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NY金、調整の反落を警戒も下値では押し目買いの好機 目先の見通し

週明けの金価格は下落でスタートした。中東リスクはくすぶるがイスラエルの攻撃に対してイランが自制していることで、NY原油先物価格も下落している。米長期金利が上昇基調にあることも考えるならば、目先の金価格は調整の反落相場を想定しておきたい。しかし、下値では押し目買いのチャンスを常に狙いたい。

Source: Bloomberg Source: Bloomberg

記事のポイント

・イスラエルの攻撃に対してイランが自制している
・イランの対応を受け、週明けの原油先物価格と金価格は下落している
・米金利の上昇基調も考えるならば、NY金は短期の調整売りを警戒したい
・しかし、下落の局面では金の押し目買いの好機となろう


スポット金価格、注目のチャート水準

レジスタンスポイント

・2,767:フィボナッチ・エクステンション50.0%
・2,758:10月23日高値
・2,747:10月25日高値

サポートポイント

・2,720:サポートゾーン
・2,714:10日線
・2,700:サポートポイント


イスラエルがイランを空爆もイランは自制的な対応を示す

イスラエル軍は26日未明、イランへ空爆した。精密で標的を絞った抑制的な攻撃だと強調した。対するイランはイスラエルに対する反撃を慎重に検討する構えを見せ、全面衝突を避ける意図を示した。

対立がエスカレートするリスクがくすぶってはいる。しかし、現状イランが自制する構えを見せていることで中東情勢のさらなる混迷に対する懸念が後退し、週明けのNY原油先物価格は窓を開けての下落スタートとなった。

NY原油先物価格のチャート:5分足 25日NY時間~週明け28日12時30分

NY原油先物価格のチャート:5分足 25日NY時間~週明け28日12時30分

出所:IGチャート

NY金は調整の下落を警戒

NY金の先物とスポットの価格も同様に、週明けは下落でスタートした。

スポットの金価格(以下では金価格)は現在、2,750ドルが強烈なレジスタンスの水準として意識されている(下の日足チャート、赤矢印を参照)。

日足のRSIはデッドクロスへ転じている(下の日足チャート、紫の矢印を参照)。MACDでも同じ状況が確認される場合は、金価格の調整相場(下落)を想定しておきたい。

スポット金価格のチャート:日足 2024年7月以降

スポット金価格のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

今回のレポートで採用した45分足のRSIとMACDは、すでにデッドクロスへ転じている。MACDはゼロラインを視野に低下トレンドにある。

サポートゾーンを形成していたフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準とフィボナッチ・エクステンション50.0%戻し、そして61.8%戻しの水準を下方ブレイクしている状況も考えるならば、目先の金価格は、下で述べるサポート水準のトライを想定しておきたい。

スポット金価格のチャート:45分足 10月23日以降

スポット金価格のチャート:45分足 10月23日以降

出所:TradingView

注目のチャート水準

下落の局面では2,700ドルの維持が焦点に

今日以降、金価格の下落局面で注目したいのが2,700ドルの維持である。テクニカルの面では10日線の維持が焦点となろう。この移動平均線は今日現在、2,714レベルで推移している(上の日足チャート、緑ラインを参照)。

10日線をトライするシグナルとして、2,720レベルの攻防に注目したい。この水準を挟んでフィボナッチ・リトレースメント61.8%の2,723レベルと76.4%の2,717レベルが展開している。また、2,721レベルはフィボナッチ・エクステンション100%の水準にあたる(いずれも上の45分足チャートを参照)。

金価格がフィボナッチ・リトレースメントの全戻し2,708レベルをも下方ブレイクすれば、2,700ドルのトライを想定しておきたい。

3つのレジスタンスポイントの攻防に注目

一方、調整売りをこなし金価格が反発する場合は、3つのレジスタンスポイントの突破が焦点となろう。

ひとつは、10月25日の高値2,747である。次の水準が10月23日の高値2,758である。そして最後の水準がフィボナッチ・エクステンション50.0%の水準にあたる2,767である(上の日足チャートを参照)。

最後の水準2,767レベルの上方ブレイクは、金価格が2,800ドルを目指すサインと捉えたい。

金価格の下落は押し目買いの好機

NY金の下落局面では、常に押し目買いの好機と捉えたい。こちらのIGコモディティレポート「アメリカ大統領選挙レポート:金価格の展望 最高値更新のNY金、米大統領選挙後も強気相場を維持できるのか?」で指摘したとおり、金価格は3つの買い要因により、中長期のスパンでは上昇トレンドを維持する公算が大きいからだ。

特に中東リスクは、目先の金価格の反発要因となろう。対ハマス、対ヒズボラそして対イランと戦線が拡大し、今やイスラエルは三正面の戦争に突入している。イランの核開発懸念も高まっており、中東が出口の見えない「ミッション・クリープ」に陥りつつある状況は、情勢がさらに泥沼化するリスクを高めるだろう。

また、筆者が金価格の強気見通しを維持するもう一つの理由がある。それが、直近の米金利と金価格の動きである。

米国の債券市場ではソフトランディング期待の他、インフレ再燃の可能性につながる政策を掲げている共和党のトランプ候補が大統領選挙で勝利する可能性も意識され、長期金利(10年債利回り)が4.2%台で高止まりしている。長期金利の上昇は米ドル高の圧力を高めている。これら市場の動きを受け、金価格が下落する局面が見られた。しかしそれは一時的な動きで終わり、金価格は上昇トレンドを維持している。

米金利の上昇と米ドル高の圧力を跳ね除ける強さを見せる金価格のトレンドを考えるならば、下落の局面は押し目買いの好機と捉えたい。

米長期金利、ドル指数、スポット金価格のチャート:日足 2024年4月以降

米長期金利、ドル指数、スポット金価格のチャート:日足 2024年4月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


スポット金価格、注目のチャート水準

レジスタンスポイント

・2,767:フィボナッチ・エクステンション50.0%
・2,758:10月23日高値
・2,747:10月25日高値

サポートポイント

・2,720:サポートゾーン
・2,714:10日線
・2,700:サポートポイント



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