米長期金利の焦点は50日線の攻防 / ドル円とポンドドルの焦点
サマリー:「7月CPIと10年債の入札を受け米金利は低下。ドル相場は反落。中長期では米金利の緩やかな上昇が続くと予想。ドル円とポンドドルの焦点は?上下のチャートポイントは?」。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米長期金利の焦点は50日線の攻防
11日の米国株式は、ダウ平均とS&P500指数が最高値を更新した。ナスダック総合指数は小幅に続落するも、取引の後半は買戻しが入り底堅さを印象付けた。
一方、米債市場では、7月の消費者物価指数が予想の範囲内にとどまったこと、10年債の入札結果が良好だったことを受け長期金利が低下した。2年債利回りの上昇も抑制された。
「株高/金利低下」の状況では、米ドル安と同時にリスク性の高い通貨の買い圧力が高まりやすい。事実、昨日は株式動向に敏感なオセアニア通貨が対米ドルで上昇した。また、株高に加えて原油などの資源価格が上昇したことで南アランド、ノルウェークローネそしてロシアルーブルなども対米ドルで上昇した。
米ドル相場のトレンドは、引き続き米金利に左右されるだろう。
現在、反発の基調にある米長期金利だが、上で述べたとおり昨日は上昇の圧力が後退し50日EMA(1.36%台)の突破に失敗した。しかし、大規模な経済対策により今後もアメリカ経済が回復していく可能性が高いことを考えるならば、50日線を突破する可能性が高い。米長期金利の低下局面では、米ドル売りを想定する必要があるが、中長期のスパンでは「米経済の持続的な回復→長期金利の緩やかな上昇→米ドル買い」の展開を意識したい。
また、FRBの政策転換により2年債利回りにも上昇圧力が高まり、0.28%のレベルを突破してくるだろう。2年債利回りの動向も、年後半の米ドル相場をサポートする要因になると予想する。
米金利のチャート
反落局面でのドル円はリトレースメントの攻防に注目
ドル円(USDJPY)は昨日、110.80レベルで上値が抑制され陰線引けとなった。米金利の上昇と米株高が同時に発生する局面では、110.80ブレイクが上値の焦点となろう。
一方、ドル円が反落する局面では、フィボナッチ・リトレースメントの各水準の攻防に注目したい。
レポート執筆時点での8月高安のリトレースメントを確認すると、昨日は23.6%戻し110.30レベルで下値がサポートされた。
38.2%戻しは110.00の水準である。この水準は9日に相場をサポートした経緯がある。また、昨日のレポートで指摘したとおり21日EMA(今日現在110.06レベル)と50日EMA(今日現在109.95レベル)が110.00を挟むかたちで展開している。テクニカルの面で110.00レベルは、ドル円が反転する可能性が高い水準として注目しておきたい。
半値戻しの水準109.75はドル円をサポートした経緯がない。しかし、すぐ下の109.70レベルは、今月5-6日にかけてレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。米株が連日で崩れる場合は、110円割れおよび109.70台のトライを想定しておきたい。
ドル円のチャート
しぶといポンドドルだが引き続き下落リスクを警戒
FRBの政策転換の思惑を受け下落基調にあったポンドドル(GBPUSD)だが、直近2日は1.38台をしぶとく維持することに成功している。
だが、89日EMA(今日現在1.3880レベル)および50日EMA(今日現在1.3883レベル)で反発が抑制されている状況を考えるならば、下落トレンドは続いている。
昨日のように米金利の上昇が抑制される場合、ポンドドルは上の各EMAをトライ&ブレイクする展開を想定したい。
しかしこれらEMAをブレイクしても、次に控えているのは短期レジスタンスラインである。このラインは今日現在1.3917レベルで推移している。短期レジスタンスラインで反発が抑制される場合、ポンドドルの地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
一方、米金利の上昇や米株の下落(=リスク回避の米ドル買い)などでポンドドルが下落する場合、まずはリトレースメント38.2%戻し1.3825前後の攻防に注目したい。
1.3825レベルをローソク足の実体で下方ブレイクする場合は、半値戻しの水準1.3776レベルおよび61.80%の水準1.3728レベルのトライを想定したい。この水準は先月下旬にレジスタンスとしてもサポートとしても意識された経緯がある。
ポンドドルのチャート
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