米ドル安 vs 円安について
3月19日以降、米ドル安局面が散見されます。米株のボラティリティ指数もようやく低下傾向にあります。これらの状況は投資家のリスクセンチメントが改善傾向にあることを示しています。この状況が続く場合、ドル円はどのような展開となるか?マーケットレポートをご参照ください。
米ドル安圧力が高まり易い局面へ
3月31日の米国株式市場は、主要3指数が反落する展開となった。しかし、米株のボラティリティ指数は低下した。そして、外為市場ではリスク回避の米ドル買いは限定的であり、むしろ一部の主要な新興国通貨(中国人民元/インドネシアルピア/マレーシアリンギット/ロシアルーブル/南アランド/メキシコペソ)は対米ドルで堅調に推移した。これらの動きは投資家のリスクセンチメントが改善傾向にあることを示唆している。3月の米ドル高がリスク回避を象徴した現象であったことを考えるならば、その状況が後退している現在は、米ドル安圧力が高まり易い局面にあると言える。
米株のボラティリティ指数
株式動向次第のドル円
FEDによる資金供給の強化が米ドル安の主因であることは、昨年10月以降の米ドル安局面で確認済み。加えて現在は上述した局面にある。これらのことを考えるならば、ドル円の上値トライは円安に頼るしかない状況にある。そして円安圧力が高まるかどうかは株式市場、特に米株の動向次第である。
その米株について現在筆者が注目しているのが、実勢相場のボラティリティ(20日間の標準偏差を年率換算した値)である。現状、90%の水準を突破しているがようやく頭打ち感が出始めてきた。この状況は、3月の混乱が終息に向かうシグナルである。このまま低下基調を辿れば、米株全体で底打ち感が高まろう。その過程で外為市場では徐々に円安圧力が高まるだろう。つまりドル円は「米ドル高vs円高」から「米ドル安vs円安」へ転じることが予想される。完全に円安優勢で推移するためには、米株高の回帰が必須条件だが、この条件を満たすボラティリティの水準を筆者は30%以下と想定している。
S&P500指数の動向
ドル円の想定コアレンジ
「米ドル安vs円安」の局面で想定される短期的なコアレンジは105.00-111.60である。値幅は小さいながらも米株安が続く局面では105.00トライおよび下方ブレイクを想定したい。一方、米株の堅調地合いが連日続く局面では110円台への再上昇、そして3月中旬に上値をレジストし続けた111.60のトライを予想する。
尚、本日は107円台の維持が焦点となろう。107.20および107.00にはビッドが観測されている。一方、昨日上値を抑制した108.80にはオファーの観測あり。
ドル円チャート
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