ソニーグループ、半導体増収加速見通し 8日決算 円安効果は?
ソニーグループの7-9月期決算では半導体事業の増収が加速する見通し。ただし円安頼みの成長では株価が勢いづかない可能性もある。
ソニーグループが11月8日に発表する2024年7-9月期決算は注目度が高い半導体事業の増収が加速する見通しだ。半導体事業は4-6月期も前年同期比で2割超の成長を達成しており、さらに伸び率が大きくなると予想されている。ただ、ソニーグループの株価上昇は2023年末比で2%高程度でしかなく、投資家の期待が高まっているとはいえない。これまでの半導体事業の好調さは円安に支えられた側面が強く、株価上昇を加速させるには円安に頼らない実績を積み重ねる必要がありそうだ。
ソニーグループの7-9月期決算は半導体事業の成長が加速する見通し
ソニーグループは8日午後3時30分に7-9月期の決算を発表し、4時から業績説明会を開く。ブルームバーグのまとめによると、総収入は前年同期比7.1%増の3兆0281億円の予想。営業利益は26.6%増の3329億円と見込まれている。また、半導体事業の収入は前年同期比23.2%増の5006億円になる見込みで、4-6月期の20.7%増から成長が加速すると予想されている。
ソニーグループの株価は2023年末比1.5%高と低調 好決算でも伸びず
ソニーグループの株価(6758)の10月31日の終値は2723.50円。2023年末比では1.55%高となっている。前回(4-6月期)決算を発表した8月7日の終値(2461円)との比較では10.67%高で、日経平均株価の11.38%高とほぼ同じ成績となっている。8月7日はアメリカの7月雇用統計をきっかけに日経平均が歴史的な乱高下を記録してからの回復途上だった。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は15.63倍で、前回決算発表前の12.55倍からはやや割高になっている。ただ2020年以降の平均値(約17.3倍)は下回っている。アナリストが提示する目標株価の平均は3305.52円で、現状よりも21%ほど高い。10月に入ってからは3600円に引き上げる動きも出ている。30人のアナリストのうち25人は買い、5人は維持を勧めている。
半導体事業の好業績には円安の追い風も
ソニーグループの半導体事業の業績の好調さの背景にはFX市場で進む円安がある。4-6月期決算発表では前年同期比での増収幅(607億円)のうち約6割は円安の影響だったと説明していた。また、半導体事業と並んで注目度が高いゲーム事業も4-6月期の総収入は前年同期比12.1%増という大幅な増収。こちらも増収幅の9割は円安の影響だった。
ただ、半導体事業やゲーム事業の好調さにも関わらず、決算発表後の株価上昇が日経平均と同程度にとどまっていることからは、投資家が円安に頼らない成長を期待している様子がうかがえる。半導体事業ではスマートフォン向け画像センサーの好調さの一方で、VR(仮想現実)端末向けのディスプレイの需要が大幅に減るといった課題も抱えており、営業利益の圧迫要因となっているようだ。
ソニーグループは5月に策定した2027年3月期までの3年間をカバーする中期経営計画で金融を除く連結ベースでの営業利益の年平均成長率を10%以上にするとの目標を立てている。十時裕樹社長は8月の業績説明会で、「第1四半期の実績としてはまずもって順調」と述べた。ただ、円安によるプラス効果の大きさは今後の為替相場の変動次第で業績が下押しされる筋書きの裏返しでもあり、今後も投資家の厳しい視線が注がれる可能性がありそうだ。
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