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トヨタ株、もたつく上昇 決算発表から3%高 経営陣は見通しに自信

トヨタの株価は6日の決算発表前日から3%高どまり。7-9月期の業績不振が響いた。一方、トヨタ自身は巻き返しに自信をみせているが、期待は高まっていない。

トヨタ株、もたつく上昇 決算発表から3%高 経営陣は見通しに自信 出所:Adobe Images

トヨタ自動車の株価が6日の2024年7-9月期決算発表後、もたついている。12日の終値は決算前日との比較で3%程度の上昇。決算発表は総収入と営業利益の両方が市場予想を下回ったとあって、値上がりの勢いは乏しい。一方、トヨタは決算会見で10月以降の業績に対する自信を感じさせており、北米や中国での巻き返しを誓っている。ただ、株価の今後の見通しに対する金融市場の期待は強まっておらず、月次の販売データや米中の政治・経済動向で流れが変わることも考えられそうだ。

トヨタの株価は5日から3%高 7-9月期は8四半期ぶり減収

トヨタの株価(7203)の12日の終値は2717円。決算発表前日(5日)の終値との比較では2.96%高で、日経平均株価(N225)の2.34%高と大差ない水準だ。株式市場ではアメリカ大統領選挙でのドナルド・トランプ氏の勝利や米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ姿勢維持が好材料となっているが、トヨタ株の値動きに勢いは乏しい。

トヨタ株の不安材料となったのは7-9月期決算の不振ぶりだ。総収入は前年同期比0.1%増の11兆4445億円で、減収転落の瀬戸際。営業利益は19.6%減の1兆1557億円で、8四半期ぶりの減収だった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は総収入が11兆4837億円、営業利益が1兆2451億円だったことも踏まえれば、いずれも投資家の期待に応えられない結果だったといえる。

トヨタ自動車の業績(総収入、営業利益)の推移のグラフ

トヨタは2025年3月通期のグループ販売台数の見通しを引き下げ

また6日の決算発表では、2025年3月通期のグループ総販売台数の見通しが1085万台とされ、8月時点で示していた1095万台から下方修正された。前期比2.2%減にあたる水準で、9月までの実績(4.0%減)を踏まえた判断だという。7-9月期のグループ会社を除くトヨタのみの地域別販売台数は、北米が前年同期比6.9%減の63万9553台で6四半期ぶりの減少。中国は9.7%減の45万5957台となり、3四半期連続でのマイナス成長となっている。

トヨタ自動車の月ごとの累計販売台数のグラフ
トヨタ自動車の地域別の販売台数の推移のグラフ

7-9月期の営業利益の大幅悪化の背景には、グループ会社の日野自動車が2300億円の特別損失を計上したという特殊要因がある。北米向けエンジンの認証問題で米国当局との和解金などを計上したことが理由だ。ただ、この影響がなかったとしても7-9月期は前年同期比で500億円程度の営業減益。円安による押し上げ効果は2400億円で、4-6月期の3700億円から目減りしており、追い風も弱まったといえる。

トヨタは10月以降の見通しに自信 営業利益に下方修正はなし

一方、トヨタは10月以降の業績に自信ありげだ。2025年3月期の見通しについては販売台数は下方修正したものの、総収入と営業利益については8月時点の見通しを維持。10月以降は認証問題やリコールによる生産停止がなくなることを見込んでいるうえ、宮崎洋一CFOは6日の決算会見で、販売店に値下げ原資として支払う「インセンティブ(販売奨励金)」を抑制することでも稼ぐ力を強化するとした。

宮崎氏は米国では「(トヨタの)商品力の実力がしっかりみえてきた」としてインセンティブに頼らない販売増ができると説明。また中国については現地メーカーとの競争が激化する中でも「地場の優秀とみなされるメーカー並みの利益が出ている」としている。

ただ、トヨタの自信にも関わらず、トヨタの株価の今後の見通しに対する期待が高まっているわけではない。ブルームバーグによると、アナリストが提示するトヨタの目標株価の平均は12日午後の段階で3268円で、決算発表前日の5日時点の3255円とほぼ同じ。トヨタの株価への期待は今後発表されていく月次の販売台数の実績のほか、米国で2025年1月に発足するトランプ次期政権や中国経済の動向でも左右されることになりそうだ。


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