米政府閉鎖は11月半ばまで回避 日経平均小幅安 金融市場に残る不安
アメリカの政府機関閉鎖は当面回避されたが、政治的な対立は解消されていない。格付け会社の判断に改めて注目が集まる。
アメリカの連邦政府の一部閉鎖が当面の間、回避された。10月からの2024会計年度に関し、11月17日までの予算を確保する「つなぎ予算」を定める法律が9月30日に成立したためだ。週明け2日の金融市場では大きな値動きは起きておらず、当面の間は経済指標の発表などにも影響はでない見通しだ。ただし11月半ばにかけて、政府機関閉鎖をめぐる緊張が再び高まることは避けられない。繰り返される政治の混乱が財政政策に悪影響をもたらす状況は変わっておらず、改めて格付け会社の判断にも注目が集まりそうだ。
米議会で11月17日までのつなぎ予算が成立
米議会のつなぎ予算をめぐっては、米下院が9月30日に11月17日までの予算を確保する法案を可決。上院での採決とジョー・バイデン大統領の署名を経て成立した。つなぎ法案をめぐっては、上院が別の法案を可決していたが、下院で多数派を占める共和党の一部がウクライナ支援が含まれていることなどに反発。下院はウクライナ支援を盛り込まない独自の法案を可決して上院に送り、成立に持ち込んだ。
つなぎ予算が成立しない場合は、10月1日以降の政府の活動が一部で停止する可能性があった。2018年12月から2019年1月の35日間にわたって起きた政府機関の閉鎖では、国務省や財務省、商務省などの職員30万人が一時帰休の対象になったと推計されている。経済指標に関するデータの収集や分析、発表がストップし、予定通りのデータ公表が行われない懸念もあった。
日経平均やドル円相場に混乱はみられず
つなぎ予算の成立で混乱が回避されたことを受け、日本時間2日の金融市場では大きな混乱は起きなかった。日経平均株価(N225)は前日比97.74円安の3万1759.88円で取引を終了。外国為替市場のドル円相場(USD/JPY)も9月30日のニューヨーク市場の終値よりも0.5円ほどの円安ドル高にあたる1ドル=149円台後半での値動きとなっている。
共和党内の分断は深まる
ただしつなぎ予算が期限切れとなる11月17日に向けて、政治的な混乱が改めて深まる可能性は高い。今回成立したつなぎ予算は共和党が主導した内容だが、採決では共和党内から90人の反対者が出ており、賛成は126人に留まった。民主党の209人が政府閉鎖を回避を最優先させる目的で賛成にまわったために可決に至ったが、共和党内の分断は深刻化した。
こうした中、強硬派の共和党議員は、採決を主導したケビン・マッカーシー下院議長(共和党)の解任に向けた動きを進めるとしている。マッカーシー氏が解任を退けるために民主党の協力を仰ぐ必要が生じるシナリオも想定され、こうした力関係が11月18日以降のつなぎ予算の内容をめぐる交渉をさらに複雑にするおそれもある。
格付け会社は政治の二極化を問題視
格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは9月25日、先鋭化する政治の二極化が財政政策の決定を制約していることを問題視する見解を公表。政府機関閉鎖が米国の信用にマイナスに作用すると指摘した。また、フィッチ・レーティングスは8月1日に米国債の格付けを最上位のトリプルAからダブルAプラスに格下げ済みだ。フィッチによる米国債格下げは、債務上限引き上げ問題が6月1日に米議会で解決した2か月後に発表され、長期金利(10年物米国債利回り)上昇のきっかけになっただけに、ムーディーズの今後の対応が金融市場を動かす展開も想定される。
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