FEDがつくり出した米ドル安と株高のセット
現在は米ドル安圧力が高まり易い相場環境にあると、このレポートで再三指摘してきました。この米ドル売り圧力の存在を浮き彫りにしたのが株高です。米ドル安と株高がセットになっている現在の状況はしばらく続く可能性が高いでしょう。その理由は?そして米ドル安の恩恵を受ける通貨は?詳細はマーケットレポートにて。
株高と米ドル安
昨日の主要な株価指数は軒並み上昇した。リスク選好の先導役である米株のボラティリティも低下の一途を辿っている。この状況(リスク選好局面)が浮き彫りにしたのは、外為市場での米ドル安圧力の強さだった。新型コロナウイルスが蔓延する以前のリスク選好局面(株高局面)では、円売り圧力が高まるパターンが多く見られた。特に昨日は、黒田日銀が金融緩和の強化を決定したタイミングであっただけに、円安圧力が高まってもおかしくなかった。確かにオセアニア通貨や英ポンドでは円安優勢となった。しかしドル円は、107円を一時下方ブレイクするなど米ドル安/円高となった(安値106.97)。昨日のドル円の下落をけん引したのは「米ドル安」なのかそれとも「円高」なのか?この答えを米ドル相場のパフォーマンスで探ると、対先進国通貨ではスイスフラン以外総じて米ドル安となっている。対新興国通貨では財政問題に直面しているブラジルレアルと常に売り圧力が続くトルコリラ以外、売り買いが交錯するか米ドル安で推移した。つまり、昨日のドル円の下落は「米ドル安」がけん引していたことがわかる。
米ドル相場のパフォーマンス
FEDがつくり出した米ドル安環境
米ドル安の環境をつくり出したのはFEDである。3月23日に無制限の量的緩和を導入したことに加え、4月9日には2.3兆ドル規模の経済対策を発表。これら矢継ぎ早の政策は、言い換えれば米ドル資金を大量に供給する政策である。全体未聞の金融緩和に打って出たFEDの視線が、新型コロナ後の経済を見据えていることを考えるならば、現在の政策はしばらく維持されよう。米ドルの調達コスト(カレンシーベイシススワップ市場)でもこの点が意識され、日本円やユーロから米ドルへ転換するコストは3月と比較し低水準を維持している。
米ドルの調達コスト
米ドル安の恩恵を受ける豪ドル
現在のリスク選好相場は米ドル安とリンクしている。この恩恵を最も受けているのが豪ドル相場である。対米ドルレートを確認すると、1月に付けた現時点での今年高値0.7029を起点とした短期レジスタンスラインおよびリトレースメント61.80%(0.6447)を大陽線で上方ブレイクした。リスクリバーサル(1週間)も上昇トレンドを維持している。これらの状況を考えるならば、次の上値ターゲット0.6685(3月9日高値)を視野に上昇幅の拡大が予想される。尚、この水準のすぐ下0.6669はリトレースメント76.40%の水準にあたる。0.6480および0.6500にはそれぞれオファーが観測されている。
株高の調整局面では、豪ドル相場の反落を警戒したい。しかし冒頭で述べたとおり、米株のボラティリティは低下の一途を辿っている。よって、豪ドル相場の下落幅は限定的と予想する。目先は4月21日の安値0.6250前後で反転するかどうか、この点に注目したい。
豪ドル/米ドルチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。