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東京エレクトロン、増収復帰見通し 8日決算 AIブームに期待

東京エレクトロンの4-6月期決算は7四半期ぶりの増収予想。AIブームが半導体製造装置の需要を押し上げるとの期待があるが、利益との両立も求められる。

東京エレクトロン、増収復帰見通し 8日決算 AIブームに期待 出所:Adobe Images

東京エレクトロンが8月8日に発表する2024年4-6月期決算は7四半期ぶりの増収が予想されている。人工知能(AI)開発に不可欠な最先端半導体向けの需要が増えるとみられており、AIブームを背景にした成長軌道に乗ると期待が高まっている。ただし足元の株価には半導体産業の先行き不透明感などから下落圧力がかかる場面もあった。また、今後の研究開発にかける費用が利益を圧迫する要因としてみなされる可能性もあり、8日の決算発表では収益性にも注目が集まりそうだ。

【関連記事】東京エレクトロン、株価上昇低調 好業績に鈍い反応 見通しは低下(2024年8月15日)

東京エレクトロンの4-6月期は7四半期ぶり増収の見通し

東京エレクトロンは8月8日午後3時30分に4-6月期の決算短信を公開し、決算会見を開く。LSEGがまとめた事前予想では、総収入は前年同期比28.2%増の5024億円になる見通し。また営業利益は54.7%増の1275億円と見込まれている。予想通りになれば、7四半期ぶりの増収と、2四半期ぶりの営業増益となる。

東京エレクトロンの業績(総収入、営業利益)の推移のグラフ

東京エレクトロンの株価(8035)の8月1日の終値は3万0740円。2023年末比では21.72%高となっている。約3か月前にあたる5月10日の1-3月期決算発表では、2025年3月期の営業利益見通しが市場予想を下回るなどして、週明け13日の株価は下落。その後、株価はほぼ横ばいで推移し、7月中旬からは他の半導体株と足並みをそろえて値下がりした。

東京エレクトロンなど日本の半導体株の値動きの推移のグラフ

LSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は8月1日時点で25.94倍。前回決算発表前の38倍程度から割高感が薄れている。また同じ半導体製造装置を手掛けるSCREENホールディングス(7735)の14.16倍よりは割高、半導体検査装置のアドバンテスト(6857)の41.38倍よりは割安といえる。アナリストが提示する目標株価の平均は4万0905.56円で、現状よりも33%ほど高い。21人のアナリストのうち4人は強い買い、13人は買いを推奨。残る4人は維持を勧めている。

AI普及への期待で半導体製造装置の需要は高まる見通し

東京エレクトロンの4-6月期決算で増収復帰が見込まれるのは、AI開発に必要な半導体向けの製造装置の販売増が見込まれるからだ。東京エレクトロンは5月の決算発表時に、2025年の前工程の半導体製造装置市場は2ケタ成長との見通しを提示。AI開発やAIサービスの提供に不可欠なサーバーが必要とされているだけでなく、AI搭載型のパソコンやスマートフォンではメモリの容量が大きくなることも、半導体製造へのニーズを高めると説明している。

東京エレクトロンはこうした需要拡大予想を踏まえ、2025年3月期の総収入が前年同期比20.2%増の2兆2000億円になると見込む。4-6月期の決算発表が成長見通しに沿った内容になれば、株価にとっては好材料となりそうだ。

半導体株には下落圧力も 成長と利益の両立課題

ただし東京エレクトロンをはじめとする日本の半導体株には7月以降、下落圧力が強まった。共和党の大統領候補、ドナルド・トランプ前大統領の台湾防衛をめぐる発言などで、世界の半導体産業の不安定化への懸念が広がったためだ。東京エレクトロンは2024年3月期の総収入の44%を中国、11%を台湾で稼いでおり、中国向けの規制強化や台湾有事といった政治リスクの影響が連想されやすい。

さらに4-6月期決算発表では利益面にも注目が集まりそうだ。LSEGのまとめでは、金融市場では2025年3月期通期の営業利益は前期比33.4%増になると見込まれており、東京エレクトロン自身が5月に示した見通しの27.6%増を上回っている。米国のハイテク大手の決算では設備投資費用の拡大が利益圧迫要因とみなされ、株価が下落するケースも目立つ。

こうした中で、東京エレクトロンの研究開発費の総収入に対する比率は直近4四半期は11%程度で推移しており、2年前の8%程度から上昇してきた。河合利樹CEOは5月の決算会見で「研究開発費にキャップをつけるというような判断はしていない」としていたが、投資家からは利益水準の引き上げとの両立を求められることになりそうだ。

東京エレクトロンの研究開発費と総収入に占める比率の推移のグラフ

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