上昇が抑制される米金利 反発材料は良好な米指標データ / ドル円とポンドドルの焦点
サマリー:「米金利は低下しやすい環境にある。反発材料は良好な米指標データ。今日は米小売売上高に注目。英国の指標データにも注目。ドル円とポンドドルの焦点は?」。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
上昇が抑制される米金利 反発材料は良好な米指標データ
16日の米債市場で長期金利(以下米金利)は、一時1.22%台まで低下する局面が見られた。NY金が続伸基調を維持していることも考えるならば、現在は安全資産の需要が高いと言える。
米国の株市場では、ダウとS&P500が最高値を更新する状況が続いている。しかし、旅行やカジノ・リゾート関連の銘柄が売られている状況は、デルタ株の感染拡大を意識した動きと言える。
また、米国の外に目を向ければ、中国の景気減速に対する懸念や緊迫化するアフガン情勢と中東への悪影響といったリスク要因がくすぶる。これら金利の低下要因に囲まれながら、今週も米金利が上昇基調を維持するためには、米国経済の持続的な回復とそれに伴う金融政策の正常化(に対する観測の高まり)が重要なファクターとなろう。
前者について、今日は7月の米小売売上高に市場参加者の耳目が集まろう。堅調な個人消費の動向が確認されれば、米金利は小幅に反発すると予想する。米金利の反発は米ドル相場をサポートしよう。
警戒すべきは、小売売上高が市場予想を下回る場合である。昨日発表された8月のNY連銀製造業景気指数は18.3と、市場予想(29.0)や7月(43.0)を大きく下回った。連日で弱い指標データの内容が確認される場合、50日線で上昇が抑制されている米金利には低下の圧力がさらにかかることが予想される。米金利の低下は、実質金利の低下につながる。よって、米ドル相場にとってはネガティブである。
米長期金利のチャート
ドル円の焦点
昨日のレポートで指摘したとおりドル円(USDJPY)は、引き続き下落リスクを警戒したい。
目先の焦点は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準109.06レベルの攻防となるか?この点にある。このテクニカルポイントのブレイクは、108円台の攻防シフトのシグナルとして意識しておきたい。
108円台で注目すべき最初のサポートポイントは、今月4日の安値108.71である。
一方、良好な米指標データにより金利が反発する展開となれば、ドル円もその動きに追随しよう。このケースでの焦点は、100日EMA(109.35レベル)および89日EMA(109.48レベル)の突破である。これらEMAで戻りが抑制される場合は、地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。
通貨オプション市場の参加者の短期的な予測を反映するリスクリバーサルの動向を確認すると、1週間および1ヶ月ともに低下の基調にある。ドル円が反発しても、上のEMAで反落するリスクを警戒しておきたい。
ドル円のチャート
ポンドドルの焦点
昨日取り上げたユーロドル(EURUSD)と同じく、ポンドドル(GBPUSD)も移動平均線(EMA)での攻防となっている。
先週からレジスタンスのラインとして意識されているのが、89日線(1.3877レベル)である。ローソク足のヒゲで上値が抑制されていることを考えるならば、反発の局面では89日線の突破が上値の焦点となろう。
89日線をトライするシグナルとして注目したいのが、21日線(1.3854レベル)の攻防である。米金利の低下と株高が同時に発生しなければ、21日線すら突破できないに状況にあることを昨日の欧米市場の動向は示唆している。
また、今日の米小売売上高が予想以上となれば、21日線のレベルで上値が抑制される展開が予想される。
21日線を突破する材料として注目したいのが、英指標データである。今週は米国と同じく、多くの英指標データが発表される。
今日は雇用関連指標の発表が予定されている。労働市場の改善が確認されるならば、ポンド買いを予想する。このケースでは、21日線だけでなく89日線をも突破する可能性がある。しかし、短期レジスタンスラインを完全に突破しない限り、ポンドドルの下落トレンドを意識しておきたい。
一方、ポンドドルの下値の焦点は、1.3790レベルの維持である。米金利の上昇、株安またはさえない英指標データが確認されるケースでは、1.3790のトライを想定しておきたい。
ポンドドルのチャート
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