焦点は米国のインフレ指標 中間選挙の注目ポイントについて
今週の米ドル相場は10月消費者物価指数(10日)と11月ミシガン大学期待インフレ率(11日)で上下に振れる展開が予想される。8日の中間選挙で共和党勝利ならば一時的に米ドル安の圧力が高まる可能性あり。ドル円の焦点は?そしてチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
焦点は米国のインフレ指標 中間選挙の注目ポイントについて
【サマリー】
・今週の米ドル相場の焦点はアメリカのインフレ指標
・8日の中間選挙ですぐに新たなトレンドが発生することはないだろう
・しかし共和党が大勝する場合は思惑先行の米ドル売りの展開を警戒しておきたい
・ドル円のチャートポイントについて
・焦点は米国のインフレ指標
10月消費者物価指数(CPI)
米労働省が先週4日に発表した10月米雇用統計によれば、インフレの動向に大きな影響を与える平均時給が前年同月比で4.7%へと低下した。平均時給(賃金)は今年の3月に同比5.6%へ上昇した後、低下基調へと転じている。
賃金の低下傾向は、インフレの上昇圧力を後退させる要因である。今週はそのインフレ動向を見極める上で重要な経済指標-10日の10月消費者物価指数(CPI)に市場の関心が集まろう。
CPIのトレンドを確認すると、総合ではピークアウトの可能性を示唆する状況にある。一方、変動幅の大きいエネルギー関連や食料品目を除いたコア指数は、サービス価格(特に住居費)の上昇の影響で6.6%へと上昇している。10月CPIの予想値は前年同月比で7.9%。コア指数のそれは同比で6.5%。ともに9月から低下する見通しとなっている。
米国 消費者物価指数のチャート
ミシガン大学の期待インフレ率
今週11日に11月ミシガン大学消費者信頼感指数が発表される(前回:59.9 / 予想:59.5)。米国の消費者マインドを表す重要な経済指標だが、米国市場のメインテーマが「インフレ」にあることを考えるならば、期待インフレ率の状況に市場参加者の注目が集まるだろう。
1年先の期待インフレ率は9月に4.7%まで低下した後、10月に5.0%まで再び上昇している。一方、長期(5-10年先)の期待インフレ率も9月の2.7%から10月に2.9%へ上昇している。
米国市場の焦点がインフレリスクにあることを考えるならば、今は1年先の期待インフレ率がより重要である。現時点での市場予想は5.1%。10月から上昇する見通しとなっている。10月CPIと同じく、期待インフレ率の状況も米金利と米ドル相場のトレンドを左右する材料として注目しておきたい。
米国 期待インフレ率のチャート:1年先
米ドル相場への影響
上で述べた経済指標がインフレリスクを後退させる内容となれば、米金融引き締めリスクが一時にせよ後退することが予想される。インフレリスクと金融引き締めリスクの後退は、米金利の低下要因である。ゆえに外為市場では、「さえないインフレ指標→米ドル売り優勢」の展開が予想される。
逆に上で述べた経済指標がインフレリスクを意識させる内容となれば、次回の連邦公開市場委員会(FOMC/12月13~14日開催)でも75ベーシスポイント(Bps)の利上げが意識され、米金利には上昇の圧力が高まることが予想される。ゆえに外為市場では、米ドル買い優勢の展開が予想される。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)の動向を確認すると、10月米雇用統計後の米ドル売りの圧力に圧され、短期レジスタンスラインを形成しつつある。そして今年の米ドル高トレンドを象徴するサポートラインをトライするムードにある。このラインのすぐ下には、今年の1月から2月に相場をサポートした経緯のある100日線(MA/108.90レベル)が推移している
ドルインデックのチャート
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・米中間選挙の焦点は?
米国のインフレ指標以外で今週注目すべき材料が、8日に行われる米国の中間選挙である。
ここまでの報道を確認すると、インフレ対策の失政が民主党の逆風となり、議会下院(定数435)では野党・共和党が多数派を奪還するという見方がある。一方、35議席が改選される議会上院では接戦になるとの見通しである。
外為市場、特に米ドル相場はインフレと金利の動向がトレンドの決定要因となっている。このため中間選挙後、すぐに新たなトレンドが発生することは考え難い。
今回の中間選挙で注目すべきは、共和党が大勝するケースである。今月の14日にトランプ前大統領が出馬を表明するとの観測報道が流れている。中間選挙で共和党勝利となれば、米ドル安政策を推し進めてきた過去があるトランプ氏は自分の功績を主張するだろう。ゆえに、上院でも共和党が過半数を獲得すれば、思惑先行で短期的な米ドル売りの圧力が高まる可能性がある。
一方、上院で民主党が多数派となれば、上で述べたインフレ指標の内容次第で外為市場(米ドル相場)のトレンドが左右されると予想する。
共和党/民主党の持率
ドル円 注目のチャートポイント
・短期サポートラインと145.00の維持
今週のドル円(USDJPY)は、上で述べた米国のインフレ指標で上下に大きく振れる展開が予想される。
10月米雇用統計の後に強まった米ドル安の圧力により、テクニカルの面では短期サポートライン(8月2日安値130.39が起点)の攻防が焦点として浮上している。ドル円がこのラインを下方ブレイクする場合は、145.00の維持が次の焦点となろう。
過去にレジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が見られた50日線(MA)が145円台へ上昇している。ゆえに、テクニカルの面でも145円台の攻防は重要な焦点となろう。
通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、ドルプットの勢いが後退する状況が続いている。この動きを重視するならば、10月米雇用統計を受けたドル円の下落は一時的となる可能性がある。
上で述べた短期サポートラインや145円台の維持に成功する場合は、ドル円の地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。このケースでは、このレポートで再三指摘しているレジスタンスポイント149.00レベルと149.50レベルのトライおよびブレイクが焦点となろう。
ドル円が149円台の攻防を制するカタリストは、やはりインフレリスクである。10月CPIや11月ミシガン大学期待インフレ率が米金利の上昇要因となれば、ドル円は150円台を視野に上昇幅が拡大することが予想される。
ドル円のチャート
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