ユーロドル (EURUSD):今週の見通しとチャートポイント
重要なテクニカルポイントをことごとく下方ブレイクしているユーロドルは、さらに下値をトライする可能性が高まっている。今週の見通しは?注目しておきたい下値のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週のドル円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・ユーロ圏経済の先行きリスクが意識されECBの利上げ期待が後退している
・景気不安と利上げ期待の後退を受けユーロドルは下落トレンドを形成している
・今週は8月のインフレ指標と米経済指標がユーロドルの変動要因となろう
・欧米経済指標の内容次第でユーロドルは、さらなる下値トライを警戒しておきたい
下落幅の拡大を警戒する局面に
ユーロドル(EUR/USD)は先週、10日MA(今日現在1.0852レベル)で戻りが止められると、3月15日の安値1.0516レベルを起点とした短期サポートラインだけでなく、200日MA(今日現在1.0805レベル)をも日足ローソク足の実体ベースで下方ブレイクした。
また、5月31日の安値1.0635レベルを起点としたフィボナッチ・リトレースメント76.4の水準1.0786レベルをも下方ブレイクする局面が見られた(下チャートの青ラインを参照)。
重要なテクニカルのポイントをことごとく下方ブレイクしている状況を考えるならば、今週のユーロドルは1.07の維持が焦点として浮上する可能性がある。
一方、ユーロドルが反発しても、10日MAで相場の戻りが止められる状況が続く場合は、下値トライを意識する展開が続くと予想する。
ユーロドルのチャート:日足 23年3月以降
今週の注目材料は8月の消費者物価指数
ユーロドル(EUR/USD)の変動要因として今週注目したいのが、31日に発表される8月の消費者物価指数である。総合指数とコア指数はともに、7月からインフレが低下する見通しとなっている。
ユーロ圏経済の先行きリスクが意識され、欧州中央銀行(ECB)の利上げ期待が後退している状況で8月のインフレ率、特にコアインフレ率の低下基調が確認される場合は、ユーロ売りの圧力が高まることが予想される。
ユーロ圏のインフレ率低下に加えて、今週のアメリカ経済指標(特にインフレと雇用)が総じて強い内容となれば、ユーロ売りと米ドル買いの圧力が同時に高まるだろう。よってこのケースでは、ユーロドルの下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。
ユーロ圏 消費者物価指数の推移
もうひとつの短期サポートライン
今週、ユーロドル(EUR/USD)がさらに下値をトライする場合は、先週25日の下落局面(日足ローソク足の下ヒゲが示現したこと)で新たに形成された「もうひとつの短期サポートライン」の攻防に注目したい。このラインは今日現在、1.0770レベルで推移する(下の日足チャートを参照)。
ユーロドルが、新たに形成されたもうひとつの短期サポートラインをも完全に下方ブレイクする場合は、上で述べた1.07台の維持が焦点として浮上しよう。テクニカルの面でこの水準は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0696レベルにあたる(上の日足チャート、緑ラインを参照)。
ユーロドルが日足ローソク足の実体ベースで1.07(リトレースメント76.4%の1.0696レベル)をも完全に下方ブレイクする場合は、5月31日の安値1.0635レベルのトライが次の焦点として浮上しよう。
ユーロドルのチャート:日足 年初来
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