【ユーロドル (EUR/USD)】今週の見通しとチャートポイント
現在、外為市場では米欧の景況感格差が意識されやすい状況にある。今週のFOMCと米国の経済指標でこの点が強く意識される場合、ユーロドル(EUR/USD)はさらに下値をトライすることが予想される。ユーロドルが反発しても、上昇幅が限られる可能性がある。今週、注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・今週のユーロドルは、下値トライを意識しておきたい
・今週の変動要因は、米国の重要イベントとユーロ圏の物価指数となろう
・ユーロドルの下落局面では、3つのテクニカルポイントに注目したい
・ユーロドルの上昇局面では、21日線と50日線の攻防が焦点となろう
下値トライを意識する状況が続く
ユーロドル(EUR/USD)の動向を日足チャートで確認すると、じりじりと上値の水準が切り下がり、週明けは21日線と50日線でデッドクロスの状況に転じている。
日足のMACDもゼロラインを下回り、ユーロドルの地合いが弱気相場へ転じていることを示唆している。
下で述べる米欧中銀が置かれている状況も考えるならば、今週のユーロドルは引き続き下値トライを意識したい。
先週25日の記者会見でラガルド総裁は、今夏以降の利下げの可能性に言及した。しかし、短期金融市場では4月の利下げを意識する状況にある。
利下げ開始のタイミングでECBと市場には温度差があるが、早期の利下げが意識されている状況はユーロドルの上値を重くしよう。
FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長は、市場が抱く利下げ期待をけん制する可能性がある。また、経済指標では引き続き米国経済の堅調さと労働市場のひっ迫した状況が示される可能性もある。
米利下げ期待の後退と米欧の景況感格差が同時に意識される場合は、ユーロドルの下落幅が拡大する展開を警戒しておきたい。
今週、予想どおりにユーロドルが下値をトライする場合は、IG為替レポートで注目している短期サポートライン(今日現在1.0830前後)を下方ブレイクし、半値戻しの水準1.0794レベルをトライする展開を想定しておきたい。
半値戻しの水準の攻防は、1.08台の維持を見極める攻防となろう(下のチャート、黒矢印を参照)。
なお、短期サポートラインは先週26日の下落を止めた経緯がある(下のチャート、黒矢印を参照)。
ユーロドルのチャート:日足23年10月以降
ユーロドルが1.07台の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0712レベルのトライが焦点として浮上しよう(上の日足チャートを参照)。
昨年12月8日の安値1.0723レベルの下方ブレイクは、1.0712レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
反発局面では2つの移動平均線の攻防が焦点に
一方、FOMCや米国の経済指標が米ドル安の要因となる場合は、ユーロドル(EUR/USD)の反発相場が予想される。
このケースでの焦点は2つの移動平均線の攻防-21日線と50日線の攻防が引き続き焦点となろう。これらの移動平均は今日現在、1.0910台で推移している。また、デッドクロスの状況にある(上の日足チャートを参照)。
先週26日のNY時間に相場の戻りを止めたフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.0884レベルの上方ブレイクは、上で述べた移動平均線をトライするシグナルと想定しておきたい(下の1時間足チャートを参照)。
ユーロドルのチャート:1時間足 1月11日以降
今週、ユーロドルが上で述べた移動平均線(1.0910台)を完全に突破する場合は、1.0930レベルのトライが焦点として浮上しよう(上の1時間足チャートを参照)。この水準は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%(1.0928レベル)にあたる。
また、先週24日のNY時間に相場の反発を止めた経緯がある。ゆえに、レジスタンスの水準へ転換する可能性を意識する水準でもある。
ユーロ圏のインフレ動向
今週、ユーロドル(EUR/USD)が上で述べた上下のチャートポイントをトライするかどうか?
そのきっかけとなり得るのが、こちらのIG為替レポートで取り上げた米国の重要イベント-連邦公開市場委員会(FOMC)後に開かれるパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見と経済指標(特に1月の雇用統計)となろう。
そして、米国イベント以外で材料視される可能性が高いのが、2月1日に発表される1月のユーロ圏消費者物価指数(速報値)である。
市場予想は以下のとおり、総合とコア指数でともにインフレが鈍化する見通しである(下のチャート、赤の棒グラフとドットを参照)。
ユーロ圏 消費者物価指数の動向:月次23年以降
今月30日に発表される10~12月期のユーロ圏域内総生産(GDP)速報値は 前期比で0.1%減と、2四半期連続でマイナス成長が予想されている。
ユーロ圏経済の先行き不透明感が意識されるなか、1月の消費者物価指数が予想どおりかそれ以上にインフレ鈍化の進行を示す場合は、市場が抱く4月利下げの観測を高めユーロ売りの要因になり得る。
一方、1月の消費者物価指数で予想外にインフレ圧力の根強さが確認される場合は、ユーロドル(EUR/USD)の反発要因になり得る。
しかし、米欧の景況感格差が鮮明となっている状況を考えるならば、ユーロドルの持続的な上値トライはパウエル会見と米国の経済指標次第となろう。
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