ソニーグループ、株価上昇 決算後1週間で9.4%高 見通しには影も
ソニーグループは13日の増収増益決算から株価が上昇。ゲーム事業や半導体事業も好調の維持が期待される。一方、為替相場や米国の高関税は不安材料だ。
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ソニーグループの株価に明るさが増した。20日の終値は2024年10-12月期決算を発表した13日から9.44%高の水準。決算発表が市場予想を上回る良い内容だったうえ、2025年3月通期の業績も上方修正されたことが好感された。4月1日にCEOに昇格する十時裕樹社長は13日の業績説明会でゲーム事業や半導体事業の好調さに触れ、今後の成長に自信を示している。ただ、ソニーグループの好業績は金融市場の動向に助けられた側面も強く、経営の実態は見かけほどは強くないとの見方も成り立つ。アメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策も不安要素といえ、ソニーグループの株価の今後の見通しに影が差すことも考えられそうだ。
ソニーグループの株価は2度の決算を経て3割超上昇 業績に高評価
ソニーグループの株価(6758)の20日の終値は3732円。10-12月期決算を発表した13日の終値(3410円)から9.44%高の水準だ。7-9月期決算発表があった2024年11月8日からは33.02%高で、業績への評価が株価上昇につながっている。
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10-12月期決算は予想を覆す増収増益 2025年3月期の業績見通しも上方修正
ソニーグループの10-12月期決算は総収入が前年同期比17.7%増の4兆4096億円、営業利益は1.3%増の4693億円だった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想では、総収入が0.2%減の3兆7405億円、営業利益が14.3%減の3969億円が見込まれていたが、実際に発表された結果は市場予想を大きく上回る好決算だったといえる。
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2025年3月の業績見通しを上方修正 ゲーム事業はユーザー数が過去最高に
またソニーグループは2025年3月通期の業績見通しを上方修正。総収入は13兆2000億円とし、従来見通しの12兆7100億円から上積みした。営業利益の見通しも1兆3350億円とされ、従来見通しから250億円引き上げられている。決算発表翌日の14日にソニーグループの株価は前日比8.65%高となった。
こうした中、ソニーグループは今後の業績に自信をもっているようだ。成長事業の一角として位置付けるゲーム事業では「プレイステーション5」の販売が好調。旧世代機を含めた月間アクティブユーザー数(MAU)が史上最高の1億2900万アカウントに達し、収益基盤が拡大している。また、投資家の注目度が高い半導体事業でも、スマートフォン向けセンサーの新製品の歩留まりの改善が計画を上回るペースで進んでいるという。十時氏は業績説明会で、ゲーム事業では2026年3月期に有力なゲームタイトルが複数発売されるとして「よりよいモーメンタムが来期に向けてできる」と期待を表明。半導体事業については歩留まり改善を踏まえ、「それほど大きな懸念材料はない」と述べた。
円安が業績を上向かせた側面も 2026年3月期見通しには高関税のリスク
ただ、ソニーグループの業績は追い風で上向いた側面もある。2025年3月期の総収入見通しの上方修正幅(4900億円)のうち、3900億円分は金融事業の増収が見込まれることが要因。金融事業では、ソニー生命の資産運用益が大きく増えており、金融市場の変動が追い風になったといえる。
またゲーム事業は10-12月期の前年同期比での増収分(2379億円)のうち359億円は為替相場の円安で押し上げられた。同様に半導体事業でも、円安で173億円の収入押し上げ効果があったが、収入規模は前年同期比で0.8%減にとどまっている。十時氏は業績説明会で、ソニーグループの好業績の背景には「為替の要因もある」と述べ、足元の業績は想定よりも上振れているとの見方を示唆した。ソニーグループは10-12月期の想定為替レートを1ドル=147.90円で設定していたが、実際には平均152.20円で推移したとしている。
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ゲーム事業や半導体事業などではトランプ氏が打ち出す高関税政策が今後の業績に影響を及ぼす可能性もある。ソニーグループは「米国内に一定水準の戦略在庫を積み上げるなどの備えを進めている」と説明しているが、トランプ氏の動向次第で2026年3月期の業績に悪影響が出るおそれは拭えない。金融市場では、日本銀行の利上げ観測が強まる中で為替相場で円高が進む可能性もあり、ソニーグループの好調な株価に下押し圧力がかかることも考えられそうだ。
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