テスラ決算、粗利益率20%割れ 時間外取引で株価6%下落 シェア重視
テスラの2023年1-3月期決算は利益率低下が懸念される結果となった。マスクCEOは販売台数を優先させる方針だが、株価は下落している。
電気自動車(EV)大手のテスラが19日に発表した2023年1-3月期決算は粗利益率が20%を割りこむ結果となった。総収入は市場予想を上回ったものの、投資家が注目する1株当たり利益は市場予想にわずかに届かず。これまで繰り返してきた値下げ戦術の痛みが表面化した形だ。イーロン・マスクCEOは決算発表会見で販売台数拡大によるシェア獲得を利益率よりも重視する考えを示したが、時間外取引でテスラの株価(チャート)は6%下落しており、投資家の不安をかきたてる結果となったようだ。
テスラの2023年1-3月期決算は増収減益
1-3月期の総収入は前年同期比24%増の233.3億ドル。決算ベースでの1株当たり利益は23%減の0.73ドル、投資家が注目する調整ベース(non-GAAP)の1株当たり利益は21%減の0.85ドルだった。金融情報会社リフィニティブのデータによると、総収入は直前の市場予想(232億ドル)を上回ったが、調整ベースの1株当たり利益は市場予想(0.86ドル)を下回った。
また、テスラの1-3月期の粗利率は19%で、4四半期連続で減少した。19%台となるのは2020年10-12月期以来2年3か月ぶりだ。粗利率が大台を割り込んだ背景には、テスラが今年に入って値下げを繰り返してきたという事情がある。値下げの効果で、1-3月期の販売台数は前年同期比36%増と堅調だったが、1台当たりの販売価格は減少している。株式市場では当初は値下げが歓迎され、テスラの株価上昇につながったが、その後は株価の反応は鈍くなっている。
値下げ戦術の裏に景気の不透明感や競合激化
テスラを値下げ戦術に駆り立てるのは、世界的な景気の不透明感や金利上昇の結果、消費者のEV購買意欲が衰えていくという懸念だ。また中国市場では現地企業のBYD(比亜迪)との競合も激しくなっており、値下げの重要性が増している。マスクCEOは19日の決算発表会見で現状について「低い利益率で多くの車を売る方向にシフトした方がいい」と述べた。
ただ、テスラが19日の取引時間後に決算を発表すると、時間外取引で株価は大きく下落した。テスラの株価の19日の終値は180.6ドルだったが、時間外取引では169.6ドルまで約6%値下がりしている。利益率が減少すれば電池などの技術開発にかける投資の余力が落ちるという側面もあり、投資家は市場シェアを優先させるマスク氏の戦略を手放しで歓迎できるわけでもないようだ。
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