利回り格差の縮小を受けてユーロドルはひとまず反発することが予想される。
ユーロドルが上値をトライする場合、まずは先週レジスタンスの水準として意識された1.0750レベルの突破が焦点となろう。先週の反発局面では、1.0750レベルすら突破できなかった。
すぐ上の1.0766レベルは8月25日の安値水準であり、レジスタンスへ転換する可能性のあるチャートポイントである。
ユーロドルが1.0766レベルを突破する場合は、1.08台をトライする可能性が高まろう。今日現在、1.0777レベルで推移している10日線をも上方ブレイクする場合は、1.08トライのシグナルと想定しておきたい。
ユーロドルが1.08台の攻防へシフトする場合は、21日線のトライおよびブレイクアウトが次の焦点となろう。この移動平均線は今日現在、1.0820レベルで推移している。
日足のMACDでは、ユーロドルの地合いの弱さを示唆する動きが続いている。そしてファンダメンタルズの面では、米欧の景況感格差が意識されやすい状況にある。これらの状況を考えるならば、ユーロドルが反発しても、上で述べたレジスタンス(テクニカルポイント)の水準で反落する展開を警戒しておきたい。
ユーロドルのチャート:日足 5月以降
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