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上値の重いNY銀価格、金価格と同じく米ドル高を警戒、目先の見通しは?

6月以降、スポット銀(XAG)の価格がじりじりと切り下がっている。その要因は米ドル高にある。フランスの総選挙で「ユーロ安・米ドル高」が進行する可能性を考えるならば、今の銀価格の焦点は、新たな下値の水準を見極めることにある。目先の見通しは?


この記事のポイント

・6月以降、NY銀価格は調整の反落ムードが強まっている
・「フランス・リスク」と米ドル高の進行は、銀価格の下落要因となろう
・銀価格、注目しておきたい目先のサポート水準


反落ムードが漂うNY銀価格

NY銀価格(XAG、スポット)の上値が重い。

直近のトレンドを日足チャートで確認すると、6月以降、じりじりと水準が切り下がっている。昨日は、ローソク足の実体ベースで短期サポートラインを下方ブレイクした。上値では短期レジスタンスラインが形成されつつある。

また、日足のMACDは5月31日にデッドクロスへ転じた後、低下トレンドを維持し、今はゼロラインを下回る状況にある(下の日足チャート、赤矢印を参照)。

28ドルの攻防

銀価格(XAG)の下落が続く場合は、こちらのIGコモディティレポートで指摘したとおり、28ドルの攻防に注目したい。

銀価格が28ドルをトライするシグナルとして、28.50レベルの攻防に注目したい。この水準は、2つのフィボナッチ・リトレースメントの水準が重なる重要はチャートポイントである(下の赤ラインを参照)。

銀価格が28ドル前後でサポートされる場合は、上限を32ドルとしたレンジ相場へシフトするシナリオを想定しておきたい。

一方、銀価格が28ドルを完全に下方ブレイクする場合は、調整相場がさらに進行するシグナルとなろう。

このケースでは、サポート転換の可能性を意識する水準27.50レベルの攻防に注目したい。テクニカルの面でこの水準は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%(27.55レベル)にあたる。

銀価格が27ドルの水準をも下方ブレイクする場合は、26ドルの維持が焦点として浮上しよう。この水準は4月の反落相場を止めた経緯がある。かつ、テクニカルの面ではフィボナッチ・リトレースメント61.8%(25.98)レベルにあたる(下のチャート、紫ラインを参照)。

NY銀スポット価格のチャート:日足 24年2月以降

スポットNY銀価格のチャート:日足 24年2月以降

TradingView提供のチャートで作成


ユーロ安による米ドル高の進行を警戒

なぜ28ドルの下方ブレイクを警戒するのか?その理由は、米ドル相場の動きにある。6月に入り、米ドル相場は対G10通貨で上昇している。

米ドル相場の動向:月初来

米ドル相場の動向:月初来 ブルームバーグのデータで筆者が作成

そして、こちらのIGコモディティレポートで指摘したとおり、フランス総選挙の結果次第では、対ユーロで米ドル高が進行する可能性がある。

この点について、米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)のトレンドを確認すると、6月に入り、米ドル高へ転じていることが分かる。

5月以降、米債市場では2年債や10年債の利回りが低下している。それでも米ドル高優勢となっている今の状況は、「フランス・リスク」を意識したユーロ安が米ドル相場を下支えしていることを示唆している。

ドル指数のチャート:日足 24年3月以降

ドル指数のチャート:日足 24年3月以降

TradingView提供のチャートで作成

また、銀価格(XAG)とドル指数(DXY)の関係も米ドル相場の動きを注視する理由となる。3月以降、NY金価格((XAU))と銀価格は連動して上昇幅が拡大した。そして6月に入り、ともに反落相場へ転じている。

この間のドル指数との相関係数は「-0.22」と、逆相関の関係にある(下のチャート、赤枠を参照)。対照的に米金利との明確な相関関係は見られない。

上で述べたとおり米金利は現在、低下の基調にある。それでも米ドル高で推移している今の状況は、対円での上昇のみならず、「フランス・リスク」を意識したユーロ安が米ドル相場を下支えしていることもその要因と思われる。

ゆえに、少なくとも今後2週間(7月7日のフランス決選投票)が終わるまでは、「ユーロ安→米ドル高→銀価格の下値トライ」を警戒したい。

各市場の相関マトリクス:3月~6月25日

各市場の相関マトリクス:3月~6月25日 ブルームバーグのデータで筆者が作成

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