ソニーグループ、減収減益予想 13日決算 半導体事業減益見通し
ソニーグループの10-12月決算は、アイフォンの不振を背景に半導体事業が減益の見通し。4月にCEOとなる十時氏の戦略にも注目が集まりそうだ。
ソニーグループが13日に発表する2024年10-12月期決算は、減収減益となる見通しだ。変動が大きい金融事業の減益が予想されているほか、注目度が高い半導体事業も減益になる見通し。背景にはアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォン)」の販売不振があり、投資家の失望を招くおそれがある。一方、ソニーグループの株価は前回の決算発表以降、KADOKAWAとの資本業務提携が好感されて、2割超値上がりしてきた。4月1日からソニーグループの社長兼CEOになる十時裕樹氏は知的財産(IP)ビジネスを重視する考えで、決算会見で示される経営戦略の方向性も注目される。
ソニーグループの10-12月期決算は営業利益が14.1%減の見通し
ソニーグループは13日午後3時30分に10-12月期決算を発表。午後4時から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめた事前予想によると、総収入は前年同期比0.1%減の3兆7430億円となり、前四半期(7-9月期)の2.7%増から減収に転落する見通し。営業利益は14.1%減の3979億円となり、2023年7-9月期(28.8%減)以来の減益になる可能性がある。
ソニーグループの株価は前回決算から22.62%高
ソニーグループの株価(6758)の1月31日の終値は3440円で、2024年末比で2.11%高。日経平均株価(N225)の0.81%安を上回る成績だ。前回の決算発表があった2024年11月8日の終値との比較では22.62%高で、株価は勢いづいている。2024年の1年間でみても25.62%高となり、2023年の33.63%高に続く高い上昇率だった。
ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は18倍程度で、前回決算発表直前の16倍程度から割高感が増している。アナリストが提示する目標株価の平均は約3697円で、現状よりも7%ほど高い。1月以降は4000円台に引き上げる動きも出ている。32人のアナリストのうち26人は買い、5人は維持、1人は売りを勧めている。
半導体事業の営業利益は11.7%減の予想 アイフォンの不振の影響懸念
ソニーグループの10-12月期決算で減益が予想されている背景には、金融事業の営業利益が大きく減少すると見込まれていることがある。同時に半導体事業も前年同期比11.7%減(117億円減)となる見通しで、業績の足を引っ張ると想定されている。ソニーグループは前回の決算発表で「大手顧客」が生産計画を見直したことを理由に挙げて、2025年3月期の半導体事業の見通しを下方修正した。営業利益は2500億円とされ、従来見通しから250億円引き下げられている。
ソニーグループはアイフォン向けに画像センサーを供給している。アップルの10-12月決算ではアイフォンの販売額は前年同期比0.8%減とされ、9月に投入された「16」シリーズの出遅れが感じられた。アップルは今後の巻き返しに期待しているが、先行きは不透明で、13日のソニーグループの決算発表で半導体事業の見通しがさらに悪くなることもありえる。
また半導体事業と並んで注目度が高いゲーム事業は、10-12月期の収入が前年同期比2.3%増の1兆4774億円、営業利益が9.1%増の939億円になる見通し。増収増益を確保するとみられている。
カドカワとの資本提携は株価の追い風 次期CEOの戦略にも注目
こうした中、ソニーグループはIPビジネスへの傾斜も強めており、前回決算発表以降の株価上昇の要因となってきた。1月7日にはカドカワの第三者割当増資を引き受ける形で約500億円を追加出資。カドカワの株式の約10%を保有する筆頭株主となった。ソニーグループは、出版・書籍、ゲーム、アニメなどのIPを安定的に創出しているカドカワとの関係強化が、ソニーグループの長期的な経営戦略の実現に寄与するとみている。
ソニーグループは1月29日、現在は社長の十時氏が4月1日付で、社長兼CEOとなる人事を発表。会長兼CEOの吉田憲一郎氏は会長職のみとなる。十時氏は2024年5月に第5次中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)を発表した際、ゲーム、音楽、映画の「エンタテインメント3事業」と半導体事業の中長期的な成長を目指すと表明しており、今回の決算発表では経営トップとして語る戦略の内容も注目されそうだ。
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