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米国景気後退リスク示すか? 1-3月期GDP速報値27日発表 円高ドル安も

米国の2023年1-3月期のGDP速報値が27日に発表される。景気後退リスクを示す結果となればドル円が円高ドル安に動く可能性もある。

出所:ブルームバーグ

米商務省が27日に発表する2023年1-3月期の国内総生産(GDP)速報値は米国の景気後退の現実味を占う指標となりそうだ。金融情報会社のリフィニティブによると、GDPの実質成長率の市場予想は前期比年率換算で2.0%。2022年後半の水準から落ち込む見通しとなっている。発表数値がこの予想を下回れば、金融市場でハードランディングシナリオが意識されそうだ。このところの企業決算では業績の悪さも目立っており、ドル円相場でドルが売られやすくなる可能性がある。

米GDP成長率、2023年1-3月期は2.0%へ減速予想

1-3月期のGDP速報値は日本時間27日午後9時30分に発表される。実質成長率が市場予想通りの2.0%となれば、2022年10-12月期の2.6%や、7-9月期の3.2%から減速することになる。

弱気な市場予想の背景にあるのは、すでに発表されている経済指標に見られる景気後退の予兆だ。3月の経済指標では、製造業生産指数が前月比0.5%減となったほか、中古住宅市場でも販売価格が下落するなど、GDP統計における設備投資や住宅投資の落ち込みを感じさせる数字が出ている。また、GDPの約7割を占める個人消費との関連が強い小売売上高も前月比1.0%マイナスになっている。

ただし、雇用の面では堅調さもみられる。10日に発表された3月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比で23万6000人増え、市場予想とほぼ同じ水準だった。この意味では、1-3月期のGDP速報値で個人消費の底堅さが確認される可能性もある。

速報値が予想を下回ればドルに売り圧力

仮に1-3月期の速報値が市場予想よりも強かった場合、FRBにとっては利上げの必要性を感じさせる結果となる。FRBはこれまでの利上げが経済活動を落ち込ませて物価上昇が抑えられていくシナリオを描いているが、速報値が強ければ、現状では十分に経済活動が冷えておらず、物価上昇がしばらく鎮まらない状況が意識されるからだ。ドルには買い圧力がかかり、ドル円相場(チャート)を円安ドル高方向に動かす力が働く可能性がある。

一方、速報値が市場予想よりも弱ければ、景気後退リスクが強まる。この場合は、FRBの利上げ打ち止めが近づくとの観測が強まりそうだ。ドルへの売り圧力が増し、ドル円相場は円高ドル安に向かう可能性がある。実際、FRBの事務方の間では「今年後半に緩やかな景気後退が始まる」とのシナリオも想定されている

2円以上相場が動いたケースも

このところのGDP速報値発表では、2021年10-12月期の速報値が市場予想を上回り、ドルが買われる展開となった。逆に2022年4-6月期の速報値が予想を下回ったときには、ニューヨーク外国為替市場でドルが大きく売られ、2円以上も円高ドル安が進んだ。

ただ、2022年1-3月期の速報値が予想を下回った際は、ドル円相場は2円以上も円安ドル高に進んでいる。日本銀行が前日に大規模金融緩和の継続を決めていたことや、GDP悪化の要因のひとつが輸入の増加だったため米国内の消費は強いとみなされ、米国景気の先行き不安が強まらなかったことが理由だ。

FRBの利上げは5月で打ち止めか

CMEグループのデータによると、次回FOMC(5月2、3日)での0.25%の利上げについて、投資家が予想する確率は日本時間25日午後3時35分現在で約86%。一方、6月にもう一段の利上げが行われる確率は約21%で、5月の0.25%利上げが最後になるとの見方が大勢だ。

また、1-3月期の企業決算では注目企業の業績悪化も目立っている。電気自動車(EV)大手のテスラは19日の決算発表後に株価が下落。25日に決算発表を予定しているアルファベットも減益が予想されている。企業活動の面からも景気の先行き不透明感が強まっており、ドルは売られやすい状況にある。


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