【ドル円 (USD/JPY)】変動要因は米ISM非製造業景気指数 / 注目のチャートポイント
外為市場では現在、米ドル高の圧力がジワリと後退する状況にある。しかしドル円(USDJPY)は、根強い円安にサポートされ150円台を維持している。今日は2月の米ISM非製造業景気指数で上下に振れることが予想される。注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・外為市場では現在、米ドル高の圧力がジワリと後退する状況にある
・しかしドル円は、根強い円安にサポートされ151円を目指す状況が続いている
・ドル円の下落局面では、21日線の維持が焦点となろう
・投機筋のポジション動向を考えるならば、今は調整の円買いを警戒しておきたい
外為市場の動向:根強い円安
4日の外為市場では、主要国の通貨で米ドルの売り買いが交錯した。一方、円相場は円安優勢の展開となった。
ドル円(USD/JPY)は根強い円安にサポートされ、150円台で底堅い状況が続いた。
ユーロ円(EUR/JPY)やポンド円(GBP/JPY)などの主要なクロス円も上昇した。
円相場の動向:3月4日
今日の注目材料:2月の米ISM非製造業景気指数
今日は2月の米ISM非製造業景気指数が発表される。市場予想は53.0。1月の53.4から若干ながら低下する見通しである。
総合指数の内容も重要だが、新規受注や雇用といった各指数の動向にも注目したい。特に雇用指数は重要である。2月のISM製造業景気指数は47.8と、市場予想の49.5を予想外に下回っただけでなく、雇用指数は45.9と昨年7月以来の水準まで落ち込んだ。
サービス業の雇用でも弱さが確認される場合は、8日に発表される2月の雇用統計に対する弱気の思惑が強まる可能性がある。
ISM非製造業景気指数がさえない内容となれば、米金利の低下要因となろう。米金利の低下は米ドル安の要因となろう。
米国 ISM非製造業景気指数の動向:23年以降
ドルインデックス:後退する米ドル高の圧力、21日線で上値の重い展開に
米債市場では2年債、5年債そして10年債の各利回りの反発が一服している。
この動向を受け、米ドル相場のおおまかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、先月中旬に105.00レベルで上昇相場が止められて以降、じりじりと水準が切り下がる状況にある。
テクニカルの面では21日線で相場の戻りが止められる状況にある(下のチャートを参照)。オシレーター系指標のトレンドも米ドル高の圧力がジワリと後退している状況を示唆している。
この状況で今晩のISM非製造業景気指数が予想外に低下する場合は、サポート水準として意識されている103.50レベルの下方ブレイク、および50日線を視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
21日線は今日現在104.12レベル、50日線は103.31レベルで推移している。
ドルインデックスのチャート:日足23年10月以降
ドル円:今日の見通しとチャートポイント
21日線と150.80台、どちらをブレイクするか?
上で述べたとおり、現在の外為市場では米ドル高の圧力が後退する状況にある。
しかし、ドル円(USD/JPY)は根強い円安にサポートされ、150円台を維持している。昨日は21日線(今日現在149.98レベル)でサポートされた。
日足のストキャスティクスは短期的な相場の加熱感を示唆する状況のなかでも、再びゴールデンクロスが確認された(下のチャート、赤矢印を参照)。
根強い円安トレンドが続いていることに加え、上で述べたテクニカルの動向も考えるならば、ISM非製造業景気指数が米ドル安の要因となっても、ドル円は21日線付近(150.00前後)でサポートされる展開が予想される。
一方、上値の焦点は引き続き150.80台の攻防に注目したい。ドル円がこの水準を完全に上方ブレイクする場合は、151.00レベルのトライおよびブレイクアウトが焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート:日足23年11月以降
米ドル安と円買いが重なる場合は21日線の下方ブレイクを警戒
日足のモメンタムは低下基調が一服している。しかしゼロライン付近で推移し、上昇圧力の後退を示唆している(上のチャート、赤矢印を参照)。そして151.00手前では上値が重い。
この状況で米ドル安と円を買い戻す動きが同時に発生すれば、ドル円(USD/JPY)は上で述べた21日線を下方ブレイクする展開を想定しておきたい。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、円のネットショート(非商業部門)は13万枚超まで積みあがっている。13万枚を超えるのは昨年11月中旬以来であり、水準としては2017年以来となる。
高水準の状況にある円ネットショートポジションの状況を考えるならば、現在は調整の円買いがいつ発生してもおかしくない(下のチャート、赤の棒グラフを参照)。
そのきっかけとして目先注目したいのが、株安である。日米の株式市場は高値警戒感が意識されやすい状況にある。
特に米国株の動きに注目したい。6日に控えるパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言と8日の2月米雇用統計を前に株高を調整する動きが続けば、「米株安→米金利の低下(米債買い)→日米利回り格差の縮小→円の買戻し」の展開が予想される。
ドル円が21日線を完全に下方ブレイクする場合は、IG為替レポートで注目している149.50レベルのトライが焦点として浮上しよう。この水準で相場が反発する場合は、短期的に149.50レベルのサポート転換が意識されると予想する。
円のポジション動向:23年2月27日時点
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